自然に関わる企業だから持続可能なCSRは責務。廃棄製品の100%再資源化を目指しています。 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

パタゴニア日本支社 環境担当・篠 様 マーケティング担当・山崎 様 自然に関わる企業だから持続可能なCSRは責務。
廃棄製品の100%再資源化を目指しています。

パタゴニア日本支社では、自社製品の100%が埋立地に廃棄されずに、資源として循環することを目指し、廃棄製品について2010年からアミタ社のリサイクルサービスを採用されました。

自然資源と関連の深い事業を行っている企業として、環境保全やCSRに対する取り組み姿勢について、日本支社で環境担当をされている篠様、マーケティングをご担当されている山崎様にそれぞれお話を伺いました。

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(左から、篠様、山崎様)


原料調達からリサイクルまで、自社製品の環境負荷軽減を推進

―― お二人の具体的なご業務は?

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篠様:私は2004年ごろから環境担当になり、日本支社が行うさまざまな環境プログラムの責任者をしています。

環境プログラムというのは、自然環境保護に取り組むNPOの支援、事業を通じた環境負荷の抑制、社員の環境活動の推進が主な取り組みです。

山崎様: 私は自社の企業PRをメインに担当していて、各メディアの方々とコミュニケーションを取ったり、イベントを企画するなど、自社の取り組みを一般の方々に知ってもらうということが大きな役割です。

―― 以前から環境問題に取り組まれていたのですか?

篠様:はい、日本支社では1994年から助成金制度を開始し、製品面では2005年から、販売した商品で着古したものをお客様から回収してリサイクルをする「つなげる糸リサイクルプログラム」を実施してきました。ポリエステル製品については、パートナー企業様と共同でケミカルリサイクルによる循環に取り組んでいました。原料調達の部分から廃棄に至るまで、自社が製造者としての責任を考え、始めたものです。

その他にも、オーガニックコットンや再生ポリエステルなど、できるだけ環境に配慮した素材を使うようにしています。また、商品がお客様へ渡るまでのサプライチェーンの中でも、第3者機関と協力してできるだけ環境に対する影響を減らす取り組みを心がけ、社会的な面では契約工場の労働環境についても取り組みを進めています。

廃棄製品の全てを埋立ではなく、再資源化できるように

―― 企業として、かなり環境活動に積極的なように伺えますが。

篠様:もともとパタゴニアというのはアウトドアスポーツのための製品を販売している会社です。クライミングやサーフィンなど、アウトドアスポーツのためには健全な自然環境が必要です。

それなしには私たちのビジネスというのは成り立たないということが、環境活動に対する大きなモチベーションになっていると思います。私たち自身がフィールドに出て自然を楽しむとともに、実際にその荒廃を目の当たりにしていることが活動の原点です。

―― そうした活動の一つとして、リサイクルへの取り組みもあるのですね。

篠様:はい、2005年にそのリサイクルプログラムを始めたのですが、2010年を目処にパタゴニア製品を100%リサイクル可能なものにしたいという大きな目標を持っていました。2010年秋の段階で70%程度の製品がリサイクルできています。おそらく2011年の秋冬には90%程度、リサイクル可能になると思います。

しかし、目標であった100%は完全には達成できていないことも現実です。今後は製品が埋立地に廃棄されないことを目指して、リサイクルだけでなく、リデュース、リペア、リユースを含めて包括的に取り組んでいかなければと思っています。

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―― 廃棄製品のリサイクルをご存知でしたか?

篠様:いえ、知らなかったですね。アミタさんは以前から知っていたのですが、今回パタゴニアの新しいストアが千葉県一宮町に開設したのを機に、廃棄製品を破砕したマテリアルリサイクルというのをご提案いただいたのがきっかけで、知りました。

使い終わったサーフボードや、新品を輸送する際に使用されるパッキン(緩衝材)などの廃棄物がたくさん出るので、これを何とかできないものかとご相談しました。
緩衝材は廃プラとしてたくさんでるので、どのように処理すればよいのか考えていましたが、こういう形でリサイクルができるのはとても嬉しいです。

自分たちの言葉でCSR・環境活動を伝えていく

―― 多くの企業は、こうした取り組みをどう伝えればよいか悩んでいます。

篠様:パタゴニアの場合、おそらく一般の企業に比べて、会社の目指すところやミッションについて、社員、特にお客様と接するストアやカスタマーサービスのスタッフに理解を深めてもらうための努力が多いのだと思います。

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山崎様:また、メディアで紹介される場合に、いわゆるファッション的な切り口で取り上げられても一過性のものになってしまいます。

そうならないように、できるだけ商品の機能面や、環境に対しての取り組みにスポットを当ててもらえるようなコミュニケーションを心がけています。

CSR・環境活動がマーケティングとも連動している。

篠様:環境に関して実施したアクションを、マーケティングが、店舗やウェブサイト、メディア等を使って伝えていきます。パタゴニアの場合、いわゆるマスメディアというのは全く利用せず、自分たちの言葉で直接伝えたことを、今度はお客様がまた次の方にお伝えしていただく、あるいはフィールドで実際パタゴニア製品を使用している方の行動を通して、また支援している環境団体を通じて自然と伝わっていく。こうした口コミのような形で伝わっていくのが、パタゴニアにとって最も効果的なマーケティングだと思います。

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持続可能なCSR活動を行っていくためには利益が必要

―― 組織として環境に取り組み、事業に還元されているのですね。

篠様:我々はあくまでも営利企業です。企業を存続させるためには、リサイクルをしたり、支援をする一方で、お客様に選んでいただける製品とサービスを提供して利益を上げる必要があります。しかも、すべてが企業のミッションに基づく取り組み内容になっている必要があります。

自然の資源を使って事業をしていること、企業を支えているお客様や株主が健康な状態であり続けることを念頭におけば、その根本の基盤である自然環境を守っていくというのは企業としての当然の義務です。

そうした中で、他の企業に影響を与えていくためには、環境問題に真剣に取り組みながら、自分たちのビジネスが利益を上げて持続可能なものにはならなければいけません。一企業としての力は小さくとも、少しでも周囲に影響を与え続けられるよう、これからも取り組みをしていこうと思います。

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