Q&A
循環型ビジネスへ移行するには?経営戦略と価値観の統合が重要
循環型ビジネスへの移行には、特に、経営・事業戦略と価値観を統合することが重要です。「価値観」「ビジネスモデル」「リスクと機会」「戦略」「指標と目標」「ガバナンス」の6つの視点で考える必要があります。
目次 |
脱炭素実現のカギは、サーキュラーエコノミーにある?!
再生可能エネルギーへの切り替えなど、エネルギー対策の推進は重要な取り組みですが、脱炭素の実現には、それだけでは不十分であることがわかってきています。
エレンマッカーサー財団の報告では、エネルギーに関連する温室効果ガスの排出量は約55%であり、残りの約45%は、製品の製造と使用に関連するものであると指摘しています。
出典:エレンマッカーサー財団「Completing the picture: How the circular economy tackles climate change」より
この約45%に対し、どれほどの対策ができるのかが、脱炭素実現を左右することとなりそうです。そして、製品の製造と使用に関連する温室効果ガス排出の削減を達成するには、循環型経済、サーキュラーエコノミーへの移行が必要不可欠であるといえるでしょう(※1)。
※1 参考:エレンマッカーサー財団のレポート「Completing the picture: How the circular economy tackles climate change」5つの主要分野とする、セメント、プラスチック、鉄鋼、アルミニウムが対象例
▶関連記事:企業のサーキュラーエコノミー推進に向けた取り組みとは?
サーキュラーエコノミーへの移行を実現する、6つの視点とは?
サーキュラーエコノミーが重要だということはわかっても、どう取り組みを進めれば自社の企業価値を高めることができるのか、事業を循環型ビジネスに移行できるのか、悩ましい部分ではないでしょうか。
そのヒントになる6つの視点が、経済産業省・環境省により発表されたガイダンスにまとめられています。
▼サーキュラーエコノミーへの移行に必要な6つの視点(※2)
価値観 |
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ビジネスモデル |
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リスクと機会 |
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戦略 |
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指標と目標 |
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ガバナンス |
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※2 参考:経済産業省・環境省「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」
出典:経済産業省・環境省「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」より
循環型ビジネスへの移行事例
ではここで、循環型ビジネスへの移行について、建設業界のビジネスモデルを例に挙げてご説明します。現在の建設業界のビジネスモデルをサプライチェーンで表したのが下記の図です。
「現在の建設業界のビジネスモデル(Before)」
アミタ作成
鉄やコンクリートを使用し、耐久・耐震を満たした建物を建設し、その後の廃棄はユーザー、解体業者次第となっています。そして、昨今では上記のサプライチェーンのある一部分にのみESG視点を取り入れた動きがあります。例えば、CO2排出量が低いコンクリートを使用すること、消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物(ZEB)を建設することなどが挙げられます。しかし、このような部分的な対応ですとサプライチェーン全体でのCO2削減達成は難しくなります。
これに対してサプライチェーン全体を循環型ビジネスモデルへと設計するには、素材の開発や共感性の獲得、廃棄した後も再素材化できるようにするなど、サーキュラーエコノミーの視点を付加することが必要となってきます。これまでのビジネスでは取り組んでいなかったことで収益性と共感性を上げながら、CO2の発生量を下げる設計を行うことがポイントです。
▶関連記事:「未完」×「共創」のデザイン-共感のつくり方-
特に重要なのは、自社の本質的な価値観と統合できるかどうか
サーキュラーエコノミーを表面的な取り組みで終わらせないために重要になるのが、企業理念、ミッション・ビジョン、事業戦略を統合することです。これらが一気通貫して矛盾のない状態であり、さらに、自社の事業が提供する価値が、企業理念を体現していることが求められます。
サーキュラーエコノミー型のビジネスモデルへの移行は企業にとって必要不可欠です。自社の価値観・事業戦略にサーキュラーエコノミーの要素を取り込むことで、事業の本質を見直し、循環型モデルへ事業変革を推し進めていくこと、一貫した価値創造ストーリーとして社内外の理解を得ていくことが重要です。
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