インタビュー
株式会社タカヤマ 専務取締役 齊藤 康祐 氏 コントロールグループ 主任 小山 絢 氏 コントロールグループ 係長 田村 勇太 氏 顧客に自分たちの活動を知ってもらい、社員が自分達の仕事や取り組みの意義を確認し、誇りを持つ
廃棄物処理業を営む株式会社タカヤマでは、若手社員が中心となってCSRレポートの作成を企画。若手を受け入れ、しっかりと見守った専務の齊藤氏と小山氏、田村氏の3名に研修を企画した背景をうかがった。
―CSRを学ぼうと考えた背景は?
齊藤氏:行政は企業に対して信頼できる処理業者を選ぶよう指導しており、処理業者は自分たちの姿勢をCSRレポートなどでしっかりと外部に伝える必要があります。 弊社ではCSR活動に取り組んではきましたが、活動をまとめたことはなく、そうした中、『若タカ会』から「CSRレポートを作成したい」という声があがったのです。
田村氏:『若タカ会』とは「タカヤマの若手の会」の呼称で、若手社員で構成された勉強会です。私も会社からさまざまな勉強をさせてもらいました。そうして学ぶうちに、メンバーから「いつまでも受け身でいるのではなく、何か成果を出して会社に恩返ししたい」という声があがるようになったんです。それで,自分たちにできることはないかと考え、辿り着いたのが最終的にはCSRレポートを作成することでした。
―CSRレポートを作成するために、まずは研修を受講したということでしょうか。
田村氏:はい。いざ「CSRレポートを作成するぞ」と思っても、そもそもどうやって進めたらいいのか、どういうまとめ方をすればいいのか、全く分からなかったんです。「そもそもCSRとは何なのか」、「いつ生まれて何のために取り組むのか」、そういった基本的なところも知る必要があると考えました。
小山氏:アミタさんにお願いしたのは、普段から『おしえて!アミタさん』を読んでいたからです。国連のグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークにも参加していて、すでにCSR研修にも実績があることを知り、個別におこなっていただけないかと電話でお問い合わせしました。
田村氏:セミナーの内容はコンサルタントの方と直接相談しながら決めました。CSRの歴史や基本概念を学びながら、まずは「なぜ今の時代CSRが求められているのか」を教えていただくことにしました。参加者は『若タカ会』のメンバー20名。社長や専務も参加してくださいました。
―研修を受けた感想をお聞かせ下さい。
小山氏:近江商人の「三方よし」に見られるように、「CSRの考え方は昔から日本にあったものだ」というお話が印象に残っています。タカヤマも、誠実に事業を行うことで環境に貢献してきました。新たに何かを行うのではなく、今あるものを見つめ直し、発展させていくことが大事なのだと改めて気づきました。
田村氏:私がタカヤマに入社したのは環境問題に関心があったからなんです。一言で廃棄物処理といっても色々な方法があります。どうしたら廃棄物を減らしていけるか、リサイクルができるか、お客様と一緒に考えてきました。そうした日々の業務が社会とつながっていることを再確認しました。
齊藤氏:「産廃」という言葉のイメージがあまり良くないからか、同業他社の方には、自社の事業に自信がない方もいらっしゃいます。でも、誠実に事業を行っている会社はもっと胸を張っていいはずです。日々の活動姿勢や想いを伝えるだけで、業界内での差別化に繋がるのではと考えています。
田村氏:研修後の社員アンケートは全員が「非常に満足」「満足」と回答していて、セミナーを企画してよかったと思いました。
―CSRレポート作成に役立つことはありましたか?
小山氏:講師の猪又さんに「誰のためにCSRレポートを作るのかを考えましょう」と教えていただいたのですが、そこは抜けていた視点でした。研修後のアンケートで全員がそのことに言及していて、改めて誰のために作るのかを考えました。まずは顧客に自分たちの活動を知ってもらうこと。次に、社員が自分達の仕事や取り組みの意義を確認し、誇りを持つこと。そういったツールにしたいと考えています。
田村氏:研修を受ける前は、CO2排出量等のデータを載せればという程度で考えていました。でも、これまで行ってきた地域の清掃活動や社員満足度向上の取組みもCSRの一部だということが分かり、研修後にメンバーで「この活動もレポートに入れられるね」「これも入れよう」と盛り上がりました。今後、環境、地域社会、事業、品質など、項目毎にリーダーとメンバーを決めて内容をまとめる予定です。
―今回、若手社員の方々が中心となって研修を企画したこと、経営層がそれを受け入れ実現したこと、どちらも素晴らしいと感じました。
齊藤氏:はい、会社としても、「自分ごと」として考え行動する人材が育っていくのは喜ばしいことです。自分の提案が通れば愛着も湧くし、一緒に会社経営に携わっているのだという意識も強まりますよね。今回、若手に運営を任せてよかったと感じました。
田村氏:アミタさんから「グループワーク時に若手社員が積極的に発言し、どんどん物事を進めていく姿に感心した」とおっしゃっていただいたのですが、社外の方からそうした感想をいただき、これまで『若タカ会』の運営を通して学んできたことは無駄ではなかったと実感できました。次は一つ下の世代に運営を任せて学びを循環させていきたいと思います。
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