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2021年ESG投資のトレンドは?気候変動など、注目すべき5つの分野

ESG投資の分野で今後、注目されるポイントは何か?世界的な金融リサーチ会社であるMorgan Stanley Capital International(以下、MSCI)※は、機関投資家を対象にして、毎年「ESG Trends to Watch(注目すべきESGトレンド)」を発表しています。ESG部門などの企業担当者はこれらをどう読み取るべきか?今回は、2020年12月に発表された2021年の注目テーマについてご紹介します。

参考情報:MSCIWebサイト「2021 ESG Trends to Watch」
     https://www.msci.com/our-solutions/esg-investing/2021-esg-trends-to-watch
      
※MSCI...世界的な金融リサーチ会社・指数算出会社。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式の運用として採用するESGインデックス(MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数)を算出している。

2021年ESG投資の注目テーマは?企業担当者はどう読み取る?

今回、発表されたテーマは、気候変動、ESG投資バブル、生物多様性、情報開示、社会的不平等の5つとなります。企業担当者の視点からみると、下記の点が重要であると考えられます。

  • 投資家が注目する個別テーマとしては、「気候変動」「生物多様性」に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から「社会的不平等の是正」が挙げられており、これらのテーマに関する取り組みの強化や情報開示が求められる。
  • 気候変動については、パリ協定に準ずる企業(投資先)の不足が指摘されており、企業においては脱炭素の取り組みが、ESG投資の側面からも求められることは明らかである。
  • ESG投資機関・投資家への情報開示の義務化が進んでおり、投資先である企業にも情報開示が求められる。
  • ESG投資先においての価格バブルの発生を、MSCIは否定している。

5つのテーマの要約は下記の通りです。

  • 1.気候変動:投資先がないというジレンマの発生

2015年に採択されたパリ協定にて、世界の気温上昇を産業革命前より2℃未満に抑えることが合意されたことにより、多くの機関投資家が、これらにあわせてポートフォリオを組んできました。しかし、今回のMSCIの発表では、今後、機関投資家がパリ協定に準拠した企業に投資を実行することはより困難になるとされています。(※https://www.msci.com/documents/10199/a7a02609-aeef-a6a3-1968-4000f1c8d559 「2021 ESG Trends to Watch | December 2020」p1)
多くの企業が温室効果ガス削減目標を掲げていますが、今後の5年間は、これまでよりも大幅に取り組みを加速させる必要があります。しかし、実際にこれらに対応し、パリ協定に準拠できる企業は少ない見通しです。大きな政策転換や技術的進歩がなければ、パリ協定に準拠した投資機会は大幅に制限されると言われています。(※同上、p3)
MSCIが2020年11月のデータをもとに調査した結果、機関投資家が1.5℃目標にコミットすると、ESG投資を全く行わなかった場合と比較して、ユニバース(選択できる投資商品群)が最大10%にまで縮小されると発表されています。2℃目標でも最大40%にまで縮小されるとのことです。(※同上、p6)
以上から、機関投資家は、今後、より企業のパリ協定への準拠を求めると考えられます。企業においては、引き続き、脱炭素に向けた取り組みが欠かせません。

  • 2.ESG投資バブル:価格バブルは発生しているのか?

 ESG投資が急増していることから、これらは単なるブームであり、価格バブルが発生していると捉える見方もありますが、MSCIはこれらを否定しています。(※同上、p9)具体的には、ESG評価が高い企業群とそうではない企業群とのパフォーマンスを比較すると、評価の高い企業群のパフォーマンスが良いという結果が出ていますが、これらの要因は、単に投資が集中したことによるものでなく、収益成長率の上昇や配当金の支払いの増加、自社株買いによる再投資収益の増加によるものであるとしています。(※同上、p10~12)

  • 3.生物多様性:高まる投資家の生物多様性への関心

MSCIによれば、生物多様性分野についても、今後、投資家の注目が集まるとされています。具体的には、2021年に中国で開催される生物多様性条約の第15回締約国会議において、2020年以降の世界的な取り組みの採決が目指されていることから、これらが、気候変動分野におけるパリ協定のように、生物多様性の転換点となる可能性があるとし、投資銘柄の選択にも影響すると発表されています。(※同上、p15)企業においても、自社の取り組みを見直す契機となります。

  • 4.情報開示:ESG情報開示の義務化が進む

機関投資家に対する情報開示の義務化が進んでおり、自ずとその投資先となる企業への情報開示の要請もさらに進むとされています。例えば、気候関連の財務開示に関するタスクフォース(TCFD)の報告は、2020年に国連責任投資原則(UN PRI)署名者の機関投資家に義務付けられました。またEUでは、新たなESG指標の報告義務が追加される可能性があるとされています。(2021年3月に最終決定)(※同上、p16)

  • 5.社会的不平等:格差をいかに是正するか

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、富の集中と格差が広がったとされ、投資家は是正に向けた動きを進めると見られています。(※同上、p19)これらは、ESGにおける「S」の部分にあたるものです。現に、2020年はソーシャルボンド※の発行が急増しており、MSCIは、これらは今後の投資の高まりを示すものであるとしています。なお、ソーシャルボンドは、グリーンボンドより、基準が明確に整備されていないため「ソーシャルウォッシュ」の可能性が懸念されていると記載されています。社会的不平等の是正は喫緊の課題であると示されています。(※同上、p20)

※ソーシャルボンド...社会的課題の解決に資するプロジェクト(ソーシャルプロジェクト)の資金調達のために発行される債券

さいごに

2020年の気候変動や異常気象、2019年は廃プラスチックの課題など「ESG Trends to Watch」においては、これまでも、その時々の課題が取り上げられてきました。改めて、自社取り組みを見直しましょう。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

pro_ishida.png石田みずき(いしだみずき)
アミタ株式会社
インテグレートグループ
カスタマーリレーションチーム

滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。おしえて!アミタさんへの情熱は人一倍熱い。

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