インタビュー
広友ホールディングス株式会社 環境推進部 課長 竹村邦夫様 / サブリーダー 藤村 真美子 様"レンタルこそ「エコ」なんです" -営業ツールにもなる環境報告書とは?
「環境報告書って、本当に必要なの?」 ステークホルダーとの大事なコミュニケーションツールである環境報告書。でも、他部署からその価値をわかってもらえず、肩身の狭い思いをしている担当者の方もいるかもしれません。では、もし、環境報告書が営業ツールとして使えるとしたら?
総合備品のレンタル事業を展開する広友グループでは、アミタの『環境・CSR報告書作成支援サービス』を利用して環境報告書を作成しました。コンセプトは"お客様に伝わる報告書"。営業シーン等、様々な場面で使えるものにしようという工夫がちりばめられています。「報告書の中に営業が一人いて、仕事をしてくれる。そのぐらいの活躍をしてくれると期待しています。」と言うのは、広友ホールディングス株式会社環境推進部の竹村氏(写真右)、藤村氏(写真左)。お二人にお話を伺いながら、環境報告書の中身をご紹介します。
「気づいたら、環境に貢献していた」
-広友グループ様は、法人のお客様から机や椅子等のオフィス家具を買い取りリユースショップで販売する等、総合備品のレンタル事業を核としながら、そこから派生した様々な事業を手がけていますね。いずれも、本業を通して環境に貢献していらっしゃるという印象です。
藤村氏:広友グループでは、経営理念に近江商人の"三方よし"の精神を取り入れています。事業の柱である"レンタル"は、ひとつのものを繰り返し使うということです。大量生産・大量消費ではなく、仕組みによってものを最大限活用する。レンタル事業を通して、利益の創出と環境への貢献を両立していきたいという考えが根幹にあります。
竹村氏:広友がレンタル事業を始めたのは1968年で、オフィスの机や椅子はどんどん買って不要になったらどんどん捨てるという時代したが、バブルが弾けて企業がコストを気にするようになりました。オフィス関連用品を新たに購入するのも、廃棄するのもコストがかかります。そこで、オフィス関連用品のレンタル事業の需要が高まってきたのです。当時はそこに需要があるのでビジネスをしていましたが、振り返ってみると、レンタルを推進することで環境にも貢献していたことに気がつきました。
-それは面白いですね。「環境活動をしよう」と決めて取り組むのが一般的ですが、お客様のニーズに応えた事業展開をしているうちにいつの間にか貢献していた、と。
竹村氏:ええ。弊社の取り組みを見直してみたら、環境に貢献していることがたくさんあったのです。「事業を通じて社会に貢献する」という思いで取り組んでいたら、世間で言われている「3R」を自然と実践していました。そこで、これらを整理してまとめ、私たちのことをステークホルダーの皆様にもっと知ってもらおう、そしてもっと活動を広げようと考えたのです。お客様はもちろんのこと、協力できる団体があれば一緒にやっていきたい、と。その為のコミュニケーションツールとして環境報告書を使えないかと考えました。
目指したのは、"お客様に伝わる環境報告書"
-それで今回、環境報告書の作成支援をご依頼いただいたのですね。
竹村氏:今までの環境報告書としての役割をきちんと果たしながら、企画書やプレゼンテーションツールとしての役割も果たすようなもの。営業が、それを見せながらお客様への説明できるものにしたいと思いました。
藤村氏:アミタさんに依頼したのは、環境マーケティングの実績があったからです。弊社の事業のポイントを整理してお客様にわかりやすくお伝えし、新たな事業の可能性を見出していただけるのでは、と思いました。また、各社の環境・CSR報告書が掲載されているCSRJAPANもご紹介いただき、参考にさせていただきました。
-制作時は、「どういう頁が読まれるか」「どうすれば伝わるか」をアドバイスさせていただきましたが、いかがでしたか。
竹村氏:表紙に大きく『レンタルはエコ?』と特集のキーワードを掲載していますが、通常の環境報告書の表紙と言えば『○○会社 環境報告書2012』という感じですよね。オリジナリティがあって気に入っています。表紙で興味を惹かれて手にとり、中を開いてその答えを知る。いい構成だと思います。
藤村氏:営業の方にも意見を聴き、お客様に説明しやすいよう項目をまとめ、必要な図表を入れる等の工夫をしました。いま関心が高まっている太陽光発電システムのレンタル事業については、見開きで特集を組んでいます。
竹村氏:報告書の中に営業が一人いて、仕事をしてくれる。そのぐらいの活躍をしてくれると期待しています。
社員の家族にも見てもらいたい
-社内から反応はありましたか?
竹村氏:社員にはこれからアンケートを実施して反応を聞く予定ですが、社長が「社員全員に配って、家族にも見てもらいなさい」と言ってくれました。社員の子どもたちから「お父さん、お母さんの会社はこんな会社なんだ、ちゃんと社会に貢献しながら仕事をしているんだ」と誇りを持ってもらう、まずはそこから始めたいと。環境推進部としては、良い意味でプレッシャーになりますね。取り組んでいないことは書けませんから、これからもしっかりやろうと思います。
藤村氏:「学生向けの会社説明会でも配布しよう」という話も出ていますね。環境に関心を持っている学生さんも多いですから。"伝わる報告書"というコンセプトにしたことで、環境報告書の配布先が広くなりました。
-広友グループ様では、今後どのような活動に力を入れる方針ですか?
藤村氏:生物多様性には配慮していきたいと思っています。また、エネルギー問題も深刻なので、太陽光発電システムレンタル事業の拡充を行いたいと考えています。
竹村氏:先日の日経新聞に、「大手家電メーカーが温室効果ガスの排出量計算においてScope3を採用する」と書かれていました。今までは製造段階だけ計算して終わっていたのですが、今度はライフサイクルの川上(調達)から川下(廃棄)まで、総量でCO2排出量を計算するということです。
弊社では、5年前にそうした取り組みが必要だと考え、使用時の排出量計算方法を策定しました。独自で編み出した手法なので国際基準とは少々違っているのですが、基本の考え方は同じです。
今回、大手のメーカーさんが取り組みはじめたと知って、「私たちが今までやってきたことは間違っていなかった」と嬉しく思いました。小さな会社でも、環境のことを真剣に考えていれば、世の中の本流と同じところに行き着くんですね。今後も先んじて新しいアイディアを考え、社会に必要なものを提供していけたらと考えています。
-広友様の今後の環境報告書が楽しみです。本日はありがとうございました。
プロフィール
竹村 邦夫 氏
広友ホールディングス株式会社
環境推進部 課長
2008年環境経営推進プロジェクト発足、同事務局担当。エコアクション21導入、カーボンオフセット付きレンタル企画に携わる。2010年環境推進部設立に協力。2012年環境経営全般に携わる。
藤村 真美子 氏
広友ホールディングス株式会社
環境推進部 サブリーダー
2007年に入社後2年間レンタルの営業を経験し、環境推進部に異動。主に環境報告書の作成等を担当する。
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