Q&A
地消地産とは?地産地消との違いとは?
地消地産とは、地域で消費するものを地域で作ろう、という考え方です。似たような言葉でよく耳にする「地産地消」とは、地域で作った農林水産物をその地域で消費しよう、という考え方であり、前者は「消費」を起点に、後者は「生産」を起点にした考え方であると言えるでしょう。
地消地産 | 地産地消 |
地域で消費するものを地域で作る | 地域で作ったものを地域で消費する |
地消地産と地域内経済循環
地域で生産したものを地域で消費してもらおうという立場の「地産地消」と異なり「地域で消費されているもの=地域のニーズ」を出発点とするのが「地消地産」という考え方です。つまり、そのニーズは地域に新たな産業・雇用を生み出す可能性を秘めたビジネスチャンスである、と捉えることもできるでしょう。また「地産地消」という言葉を聞いて一般的にイメージされる食べ物の地域内生産・消費にとどまらず、幅広い領域で「地消」を探すことが可能です。
例えば、地域の中で消費するエネルギーは、地域外に依存しているものの際たる例です。電気、ガス、ガソリンなどのエネルギーは、その多くを海外の化石燃料に頼っています。海外からの輸入に代わり、バイオマス発電などを活用し、地域で再生可能エネルギーを作り、地域で消費することは地消地産に取り組むひとつの手段となります。日本で増加しつつある地域密着のエネルギー会社の中でも、地域で電力を生産することを目指した取り組みもあり、その効果が期待されます。
地消地産を実践するための戦略を立てる際に理解しておきたいのが、地域の中で回るお金に着目した「地域内経済循環」という考え方です。地域の「漏れバケツ」の穴を塞ぎ、地域内で回すお金を増やすことが豊かな地域につながるメカニズムについては、幸せ経済社会研究所の新津氏による『人・もの・カネ・気もちが巡る「地域分散シナリオ」』にて詳しく連載していますが、ここでは地消地産に取り組むための最初のステップを先述の連載における考え方をベースに提案したいと思います。
地消地産に取り組む第一歩
まずは、地域でどんなものにニーズがあるのかを知る必要があります。例えば、地域住民の生活に関連した消費動向や、事業者が何をどこから調達しているのかを可視化することで、地域のニーズが見えてきます。さらに、LM3という手法や産業連関表を用いることで、個々の事業者や地域全体のお金の流れを可視化することができます。そして、外部に依存しているものを洗い出すことで、ニーズがあるテーマの絞り込みができます。
また、自分の地域が現状どのような状態にあるかは経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供している地域経済分析システム(RESAS:リーサス)を活用することで、概況がつかめます。
ここまでのプロセスでは、地消地産に取り組む入り口に立っただけで、持続可能な取り組み・事業として昇華させるにはさらに一山二山と乗り越えなければならない困難があるでしょう。しかし、地消地産という考え方を持ちお金の流れに着目することが、地域のチャンスを発見する機会になるのではないでしょうか。
参考情報
- 枝廣淳子,『地元経済を創りなおす』,岩波新書,2018
- 人・もの・カネ・気もちが巡る「地域分散シナリオ」
- 地域経済分析システム(RESAS:リーサス)
執筆者プロフィール
宍倉 惠
アミタ株式会社
地域デザイン事業グループ デザインチーム 社会デザイン事業プロジェクト
大学時代に緑のふるさと協力隊として、1年間農村地域に住み込み地域の暮らし・産業に係るボランティア活動に取り組む。地域コミュニティや自然との共生、循環型の暮らしの大切さを実感し、ビジネスを通して持続可能な地域づくりに貢献したいという思いでアミタに合流。合流後は企業向けの環境戦略支援を経て、現在は、小規模自立分散型の地域づくりに関する新規事業構想・構築に携わる。
関連情報
アミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。
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