インタビュー
カルビー株式会社 生産本部環境対策部 部長 髙橋 正博 氏 / 黒瀬 光代 氏廃棄物管理の仕事は、責任ある社会との接点
カルビー株式会社では、2014年6月、各事業場の環境推進担当者を対象に、アミタの『カスタマイズ現地確認研修』を開催しました。研修内容は、アミタの茨城循環資源製造所を使った現地確認のシミュレーションを参加者全員で行う実践的なもの。
これまでも廃棄物管理業務において高い水準を保ってきた同社ですが、「本社の仕事は仕組みづくり。運用する担当者が、継続的にルールに沿った運用ができるようサポートする手段の一つが研修であった。」とおっしゃいます。この研修を主催した生産本部環境対策部の高橋氏と黒瀬氏に、研修を企画した背景や、廃棄物管理に対する同社の考え方を伺いました。
廃棄物管理の仕事は、責任ある社会との接点
-貴社がこれまで四年間、弊社のカスタマイズ研修を企画されている理由をお聞かせください。
高橋氏:工場のアウトプットとは何かと言われたら、何を思いつくでしょうか?まず、製品だと言われるでしょう。しかし、工場からは廃棄物も多く出ています。製品の管理と同じく、廃棄物管理も大切だと考えます。 廃棄物管理は現場の担当者からすると、社会との接点です。だからこそ社会に対して最低限のルール、法律をしっかりと把握しておかなければなりません。そこに不安があると担当者のストレスにもなってしまいます。しかし、なかなか現場では勉強する時間が取りづらく、廃掃法は毎年何かしら変わるので、社内の人員だけではポイントを押さえきれません。そこで、専門的なことは第三者であるプロに指導していただきたいと思いました。また、環境推進担当者同士が持つ同じ悩みを共有することによって、担当者のストレスを減らしたいと考えました。そのために横のつながりをつくれたらと思い、集合研修をアミタさんに依頼しました。
黒瀬氏:アミタさんという第三者に講義をしていただく方が、現場の担当者にとっては本社の人間が同じことを言うよりも話を受け入れやすいとも思います。日頃より本社側から働きかけることは大切ですが、第三者からもう一押しされると担当者も腑に落ちて、注意がけに耳を傾けるようになるのではないでしょうか。
環境対策部の仕事は仕組みづくり
-貴社の廃棄物管理の取り組みに、弊社のセミナーはどのように活かされているのでしょうか。
高橋氏:私たち環境対策部の仕事は、廃棄物管理の仕組みをつくることだと思っています。環境対策部が枠組みをつくり、それを運用するのが現場の担当者です。担当者が運用するには知識とスキルが必要となりますが、それらをセミナーで身に着けてもらいたいと考えています。知識の勉強と、知識を踏まえた実践の勉強も必要だと考え、今回はアミタさんの茨城循環資源製造所にて現地確認のシミュレーションをさせていただきました。知識にプラスして、スキルも身につけられる勉強ができる場として、アミタさんの研修を使わせていただいています。
黒瀬氏:廃棄物管理をこれまでされてきた方々が培ってきたことは活かして、変わっていくことに対しては付け足していく。世代交代になると切れてしまうノウハウを、研修を通してつなげていきたいと思います。
―ありがとうございます。この4年間で、廃棄物管理担当者の皆様に何か変化はありましたか。
研修は今年で4回目。1回目は廃棄物処理法のおさらいを、2回目はマニフェストチェック項目の確認と廃棄物管理者検定【基礎】(※)を、3回目はグループ討議とセルフリスク診断を行っています。セルフリスク診断とは、各工場の担当者たちが一つの工場を訪問し、自分たちで廃棄物置き場や契約書・マニフェストをチェックし、課題やリスクを可視化するというもの。4回目の今年は前述したアミタ茨城循環資源製造所を使った現地確認研修です。同じチェックシートを使って外部の処理施設を実際にチェックしました。
(※『廃棄物管理者検定』は2018年11月をもって、終了いたしました。)
高橋氏:環境推進担当者の、仕事を見る観点、疑問を抱く観点というのが、4年前に比べるとレベルが上がってきたと感じます。4年前に研修した際に出た質問は、マニフェストの書き方についてなど基本的なものでしたが、今では総合判断説を踏まえた逆有償の話など、より本質を突くような質問に変わってきました。また、各担当者がそれぞれに勉強していた時間や、一人一人が課題に悩んでいた時間など、各担当者の工数削減につながったと考えています。さらに、この4年間を通してスキルが上がってきたので、今後は、削減できた工数で、本来取り組むべき業務に注力していきたいと考えています。
黒瀬氏:今年の現地確認研修のアンケートから見て取れる効果として、経験の長い担当者は自分のやり方の再確認になり、経験の短い担当者は、チェックシートの活用方法・目的が理解できたという声があります。経験年数は違ってもそれぞれ得るものがあったようです。
各地域で、リサイクルの小さい輪を回していきたい
―貴社のリサイクルの展望をお聞かせください。
高橋氏:工場がある各地域にて、廃棄物が飼料やエネルギーとして循環していくような、小さい輪を回していきたいと考えています。過去に、農林水産省の事業に参加して、廃棄じゃが芋を使ったリキッドフィーディングの取り組みをしましたが、産官学がそろった良い例をつくることができたと思います。現在は、排出油を使ったBDF燃料で当社の製品を運送するという取り組みをしています。自治体との連携や法律など難しい面もありますが、地域を巻き込んだ活動ができればと考えています。
環境推進担当者研修もステップアップのステージへ
―過去4回の研修で、基礎はひととおり網羅されたかと思いますが、今後はどのような取り組みをしていく予定ですか?
高橋氏:基礎ができたからいいだろう、というのは間違い。基礎を継続することが大切だと考えています。今後も研修の半分は継続して基礎を回し続けていきたいと思います。残りの半分は、変化に対応するための取り組みや、ステップアップへつながる新しい取り組みができないかと考えています。廃棄物管理は、廃掃法の改正等変化が多いのですから。その部分についても、アミタさんから提案いただきたいですね。いくつかのオプションプログラムをカスタマイズして中長期的なプログラムも考えられればと思っています。
―ぜひ、今後も貴社のお役に立てればと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
ご利用いただいたアミタの教育サービス
毎年の環境研修は重要な教育機会。だからこそ、テーマ、カリキュラム、講師の選定は環境・CSR担当者様の悩みの1つです。
アミタでは、10年以上にわたり大手企業を中心に250社以上の研修実績があります。分野は廃棄物管理に限らず、環境・CSR全般で、リサイクル工場で行う現地確認等、座学以外のカリキュラムもご要望に応じてご用意しています。特定講演の一部分に講師を派遣することも可能です。お客様の課題・予算・お時間に応じて課題抽出からご支援いたします。
話し手プロフィール
髙橋 正博 氏
カルビー株式会社
生産本部環境対策部 部長
「基本を大事に!」をモットーに工場、スタッフ業務をやってきました。工場建設に携わったころから生産工程からは製品だけ出るのではないことが身をもって理解できました。6年前からこの部の担当になり、継続できる仕組みづくりに向け、頑張っています!
黒瀬 光代 氏
カルビー株式会社
生産本部環境対策部
環境対策部に所属となり5年目、主に廃棄物を担当しています。環境はとても広い分野で、日々勉強の連続です。各担当者が安心して業務に取り組める体制づくりに頑張ります。
聞き手プロフィール
田部井 進一
アミタ株式会社
環境戦略支援グループ チームリーダー
関東エリアに所在する企業の廃棄物リサイクル・リスクコンサルティング営業に長年携わり、廃棄物リサイクル、環境コンプライアンス、再資源化の市場調査からCSR、環境コンサルティング、セミナー講師まで、あらゆる場面で幅広い顧客へのソリューションを提供している。
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