ウシオ電機|CSR浸透のために徹底した現場主義を貫く | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

ウシオ電機株式会社 CSR部長 氏家 啓一氏ウシオ電機|CSR浸透のために徹底した現場主義を貫く

変化の激しい今の時代、就職・転職の際の企業選びは「給与の高さ」や「安定性」だけではなく、「企業姿勢や一緒に働いている人に共感できること」「自分の能力を最大限活かせる風土があること」も大事にしたほうがいいのでは?そんな想いからスタートしたインタビュー。今回はウシオ電機株式会社にてCSR部長であり、国連グローバルコンパクトで分科会推進委員会の委員長も務めている氏家 啓一氏に現在のウシオ電機のCSRの取り組みをお聞きしました。

1年間の研究によって導き出したウシオ電機オリジナルなCSR

d556f69a45f15c73da574d4fe6a4b40e.jpg中村:2009年にCSR部が結成され、第1フェーズとして2013年まではCSRの取り組みの基盤づくりや情報収集をされてきましたよね。現在は第2フェーズであり、CSR課題の深堀り時期に突入されて2年目ですが、現状はいかがでしょうか?

氏家氏:PDCAサイクルのPDまで終了したと思っています。CSR部が立ちあがってから、「ウシオ電機のCSRとは何か」について専務と1年間研究しました。その際に、ISO26000を参考にしながら、ウシオ電機に合う5つの軸を設定し社内インタビューや外部との交流を通じて、マテリアリティを模索してきました。2、3年前から事業計画にCSR計画を組み入れてもらえるようになりました。第2フェーズでは、進捗度を調査していきたいです。ここから先、CSRが定着するか、離れるかがわかりますね。

画像コメント:ウシオ電機のCSR中期計画は第2フェーズにきて2年目。

現場とFace to Faceで築き上げたウシオ電機のCSR

ushio002.jpg中村:御社のように社員が5000人もおられると、進捗度を調査するのは大変ではないですか?

氏家氏:5,000人は大きな会社ではないです。コミュニケーションがとれる範囲であり、CSRの取り組みの影響力が測れる範囲です。しかし、CSRの取り組みをKPI化できていないので、進捗度を調査するために、実際に現場に出向いてFace to Faceでヒアリングしているんですよ。

中村:なるほど、実際に現場の人と話をする場を設けると、本社のCSRの方針を直接説明することができ、誤解が生じることなく、浸透させることができるので良いですね。

氏家氏:いいえ、ヒアリング時はこちらからはあまり話さずに、現場の声を"聴く"ということに重点をおいているんです。最近はESG情報に投資家も敏感になっているので、以前よりは社内のCSRに対する反応は良いですが、ウシオ電機のメイン事業に無理をさせてはいけない。現場に足を運び、「埋もれているCSR活動をいかに拾い上げ、見えない企業価値をいかに見える化するか」が大切です。足を現場に運ぶという発想は、私が2年前まで姫路の工場にいたので、現場上がりだから浮かんだ発想でしょうね。遠くからの号令よりは、近くの耳打ちの方が効果があるときもありますからね。そして、現場の統括部門と話している中で浮かび上がったのが「紛争鉱物」の使用禁止。多くの会社はSECへの報告義務があるからという理由で調査をしていますが、当社は現場からボトムアップして築いてきた、まさに現場と一体化したCSR戦略が出来ました。

画像コメント:「CSRを浸透するには直接生産現場などに出向いてヒアリングして理解することが大事」と力説する氏家氏

現場主義のCSRはいよいよ第3フェーズへ突入

ushio003.jpg中村:第3フェーズへ突入になりますが、統合報告書の作成など考えていますか?

氏家氏:統合報告書のフレームワークの中には6つの経営資源が登場します。環境EMSでは①自然資本②製造資本。地球環境のことや省エネ、省資源製品をつくることですね。そして世の中に役に立つ商品を提供する③社会資本、技術として蓄積された④知的資本。これはQMSですね。そして最後の2つがこれらのベースとなる⑤財務資本と⑥人的資本。EMSもQMSも、これら資本を活用して社会への有用なoutcome(成果)を作り出す仕組みではないかと。

中村:第3フェーズでは具体的にはどのようなことを計画されていますか?また、ようやく現場と具体的な話し合いできるようになってきたと思うのですが、現場にそれらを要求することは難しくはないですか?

氏家氏:第3フェーズはPDCAのスパイラルアップですね。例えば、社会貢献商品の売り上げを全売上の何割にするか等、明確な目標設定をしていくことです。基本的には現場のひとりひとりが責任を持っていれば良いと思うんです。そのために、人事とともに階層別教育をしています。新入社員、マネージャー、部長以上という3つの階層に分けて教育しています。それぞれのレベルに合わせた、それぞれの役割について教育するためです。たとえば、新入社員には長い目でみた教育が必要ですし、マネージャークラスは上と下をつなぐ役割があるので、柔軟性を身に付ける教育、部長以上クラスは、常に会社に最も良い選択をするための教育をしています。大学で講義をすることもあるのですが、その際に当社の新入社員と同じ質問をして、解答を比較しています。

中村:なるほど、外部と内部の比較をして、その点をCSRに取り入れるということですね。最近の学生のCSR意識の高まりは感じますか?私も就職活動中は会社のCSR報告書を読んで会社選びの参考にしました。氏家さんから就職活動中の学生や新入社員に向けて一言お願いできますか?

氏家氏:最近の学生は震災のボランティアを経験している人が多く、CSRの活動が身についていて意識は高いですね。学生へのメッセージとしては「よく遊べ、よく学べ」ですね。長い人生の中では、専攻や得意分野と違うことをすることはよくあります。よく遊ぶことで、自分のバリエーションを増やすことは大切だと思います。学ぶ事により自転車は一度乗れたら一生乗ることができるように、研究や部活動でやってきたことは今でも活かすことができる。そうすることで、感情的な縦の広がりを養うことができますよ。

中村:氏家様、本日は貴重なお話しをありがとうございました。

画像コメント:今の学生への言葉として「よく遊べ、よく学べ」と笑顔で答えてくれた氏家氏。

プロフィール

mr.ujiie.jpg氏家 啓一(うじいえ けいいち)氏
ウシオ電機株式会社
CSR部長

大学では理論物理を専攻。1986年ウシオ電機株式会社入社後、技術系職を10年経験。工場にて商品開発を担当し、お客様のニーズに答えるモノづくりの難しさを学ぶ。その後、環境マネジメント部10年経験後、2009年CSR部に所属。CSR部結成当初からウシオ電機のCSRを先導している。

インタビュアー

nakamura.jpg中村 こずえ(なかむら こずえ)
アミタ株式会社 
環境戦略支援グループ カスタマーリレーションチーム

高知県出身。鳥取大学大学院終了後、環境問題に関心があり、アミタの「無駄なものなどこの世にない」という理念に共感して入社。現在は非対面の営業チームであるカスタマーリレーションチームにて、アミタの各種サービス提供を担当。

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