インタビュー
信託精神に学ぶ、未来志向の価値づくり
未来志向の経営や商品開発に必要な視点とは?海外と日本における時代認識の違いや、今後の日本社会について三井住友信託銀行の金井司氏と語り合いました。(対談日:2024年5月31日)
連続対談企画「道心の中に衣食あり」では、アミタ熊野が対話を通じて持続可能な社会の未来図や、その設計に必要な思考や哲学をお伝えしています。
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現状肯定で、思考停止に陥る日本
熊野:今日は金井さんの想いをぜひ、お話いただければありがたいなと思っています。私のファシリテートにかかっていますね(笑)。
金井氏:こちらこそよろしくお願いします(笑)。
熊野:さっそくですが、金井さんはいつ三井住友信託銀行に入行されましたか?
金井氏:1983年です。
熊野:その頃はまだ、世の中にサステナブルという概念はそれほど広まっていませんでしたよね。1984年に国連が「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」を設置して、委員会が終わる1987年に公表された「Our Common Future」という通称ブルントラント報告書でサステナブルという概念がより具体的に書かれました。その後、1992年にリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」でより広まったと思うんです。
そういった時代の空気感の中、日本ではとても早い段階から、金井さんは三井住友信託銀行でサステナビリティ領域に関わってこられました。それは心の中に「今後の社会はこういう動きになる」という感性を持っていらっしゃったからではないかなと思ったんですが、ご幼少の頃や学生時代から関心があったんですか。
金井氏:子どもの頃から、周囲と考え方が合わないことが多くありました。自分ではごく普通と思っていることが、周りの人たちはどうもそうは考えていないのです。一方で、外の世界にとても興味があり、自ずと日本と海外の常識がかなり違うことに気付き、おかしいと思うようになりました。高校の時にその思いを作文に書いて提出したものの、先生から何の反応もなく、がっかりした記憶があります。
会社に入ってサステナビリティを知り、共鳴し業務を立ち上げたのですが、またしても周囲とのギャップに直面し、苦難の始まりとなりました(笑)。
熊野:孤立した環境で独自に進化する「ガラパゴス」ともいわれるように、日本は地理的に島国で孤立し、自国中心のものの見方をしている。金井さんは若いころから、「本当にそれがいいのか」と、客観視、俯瞰視していたということですか。
金井氏:東洋の片隅ではなく、グローバルに開けたところに普遍性があるという感覚はありました。勿論、内容を精査する必要はありますが、不可逆的に国際コンセンサスが形成されたなら、それには真摯に取り組む必要があると感じていました。石炭火力発電がその典型で、今の方針を維持できないのは自明の理なのに、なぜ日本は方向を変えないのか不思議で仕方がありませんでした。
熊野:日本に資源がないのは明白ですね。資源が産業の基盤となっている時代に、日本はそれを輸入で賄って技術で花を咲かさないといけない。でも技術面から考えたとき、例えば先ほどの石炭火力の例で言うと、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭産業にいつまでも注力していたら、他国にどんどん遅れをとってしまうでしょう。そういうグローバルな視点がないですよね。なぜでしょうか?
金井氏:一種の思考停止だと思います。現状維持のベクトルがすごく強い。...
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対談者プロフィール
金井 司(かない つかさ)氏
三井住友信託銀行株式会社
サステナビリティ推進部 フェロー役員
熊野 英介(くまの えいすけ)
アミタホールディングス株式会社
代表取締役会長 兼 CVO
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