インタビュー
株式会社ディスコ 広島環境管理チームリーダー 高木 隆行 様社内を巻き込む環境活動(1/2)
~やってよかったと経営陣に思ってもらえるか~
企業のCSR・環境活動の課題として最もよく聞かれるものの一つに経営層や社員の巻き込みがあります。今回は、経営と一体となった環境活動を行い、社員の活動参加率も高い株式会社ディスコ 環境マネジメント室 広島環境管理チームリーダー高木 隆行氏に、経営層と社員を巻き込む秘訣、事務局のコツをお聞きしました。
環境経営度調査100位以内を目標に
蝦名:貴社の環境活動はどのようにして始まったのですか?
高木氏:1998年に弊社は環境マネジメントシステムISO14001を広島事業所で取得しました。比較的早くから経営に環境を取り入れた企業だと思います。
弊社は取引の約7割が海外のお客様です。基本的にお客様のニーズはQCD(品質、価格、納期)重視です。しかし、環境への対応をしないことには今後お客様の要望にお応えできないという外部状況がありました。
蝦名:どのような指標をおいて活動されたのですか?
高木氏:日経リサーチ社が実施されている環境経営度調査で2010年までに100位以内に入る、という目標を2002年に掲げました。ISO14001や廃棄物削減、化学物質を中心とした汚染の予防、省エネ、LCA等を中心に、自社の環境活動の長所、短所を分析して課題に対して対策を打ってきました。
部門目標に含めて各部門での活動も促進していましたが、2010年までは事務局が環境活動を引っ張り、環境経営度も40位まで上がりました。
「環境はお金にもやさしい」ということを経営層にきちんと理解してもらう
蝦名:ISO14001を取得した企業様は多いと思いますが、取得の先を目指すことはなかなか難しいようです。貴社はなぜ成果を上げられたのでしょうか?
高木氏:常に時代の1歩先を目指すということですね。実際ISO14001を本質的にやると、結果的にこのような姿勢になるはずです。後は、経営トップがきちんとそれを理解することだと思います。弊社の顧問(当時、常務取締役)は、「環境はお金にもやさしい」と当時から気づいていました。
蝦名:事務局として、経営層に理解してもらうポイントはありますか?
高木氏:事務局側のポイントとしては、環境活動をやってよかったと経営陣に思ってもらえるかどうかです。例えば、昔は廃棄物については、昔は業者さんの言いなりで処理をしていました。しかし、きちんと調べて分別すれば、有価で引き取ってもらえることもでき、コストから売上に転換できました。
経営者が「環境はコストだ」と思っているようでは、新たな取り組みにはなかなか挑戦できません。言われたからやるではなく、「環境はお金にもやさしい」ということを経営層にきちんと理解してもらうことが重要ですね。
これからはすべての社員の目標に環境を入れます
蝦名:2010年度までの目標を果たせた今、次はどのようなことに挑まれていますか?
高木氏:2020年度に向けて新しい環境ビジョンを策定しました。2010年度までは、どちらかというと関係部門&事務局主体で活動してきましたが、2011年度からは社員一人一人を巻き込んで活動しようということで、地球温暖化防止、資源循環、汚染の予防、生物多様性という4つのテーマの中社員一人一人が3件以上責任を負い、それを部門ごとに設定された規定件数を割り当て1年間活動することとしました。
今までは積極的な部門や人が中心に活動していましたが、今年からは社員一人一人がその目標を持ちます。重要なのは、目標を決めて、いつまでにどうやるというのを明確にすることで、これは、ISO14001でいう「目的、目標及び実施計画」と同様な活動となります。
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(聞き手)プロフィール
蝦名 裕一郎 (えびな ゆういちろう)
アミタ株式会社
マーケティング事業部 マーケティングチーム
アミタ株式会社に入社後、人事部門、コンサルティング部門を経て、企業の環境教育活動のプロデュース、省庁との地域活性化支援事業の運営等に携わる。
ソーシャルビジネスに関する新規事業部門を経て、現在はCSRレポートの横断検索サイト「CSR JAPAN」の運営とCSRコミュニケーションの分析、コンサルティング業務に従事。
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