クラシエに聞くサステナビリティ 後編|K-CEP参加企業インタビュー | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

クラシエに聞くサステナビリティ 後編|K-CEP参加企業インタビュー

地球環境を持続可能にし、限られた資源を未来に還すためには、より高度な資源循環の技術と仕組みを構築することが必要です。
本インタビューでは、九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(K-CEP)へ参画している企業にお話しを伺い、サーキュラーエコノミーの構築をはじめとするこれまでのサステナビリティの取り組みや、K-CEP参画への意気込みなどを語っていただきます。
第8回は、クラシエホールディングス(株)代表取締役 社長執行役員 岩倉昌弘氏と、Sustainability Leadership MTG(以下、SLM)メンバーの皆様(写真)にお話を伺いました。

前編はこちら

九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップとは?
サプライチェーンに連なる産官学民が連携し、それぞれの課題・強みを持ち寄り、暮らしと産業の持続可能性とサーキュラーエコノミー市場の創出を目指す新事業共創プラットフォームです。K-CEPが手掛ける使用済みプラスチックボトル等の回収実証実験「MEGURU BOX プロジェクト」は、10社以上の日用品メーカーが連携する日本初の取り組みであり、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、各社が互いに手を結びあって未来への扉を押し開こうとしています。
※現在は、2021年10月20日に旗揚げしたジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(通称:J-CEP)のプロジェクトとして取り組んでおります。

一人一人の自分ごと化の積み重ねが創るクラシエらしいサステナビリティのあり方

岩倉氏:サステナビリティを一人一人がもっと身近に感じることができればいいなと思います。私が幼少の頃は光化学スモッグが話題になっていました。自分の健康にも影響があると思うと、公害問題は一気に自分ごと化し、個々人ができることは何でも実施していたように思います。
現在、自分自身がサステナビリティに配慮した行動ができているのか自信がない方も多いと思いますが、それはどのような行動がサステナビリティに貢献していると言えるのか、腹落ち出来ていないからではないでしょうか。例えば、普段は自動車で移動するところを今日は電車に変えてみるというのも大きな貢献の1つだと自覚できればハードルは下がると思います。いかに身近にするかが重要ですよね。

末次(アミタ):岩倉社長のお話も聞いて、基本理念の「人を想いつづける」というのは社員の皆様も含めて「人」と表現されているのだと感じました。自社の取り組みを社外向けにどうアピールするのかに目が向きがちですが、社員一人一人が仕事のやり方や、自身の生活に落とし込んで実践することがクラシエらしいサステナビリティにつながるのではと感じました。

岩倉氏:そうですね、クラシエは、旧カネボウの破綻後、自分の会社だと思った社員が残って創り上げた会社です。そのためサステナビリティの分野だけでなく、自分ごと化されると会社全体が動き出す気がしています。そうした意味で、大きな投資による変化を期待するのではなく、一つ一つの積み重ねを大事にして個々人が変化を起こしていくほうがクラシエらしいと思います。

中村(アミタ):自分ごと化という点においては、大上様はSLMメンバー向けに資源循環における工場見学の実施や、全社を対象としたサステナビリティ経営セミナーの実施など常に工夫されていますね。

大上氏:そうですね、毎月1回開催しているサステナビリティ経営セミナーでは毎月数十名が参加をしてくれています。先月はIPCC第5次、第6次評価報告書の主執筆者でいらっしゃる江守正多氏をお招きしました。参加する社員は全員が必ずしもサステナビリティに関心を持った者ばかりではないですが、講演後は毎回とても良い感想や反応が寄せられています。
サステナビリティ担当をさせていただく中で、一定の投資を行って大きな変化を生み出すことも有効ですが、一方で、クラシエという会社に合った、現場からのボトムアップの声を大事にし、全員の合意を得ながら施策を積み重ねていくことも大切だと思っています。そうした視点を大事にしながら長期的にみて、強い組織を形成していきたいと思っています。

▼インタビューの様子

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競争から共創へ

中村:日用品の業界では、プラスチック素材の切り替えや、使用済み製品の回収など様々な取り組みが行われているイメージが強いですが、今後の展開はどのようにお考えでしょうか。

岩倉氏:かつては、ボディソープにおいて業界に先駆けて詰め替えパウチを導入してきたと自負しています。しかし、今後は1社での取り組みではなく、各社共創の時代になると思っており、日用品だけでなく、食品や製薬の分野においても業界全体で良い取り組みがあれば、お互いに共有し合っていきたいと思います。

中村:K-CEPへのご参加も業界全体での取り組みを共有できる点に魅力を感じていただいたのでしょうか。

大上氏:そうですね。サーキュラーエコノミーという新しい経済は競合との共創がなければ成り立たないと感じましたし、何より共創があって初めて私たちのコーポレートスローガンである「夢中になれる明日」を創っていくことができると信じています。K-CEPではメーカーが主体となっており、ブランドオーナーが集っていることの意義も非常に大きいと思います。私たちブランドオーナーがお客様にブランドや商品の価値を届けることを第一に守りながら、サーキュラーエコノミーを実現するには、メーカーとリサイクラーが情報を共有することからスタートすることが肝心だと思っています。北九州での品評会にも参加させていただきましたが、こうした共創組織の在り方に各社も可能性を感じておられましたし、私自身もサーキュラーエコノミーを実現し明日をつくる実感が湧きました。
また、参加を決めたもう1つの理由は、今後、資源循環が当たり前の世の中が到来する中、その先駆けともなる動きの開始段階から主体的に関わっていきたいと思ったからです。

末次:ありがとうございます。生活者目線で考えてもブランドを見て購入される方が多い中、
ブランドオーナーが社会を変える強い意志を持ち変革を牽引することで、生活者の行動変容がついてくると考えています。これは誰かひとりが声を上げるだけでは成り立たず、全員で協力する必要があると思いこのような場を創りました。未来視点の取り組みとして「こうありたいよね、こうしたいよね」という想いを共有し、一緒に未来を創っていきたいなと思います。

▼インタビューの様子

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今後挑戦したいこと

中村:皆さま一人一人が今後挑戦されたいことについてお聞かせください。

角江氏:私には3歳と0歳の子供がいますが、今、SDGsとしっかり向き合い取り組まなければ将来世代には絶望的な未来が待っているのではと思うことがあります。企業の評価軸についてもこれまでは売上や利益が優先されてきましたが、これからは新しい指標づくりが必要だと切に感じています。今後はSDGsの視点を取り入れた指標づくりや、そうした考え方を社内に浸透させることを目指していきたいと思います。

堀口氏:私は、サステナビリティ推進のために、上層部だけでなく営業や工場担当者など誰にとってもわかりやすいサステナビリティ関連の資料作成に取り組みたいです。これまでそのような資料は全て上層部向けにとどまっていたように思いますが、全社をあげて取り組むには、一人一人の理解と協力が必要だと思います。また、クラシエには、クラシエホームプロダクツ、クラシエ製薬、クラシエフーズの3つの事業会社がありますが、横の連携ももっと強くしていきたいです。

上原氏:身近なところで最近気になっていることは、社内ごみの分別についてです。給湯室に2つごみ箱が置かれているのですが、テープに書かれた文字が消えかかっており、可燃ごみと不燃ごみの区別がつかなくなっています。文字を書き直すだけできちんと分別して捨ててもらえるようになるはずなのに、誰の仕事かがわからず放置されてしまっています。小さなことかもしれませんが、SLMのメンバーとして気づいたところから主体的に行動を起こしていきたいと思います。

赤木氏:私もかつては工場勤務でしたが、環境やサステナビリティに関して、工場では法律遵守以上に高い目標は掲げられていませんでした。今回SLMに参加して、これまでの取り組みだけではまだまだ目標に届かないことを学べたように思います。今後は、自分が学んできたことを現場の方にわかりやすくお伝えすることで、共感し、共に行動してくださる方を増やしていきたいと思います。

大上氏:SLMは部門横断型であり多様なメンバーで構成していますが、それがサステナビリティを考える際の視点を多様化させており、ひいてはクラシエのサステナビリティ実現に対して近道になっていると感じました。また、ブランドオーナーとしてサステナビリティに対する弊社の取り組みや価値を商品やブランドにしっかりのせ、お客様に選んでいただけるようになりたいと思います。

岩倉氏:SLMのメンバーに対しては、ひとりでも多くの社員を巻き込み、賛同者を得ながら活動を進めてほしいと思います。クラシエとしては、お客様へ安全安心な商品を提供したいという想いはずっと変わっていません。今後は、メイドインクラシエと言えば、商品そのものの安全性とサステナビリティにも配慮した安全性を担保できるようにしていきたいと思います。

中村:ありがとうございます。最後に、今回のK-CEP参画企業の皆様、あるいはこれからK-CEPへの参画を検討しているメーカー各社様にメッセージをいただけますでしょうか。

岩倉氏:環境問題は共通の課題です。個社で取り組むより、多くの会社と取り組むことで問題解決の選択肢が広がるのではないでしょうか。是非、一緒に取り組みましょう。

末次:今後も取り組みをご一緒できることを大変楽しみにしています。本日は大変貴重なお話の機会をいただき、ありがとうございました。

話し手プロフィール(執筆時点)

profile_iwakura.jpg岩倉 昌弘(いわくら まさひろ)氏
クラシエホールディングス株式会社
代表取締役 社長執行役員

兵庫県出身 関西大学社会学部卒業。
1985年カネボウ入社。営業、人事、新規事業担当などを経て、2007年クラシエホームプロダクツ(株)社長就任。2018年1月よりクラシエホールディングス(株)代表取締役社長。同年8月に、つぎの100年へ進むためにクラシエのありたい姿「私たちの明日(あした)」「CRAZY KRACIE」を発表。自ら社員向けに、社内改革のための情報発信を毎日行っている。

profile_SML.jpgSustainability Leadership MTG
メンバーの皆様

(写真左から)
角江 俊一郎(かくえ しゅんいちろう)氏 
クラシエフーズ株式会社 課長 生産技術室OEM・購買グループ 兼 生産技術グループ

上原 千佳(うえはら ちか)氏 
クラシエ製薬株式会社 係長 薬品事業管理室CSR・渉外部

大上 夏子(おおがみ なつこ)氏 
クラシエホールディングス株式会社 課長 経営企画室企画部

赤木 元貴(あかぎ もとき)氏 
クラシエホールディングス株式会社 課長 経営企画室購買統括部

堀口 茂樹(ほりぐち しげき)氏 
クラシエホームプロダクツ株式会社 技術部長 ホームプロダクツ技術部 兼 生産・購買部

聞き手プロフィール(執筆時点)

suetsugu.jpeg末次 貴英(すえつぐ たかひで)
アミタ株式会社
代表取締役

アミタグループへ合流後、自然産業領域の立ち上げに関わり、その後、京丹後循環資源製造所所長、 西日本営業所所長等を経験。2017年以降は、ESG経営の統合支援サービスの責任者として、事業開発、顧客開拓等に従事。新たなことに挑戦し続けるフロンティアスピリッツと、企業理念を軸に組織を束ね従業員の積極性を引き出すマネジメント力を活かし、アミタ(株)の企業経営に取り組む。

nk.png中村 こずえ(なかむら こずえ)
アミタ株式会社
社会デザイングループ 社会デザイン緋チーム

高知県出身。鳥取大学大学院終了後、環境問題に関心があり、アミタの「無駄なものなどこの世にない」という理念に共感して入社。現在は社会デザイングループにて企業向けのサステナビリティコンサルティングを担当。

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