マンダムに聞くサステナビリティ 前編|K-CEP参加企業インタビュー | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

マンダムに聞くサステナビリティ 前編|K-CEP参加企業インタビュー

地球環境を持続可能にし、限られた資源を未来に還すためには、より高度な資源循環の技術と仕組みを構築することが必要です。本インタビューでは、九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(K-CEP)へ参画している企業にお話を伺い、サーキュラーエコノミーの構築をはじめとするこれまでのサステナビリティの取り組みや、K-CEP参画への意気込みなどを語っていただきます。第3回は、株式会社マンダム執行役員の松田哲明氏、ESG推進室の米田実氏と野﨑琢馬氏にお話を伺いました。
(写真:左から野﨑琢馬氏、米田実氏、松田哲明氏)

九州サーキュラー・エコノミー・パートナーシップとは?
サプライチェーンに連なる産官学民が連携し、それぞれの課題・強みを持ち寄り、暮らしと産業の持続可能性とサーキュラーエコノミー市場の創出を目指す新事業共創プラットフォームです。
K-CEPが手掛ける使用済みプラスチックボトル等の回収実証実験「MEGURU BOX プロジェクト」は、10社以上の日用品メーカーが連携する日本初の取り組みであり、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、各社が互いに手を結びあって未来への扉を押し開こうとしています。

※現在は、2021年10月20日に旗揚げしたジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(通称:J-CEP)のプロジェクトとして取り組んでおります。

マンダムのこれまでの取り組みに学ぶ

田部井:まずは御社のサステナビリティに関する取り組みについて教えていただきたいと思います。2021年9月1日から新しいロゴマークやコーポレートスローガンを出されました。今後、 企業理念やビジョン、スローガンとサステナビリティがどう関連付けられていくのか伺えますでしょうか?

松田氏:4年前の2017年、当社が創業90周年を迎えたときに、世の中がかなりの速度で激変しているということ、技術の進歩によって大きな変化が毎年のように起こっているということで、今までの積み重ねだけではなく、会社の方針を大きく見直して行く必要があるという議論になりました。次の100周年、さらにはその先の未来において、私たちは社会で必要とされる存在であり続けるために、理念体系の見直しを行いました。

▼理念体系

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松田氏:あわせて、当社としては初めての長期ビジョンとなる「VISION 2027」を策定しました。「VISION 2027」では、創業100周年を迎える2027年のありたい姿を明文化して、未来志向で社会課題も解決していこうとしています。こうしたことが一連の取り組みのスタートとなっています。

▼マンダムの新しいロゴマークと込められた3つの想い

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松田氏:そして、今年の5月に新しいマンダムのVI(ビジュアル・アイデンティティ)の刷新を発表し、9月1日からスタートいたしました。新しいシンボルマークは、マンダムの理念の根幹である「人間系」、マンダムのお役立ちの先にあるすべてのステークホルダーの「笑顔」、マンダムの頭文字の「M」を表現しています。人種や国・地域を超えて、老若男女、誰もが共感できる笑顔の形でもあり、マンダムの理念を体現した存在となります。また、ロゴと共に導入したコーポレートスローガンの「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」(なりたい自分に、全部なろう。)も「何かを目指すためには、何かを犠牲にしなければならないというあきらめ」、「当たり前と思っている思い込み」を打ち破り、全ての生活者が「自分らしく生きること」をサポートする、そしてそれが実現できる社会を持続的に創りあげていくことが、マンダムがこれから実現していきたい「お役立ち」だということを表現しました。もちろん、それまでもCSR活動はしていましたが、2017年の見直し時に今後は「社会課題に本格的に取り組むことを、経営戦略の中核に据えていこう」という方針になりました。こうした流れの中で、昨年2020年にESG推進室を立ち上げまして、グループのサステナビリティ戦略を経営戦略の最上位に掲げました。そのサステナビリティ上の重要課題である「マテリアリティ」を特定し、「強みを活かした価値創造による未来へのチャレンジ」と「社会と企業の持続可能性の実現にむけた課題解決」という大きく2つのテーマを掲げ、目下2年目に突入しているところです。


▼サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)

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(図はクリックで拡大)

田部井:御社のこれまでの環境活動を振り返る中で、業界で初のエコマーク認定を受けられた点は非常に印象的ですね。第一号認定を受けた33点の商品群の内、20点が御社の脱フロン型製品というのは驚きでして、時代に先駆けていち早くオゾン層破壊の要因であるフロンガスの全廃を決め、取り組みをスタートされたことは素晴らしいと思います。こうした長年の取り組みがあった上で、今回、改めてサステナビリティの戦略を経営の中核に据えられたということですね。対外的に非常に大きなメッセージ性があると思いますが、社内での発信とこれらの受け止め方はどうだったんでしょうか。

米田氏:はい、まず昨年の期首に経営トップからのメッセージの中で「社会との共存・共生・共創をマンダムのサステナビリティとして捉え、社会や環境の課題の解決に向けて、サステナブル経営を根幹に、本業を通じた取り組みによるお役立ちの進化と企業価値の創造を目指す」それに取り組むべき時期が来たということが発信されました。社内の受け止め方として100%浸透させるために、私たちも質を上げて、より社内浸透させていくための勉強会などの施策を進めている状況です。ただ、社員の注目や意識が以前に比べるとサステナビリティに向き始めていることは肌では感じますね。

田部井:勉強会を通じての反応などを見ていらっしゃる中で、徐々に浸透していることを実感されているということでしょうか。

米田氏:そうですね。従来は主要部門の事業計画の中にESGという領域は組み込まれてはいなかったのですが、 今、各部門においてESGをテーマとした目標が掲げられています。例えば、技術開発部門は「SDGsを取り入れた研究開発の業務を進めていこう」とか、マーケティング部門は「商品開発において、環境配慮もコンセプトに加えよう」という動きになってきていて「ああ、動き始めてきているな」と感じていますね。

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K-CEPへの参加を通じて目指すものは

田部井:やはり昨年あたりから潮目が変わったと言いますか、より高い目標を掲げるようになったということを各社様からお聞きします。資源循環という視点ではどういった目標を掲げ、推進されようとしているのでしょうか。

米田氏:まだまだ弊社の取り組みは、サーキュラーエコノミーの達成までには至っていないと考えています。と言いますのも、弊社では今、製品の環境配慮ではいわゆる3Rにrenewable(再生可能資源=バイオマス資材などの活用)を入れた4Rの推進をしており、中でもプラスチックを最重点課題として掲げておりますが、いわゆる「水平リサイクル」であり、サーキュラーにまでは至っていません。これを達成するにはどうしたらいいのか検討する中で、今回K-CEPに参加させていただいたという次第です。なかなか弊社だけでの達成は壁が高いですし、様々な企業やステークホルダーの皆様と手を組んでパートナーシップを作っていかなくてはならない。それらを含めて今から取り組みがスタートするというところになりますね。

田部井:K-CEPではこれから取り組みを強化されたいということで、まずは材料集め、情報集めという趣旨でご参加されている企業も多いと思いますので、是非この機会に業界全体で得るものやご緑がつながるものになればいいな、と私たちとしても思っております。

米田氏:今回のK-CEPでの実証実験も社内での取り組みを考えるテストパターンとして活用させていただきたいと思っています。他社連携という点では、調達や環境配慮設計についてもそうですね。現状では、バイオプラスチックにしても再生プラスチックにしても、やはり容器メーカー様への依頼をどのように進めていくのか、他社とどう連携するかが、今後の課題ですし、取り組んでいかなければならないテーマの1つではないのかと思っております。

田部井:なるほど、環境配慮設計の基準でいきますと、例えば御社では「再生資材を10%使う」というような基準があると思うんですが、そのパーセンテージを高めていかれる予定などはあるんでしょうか。

米田氏:環境配慮基準につきましては、まずはエコマークの基準値を合格点とした自社独自の基準を設定しました。エコマークは日本で唯一のタイプ1環境ラベルなので、そのエコマークを表示するために必要な基準を弊社の基準値として設定したことで、自社基準に客観的な根拠を求めました。

▼マンダム 環境配慮基準

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田部井:なるほど。まずは、商品面で自社の環境配慮基準をクリアしたアイテム数を増やしていくと同時に、外部認定・認証制度の多様な環境配慮の基準を満たす商品を増やしていく方がいいんじゃないかと、そういうお話ですね。

米田氏:両面で進めていくのがいいのではないかなと思っています。複数の配慮基準に合うということは、製品のライフサイクルそのものにも様々な側面で対応できるということですね。正直、自社の環境配慮基準をクリアしている製品さえも、まだ4割にも満たない状態です。まずはそれをクリアする商品を増やしていこうという段階です。

田部井:このサステナビリティの取り組みを推進していった時に、例えば「パッケージがこう変わりました」みたいなことも新しい訴求のポイントになったりすると思うんですね。そういう意味では、その対外的な発信の部署、例えば営業の部門やマーケティングの部門、そういったところとの連携も必要になってくるかと思うのですが。

野﨑氏:商品の企画やプロモーション企画をしているマーケティング部門や、包材設計をしている部門などとは、プラスチック削減のことやバイオプラスチック の採用のこと、FSC認証のことなど、こんな取り組みをしたらどうPRできるかという事で相談する機会というのは増えていますね。また対外的にどうPRしていくかという点では、広報部とも「どういった提案ができるか、訴求ができるか、あるいは、グリーンウォッシュにならないか」ということは特に最近は密に話しています。
後編に続く)

話し手プロフィール(執筆時点)

07mandom_matsudasama_profile2.jpg松田 哲明(まつだ てつあき)氏
株式会社マンダム
執行役員

1997年マンダム入社。海外グループ会社への15年間の出向を経て、2019年より経営管理部にて、グループ経営管理業務に従事。2020年より執行役員として、経営戦略部、ESG推進室、経営管理部を担当。

08mandom_yonedasama_profile3.jpg米田 実(よねだ みのる)氏
株式会社マンダム 
ESG推進室 室長

1988年マンダム入社。西日本営業本部配属。1999年より5年間、国内グループ会社出向。
2009年お客さま相談室にて顧客対応業務に従事。2014年CS統括部(2015年CSR推進部に改称)2020年組織改編によりESG推進室にて業務、現在に至る。

09mandom_nozakisama_profile3.jpg野﨑 琢馬(のざき たくま)氏
株式会社マンダム 
ESG推進室 課長

2002年マンダム入社。国内グループ会社への出向を経て、2015年より広報IR室(現IR室)にて、機関投資家・個人投資家に向けた情報開示や対話に従事。2020年よりESG推進室において、サステナビリティ戦略の策定やマテリアリティの特定、サステナビリティに関する社内浸透など、サステナビリティ全般に取り組んでいる。

聞き手プロフィール(執筆時点)

tabeisan.png田部井 進一(たべい しんいち)
アミタ株式会社
取締役

アミタグループへ合流後、主に企業の環境部・サステナビリティ部門を対象に、環境ビジョンの策定や市場調査など、多くの支援実績を持つ。2020年より取締役として、アミタ(株)における営業および市場開拓を担当。アミタグループの事業の柱となる「社会デザイン事業」の確立に向けて、新規サービスの創出・新規市場開拓を進める。

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