「小さな企業のCSR」~CSRレポートは事業計画を作ることと同じです~(2/3) | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

株式会社カスタネット 代表取締役社長 植木 力様「小さな企業のCSR」~CSRレポートは事業計画を作ることと同じです~(2/3)

  • 「CSRレポートは大企業でないと予算も人員もなくてとても作れない...」
  • 「課題もきっちり報告しましょうと言われても、結局は上長の修正が入る過程で消されてしまう...」
  • 「うちにはCSR活動をやる予算はないんだと言われてしまう...」

「『それではいけません!』と正論で言われても現実は違うんだ...」、とお悩みのご担当者様に、実際それらのことを実行されている株式会社カスタネットさんはどのようにされているのか、うかがってきました。
3回連載の第2回です。

会社案内を充実させようとしたときにCSRレポートを思いつきました
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猪又:ビジネスをするといっても、通常は投資するお金がないということにもなりかねません。しかし、お金をかけなくてもできることは多々あると思うのですが、御社がCSRレポートを作ろうと思われたきっかけはなんですか?

植木氏:皆がCSRレポートは大企業しか作らない、作れない。だからチャンスだと思ったんです。理由が二つあって、一つはCSRの研究会で大学の先生方が中小企業でCSRレポートはありませんとよく聞かれた。研究者は中小企業のCSRレポートを探しているし、見つけられていない。もう一つは同じ研究会で大企業のCSR担当者が、CSRレポートを会社のホームページに掲載しても誰も見に来ないのは分かっている。

それがずっと頭の隅にありました。当社は2010年8月に事務所を移転しました。それまで会社案内はA4一枚でしたが、住所が変わったので作り直さないといけない。せっかくだから会社案内をもう少し充実させようとしたときに、先に言った二つの情報がつながって、会社案内はCSRレポートでいいんだと思いつきました。別に毎年発行しなければいけない訳ではないですし、レポートがないよりはあるほうがCSR情報も発信できる。

猪又:「小さな企業のCSRレポート」という名前はどこから生まれたのですか?

植木氏:単に「CSRレポート」だと研究者が探せない。差別化するために、中小企業という意味を入れたかったが、中小企業というのは少しかたいでしょ。それで、「小さな企業」にしたんです。

猪又:素敵な名前ですよね。私が中身を拝見していてとても素晴らしいと思ったのが、出来ていない部分がしっかりと書いてあること。CSRレポートは本来出来ていること、出来ていないことを含めて現状をしっかり伝えることが重要ですが、読んでいてわかりづらいことが多い。御社のレポートは最初にサマリーで、出来ていることと出来ていないことの要点が簡潔に記載されていて、とても読みやすい。専門家でなくてもわかるように書かれています。

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植木氏:これが、大企業と真っ向から勝負できるところだと思ったんです。私もかつて大企業にいましたが、大企業は大きい組織なので、レポートを作る担当者が自分の会社の課題を書こうとすると、経営者非難になる。仮に経営者がそれを求めていてもレポートラインを上がっていく途中で部長やら課長が原稿から消してしまう。でも経営者になって痛感することですが、本当に報告が欲しいのは出来ていないことなんです。大きな組織はトップが書けといっても、組織である以上難しいのです。だから我々はそこを強みとして打ち出しました。

猪又:かなり戦略的に考えて作ってらっしゃることがよくわかりました。2012年度版で改良されたことは何ですか?または意識の違いとかはありましたか?

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植木氏:やっぱりプレッシャーはかかりました。前回の約束で出来なかったことを書きながら、一覧表にしました。改善点は活動の開始時期と、継続期間、あとは金額規模です。いつからやって、どのくらいの規模でやって、今やっているのかいないのかというところ。大企業のレポートを読んでそこがわかりにくいと思いまして。ちなみに目次を編集するときに、CSRJAPANのカテゴリを見て参考にしました。ガイドラインよりわかりやすく整理されていたので助かりました(笑)

猪又:ありがとうございます。 私も活動規模や期間を知りたくてレポートを見ていますが、中々うまく調べられない。結局、過去の経緯は担当者が変わるたびに不明瞭になる。CSRレポートは本来企業と社会との持続可能性を追求するものなのにそこがわからない。おそらく植木様自身が読者視点で課題を見つけられたから読みやすいのでしょうね。このレポートは最初にしっかりサマリーがあるので読みやすいのです。

第3回に続く)

▼連載記事一覧はこちら
第1回:CSRの本質は社会に役立つことでお金が儲かるということ
第2回:会社案内を充実させようとしたときにCSRレポートを思いつきました
最終回:CSRレポートは事業計画を作ることと同じ

関連情報
プロフィール
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植木 力 氏
株式会社カスタネット
代表取締役社長

1958年 京都府生まれ。高校卒業後、航空自衛隊に入隊。その後大日本スクリーン製造株式会社に転職し、管理系の仕事に従事。2001年に社内ベンチャー制度によりオフィス用品販売会社・株式会社カスタネットを創業。立ち上げから社会貢献活動を行い、創業2年で6000万円の赤字を抱えるも、活動を継続。徐々に取り組みが評価され、2010年に発行した『小さな企業のCSR報告書』で一躍有名となる。「企業にとって事業と社会貢献は車の両輪」をモットーに、社会貢献が企業の信用度を高め、営業面でも有利に働くことを実証した、社会企業家の草分け的存在。著書に『事業の神様に好かれる法17カ条』『小さな企業のソーシャルビジネス』等がある。

(聞き手)プロフィール
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猪又 陽一
アミタホールディングス株式会社
総合環境ソリューション推進グループ
マーケティングチーム リーダー

早稲田大学卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに就職。教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業の日本法人等の立ち上げに携わる。その後、株式会社リクルートエージェントを経てアミタに合流。環境・CSR分野におけるマーケティングを担当。2010年企業ウェブ・グランプリBtoB部門受賞サイト「おしえて!アミタさん」やCSRレポート比較サイト「CSR JAPAN」等をプロデュースする等Webを使ったコミュニケーション実績多数。

(聞き手)プロフィール
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蝦名 裕一郎
アミタホールディングス株式会社
経営統括グループ 共感資本チーム

神戸大学大学院国際協力研究科修了。アミタ株式会社に入社後、コンサルティング部門にて、企業の環境教育活動のプロデュース、省庁との地域活性化支援事業の運営等に携わる。ソーシャルビジネスに関する新規事業部門を経て、現在はCSRレポートの横断検索サイトCSR JAPANの運営とCSRコミュニケーションの分析、コンサルティング業務に従事。

■ブログ: CSRが当たり前になる世の中に

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