Q&A
改正フロン排出抑制法、対応事項を一覧でまとめて紹介【機器廃棄編】
「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(以下「フロン排出抑制法」)の法改正が実施され、2020年4月1日より施行されています。
本記事では、業務用空調機器や冷凍冷蔵機器など「第一種特定製品」の廃棄時におけるフロン排出抑制法の対応事項について、解説します。
※機器の所有・管理に関する対応事項はこちら
※編集部注記...「填」の表記について、フロン排出抑制法では旧字体にて表記されていますが、本記事では、新字体に統一しています。
フロン排出抑制法、機器廃棄時、対応状況チェックリスト
フロン排出抑制法に基づき、第一種特定製品を廃棄しようとする管理者(以下、廃棄等実施者)が、果たすべき主な内容をチェックリストで紹介します。
No. | 内容 | チェック |
1 | 廃棄する機器について、フロン類の充填有無の確認を回収業者に依頼できていますか?(もしくは回収を委託できていますか?) | Yes or No |
2 | <フロン類の残存が無く、廃棄物・リサイクル業者等に機器を引き渡す場合>確認証明書の写しを交付していますか? | Yes or No |
3 | <フロン類の残存があり、回収を依頼する場合> 回収を依頼する際に、行程管理制度に基づいた書面の交付はできていますか?また、それらを3年間保存していますか?(回収依頼書、委託確認書等の管理) |
Yes or No |
4 | 引取証明書を期日までに確認していますか?交付されない場合(または内容に不備や虚偽の記載があった場合)、都道府県知事への報告を行っていますか? | Yes or No |
5 | フロン類を回収した後の機器について、自ら廃棄物・リサイクル業者等に機器を引き渡す場合、引取証明書の写しを交付していますか? | Yes or No |
出典:フロン排出抑制法に基づき、アミタ株式会社作成
1. 廃棄する機器について、フロン類の充填有無の確認を回収業者に依頼できていますか?(もしくは回収を委託できていますか?)
廃棄等実施者は、第一種フロン類充填回収業者が当該第一種特定製品にフロン類が充填されていないことを確認した場合を除き、自らまたは他の者に委託して、第一種フロン類充填回収業者に対し、当該第一種特定製品に冷媒として充填されているフロン類を引き渡さなければなりません。(フロン排出抑制法 第41条より)
出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法) 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き第2版(令和2年3月)」より
また、第一種特定製品にフロン類が残存しておらず、フロン類を引き渡すことができないと判断できるケースもあるかと思います。その場合においても、第一種フロン類充填回収業者に、第一種特定製品にフロン類が充填されていないことの確認を受ける必要があります。つまり、廃棄等を行おうとする第一種特定製品について、フロン類が充填されていないことを廃棄等実施者が自ら判断することは認められていません。必ず、回収業者の確認を受けるようにしましょう。また、フロン類が充填されていないことが、第一種フロン類充填回収業者によって確認された場合、回収業者から「確認証明書」の交付を受けることになります。廃棄等実施者は、これらの確認証明書について、交付を受けた日から3年間保存することが義務付けられています。
出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法) 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き第2版(令和2年3月)」より
2.<フロン類の残存が無く、廃棄物・リサイクル業者等に機器を引き渡す場合>
確認証明書の写しを交付していますか?
前述の「確認証明書」については、交付を受けた日から3年間保存することが義務付けられていますが、この確認証明書の写しを、廃棄物・リサイクル業者等(第一種特定製品引取等実施者)に交付することで、当該第一種特定製品を引き渡すことができます。
3.<フロン類の残存があり、回収を依頼する場合>
回収を依頼する際に、行程管理制度に基づいた書面の交付はできていますか?また、それらを3年間していますか?(回収依頼書、委託確認書等の管理)
フロン類充填回収業者等への第一種特定製品の引渡し時には、法で定められた書面の交付が必要となります。回収依頼書や委託確認書など、引渡し先に応じて、必要な書類は異なります。また、廃棄等実施者は、回収業者等から引取証明書の交付を受け、引渡しが終了したことを確認しなければなりません。(詳細は後述)これらの書面については、交付または送付を受けた日から3年間の保存が義務付けられているため、注意しましょう。
▼第一種特定製品廃棄等実施者の書面の交付と保存について
フロン類の引渡し方法 | 第一種特定製品廃棄等実施者が交付する書類 | 第一種特定製品廃棄等実施者が保存する書類 (※3年間の保存) |
1.第一種フロン類充填回収業者に直接フロン類の回収を依頼する場合 | ・回収依頼書 | ・回収依頼書の写し ・引取証明書(回収業者から受領) |
2.フロン類の引渡しを他者に委託する場合(引渡受託者に委託する場合) | ・委託確認書 | ・委託確認書の写し ・引取証明書(回収業者から受領) |
3.引渡受託者からさらに再委託する場合 |
・委託確認書 ・再委託承諾書 |
・委託確認書の写し ・再委託承諾書の写し ・引取証明書(回収業者から受領) |
出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法) 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き第2版(令和2年3月)」より、一部改変
▼1.第一種フロン類充填回収業者に直接フロン類の回収を依頼する場合
▼2.フロン類の引渡しを他者に委託する場合(引渡受託者に委託する場合)
▼3.引渡受託者からさらに再委託する場合
出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法) 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き第2版(令和2年3月)」より
4.引取証明書を期日までに確認していますか?交付されない場合(または内容に不備や虚偽の記載があった場合)、都道府県知事への報告を行っていますか?
廃棄等実施者は、回収業者等から引取証明書の交付を受け、フロン類の引渡しが終了したことを確認しなければなりません。また、引取証明書の受領について、下記の3点のいずれかに当てはまる場合は、都道府県知事にその旨を報告しなければなりません。
▼引取証明書について、都道府県知事に報告が必要なケース
1.各書面(回収依頼書、委託確認書)を交付した日付から30日以内に、引取証明書が交付(又は送付)されない場合 ※ただし、解体工事の契約に伴い委託確認書を交付する場合には、委託確認書の交付の日から 90 日 2.引取証明書の記載事項に不備がある場合 3.引取証明書に虚偽記載がある場合 |
▼参考:引取証明書の記載事項
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出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法) 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き第2版(令和2年3月)」より
なお、報告は、回収依頼書の写しまたは委託確認書の写しを提出して行います。環境省および経済産業省発行の運用の手引きによれば、報告の書面について、様式や記載事項の定めはありませんが「報告年月日、報告者の氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名)および住所を記載するほか、廃棄等をしようとする第一種特定製品の状況、フロン類を適正に引き渡すために講じた措置および引取証明書の遅延理由等を記載する。」とされています。
5.フロン類を回収した後の機器について、自ら廃棄物・リサイクル業者等に機器を引き渡す場合、引取証明書の写しを交付していますか?
廃棄等実施者が、自ら廃棄物・リサイクル業者等(第一種特定製品引取等実施者)に第一種特定製品を引き渡す場合、引渡し先の廃棄物・リサイクル業者等に引取証明書の写しを交付する必要があります。
なお、廃棄物・リサイクル業者等(第一種特定製品引取等実施者)への依頼については、下記のようなケースがあります。対応が異なるため、注意しましょう。
●第一種特定製品引取等実施者にフロン類の引渡しを行うケース |
第一種特定製品引取等実施者に当たる廃棄物・リサイクル業者等が第一種フロン類充填回収業者であって、当該廃棄物・リサイクル業者等に、第一種特定製品の処分等の委託と当該第一種特定製品に充填されているフロン類の引渡しを行う場合。 ⇒ フロン類が充填されたまま第一種特定製品を引き渡すことができます。この場合、第一種フロン類充填回収業の登録を有する当該廃棄物・リサイクル業者等に回収依頼書もしくは、委託書確認書を回付する必要があります。 |
●第一種特定製品引取等実施者にフロン類の引渡しを委託するケース |
第一種特定製品引取等実施者に当たる廃棄物・リサイクル業者等に、第一種特定製品の処分等と当該第一種特定製品に充填されているフロン類の引渡しの双方を委託する場合。つまり、当該第一種特定製品に充填されているフロン類は、当該廃棄物・リサイクル業者等を介して第一種フロン類充填回収業者に引き渡される。 ⇒フロン類が充填されたまま第一種特定製品を引き渡すことができます。この場合、第一種フロン類引渡受託者に当たる廃棄物・リサイクル業者等に、委託確認書を交付する必要があります。 |
出典:環境省「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 (フロン排出抑制法) 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き第2版(令和2年3月)」より
さいごに
今回は、機器廃棄時の注意について解説いたしました。委託確認証の写しや引取証明書などの保存ができていない場合、30万円以下の罰金が科せられてしまいますので、注意しましょう。
引渡したフロン類は、その後、回収業者によって回収され、最終的には、再生・破壊業者等によってフロン類の再生または破壊が行われます。そして、処理の完了後、廃棄等実施者には、原則「再生証明書」や「破壊証明書」が回付されます。廃棄等実施者においては、これらの書類の保存義務はありませんが、回付をもって処理が完了したことを確認できます。フロン類引渡しが途中で途切れることなく、確実に実行できるように、機器廃棄時におけるポイントをしっかり把握しておきましょう。
執筆者プロフィール
石田みずき(いしだみずき)
アミタ株式会社
サステナビリティ・デザイングループマーケティングチーム
滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。おしえて!アミタさんへの情熱は人一倍熱い。
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