Q&A
新型コロナウイルスの感染拡大における廃棄物管理業務の注意点と、今できる対策とは?
新型コロナウイルスの流行により、廃棄物管理業務に関するご相談が多く寄せられています。今回はその中から、2つのご質問についてご紹介します。
※本記事は、2020年4月9日時点の対応方法をまとめたものです。今後求められる対応は、状況により変化する可能性があります。予めご了承ください。
※本記事は、排出事業者の対策についてご紹介しています。
Q1. 現在の処理委託先が、新型コロナウイルスの影響で操業停止した場合はどうしたらいいですか?対策を教えてください。委託先を複線化すべきでしょうか? Q2. 現地確認(実地確認)が条例で義務付けられている場合はどうしたらいいですか?実地確認ができない場合、代わりに実施できる対策はありますか? |
Q1. 現在の処理委託先が、新型コロナウイルスの影響で操業停止した場合はどうしたらいいですか?対策を教えてください。委託先を複線化すべきでしょうか?
A1. まずは処理委託先とコミュニケーションを取ることが必要です。委託先の営業担当者や収集運搬会社と緊急時の連絡方法などを確認し、何かあればすぐに情報を取得できる関係をつくりましょう。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた 現在の操業状況や今後の事業への影響、見通しなど、どのような対策を行っているのかを確認しておきましょう。
この度の新型コロナウイルスの感染拡大によって、処理委託先が操業停止する可能性もあります。例えば、従業員に新型コロナウイルスの陽性反応が出た場合などです。こうしたケースでは、消毒が実施され、安全性が確認された後に業務再開になると考えられますが、業務再開までの期間は感染の拡大状況や消毒薬の調達状況によっても変わってきます。このように何らかの理由で、処理委託先が操業停止となった場合は「その間に自社の産業廃棄物の処理をどうするのか?」という課題に直面することとなります。
こうした場合は、適正処理できる先が他にある場合は、他の委託先に適正処理を委託すること、もし、適正処理できる先が無い場合は、委託先が見つかるまで適切に保管するということが、排出事業者に求められる基本的な行動です。「どう行動すれば適正処理が行えるか」という視点を常に持ちましょう。操業停止等の事態が発生した場合は、自社で保管できる最大量を把握し、また、委託先とよく相談して再開の見通しやスケジュールなどを確認した上で、処理方針を決めましょう。
操業停止期間が長期化し処理委託先が一つしかない場合は、処理委託先の複線化(複数の処理委託先を用意しておくこと)が急務になります。新規委託先の検討にあたっては、現地確認や廃棄物のサンプル取得が重要ですが、現在はこれらの実施が難しい状況でもあります。こうした事前の確認を十分に行えない中で契約を締結することは、処理困難による返品や事故・トラブルの発生などにつながるおそれがあります。
今すぐできる対策としては、インターネット検索(優良さんぱいナビ 等)で新規候補先を探すこと、処理会社の状況に詳しい収集運搬会社(日頃お付き合いのある信頼できる会社)に、自社が他に委託できる先は無いか相談することなどが挙げられます。
アミタは全国の処理会社とのネットワークがあり、複線化のご提案を行っています。ご相談ください。(ご相談はこちら)
また、冒頭で委託先とのコミュニケーションを取ることをおすすめしましたが、一時的な操業停止で処理会社の経営が悪化した場合、悪質なケースでは不適正処理を行う事業者が出てくる可能性もあります。こうしたリスクも考えられますので、日頃から委託先とのコミュニケーションを取っておくことをおすすめいたします。
Q2. 現地確認(実地確認)が条例で義務付けられている場合はどうしたらいいですか?実地確認ができない場合、代わりに実施できる対策はありますか?
A2. 実地確認の法的義務※について、今回の感染拡大を受けた緩和措置があるのか?という疑問を持たれる方も多いかと思います。先日、アミタが、実地確認を条例で義務化しているある自治体にヒアリングしたところ「条例の中では、例外規程は無いため、新型コロナウイルスの影響を踏まえて、実施しなくても良いとは言えない」との回答がありました。 現時点では、今後の対策については未定の場合が多く、これから判断がなされていくと段階にあると考えられます。定期的に情報収集を行っておきましょう。
※実地確認の法的義務...廃棄物処理法では、廃棄物の処理の状況に関する確認は努力義務とされており、実施が義務付けられているわけではありませんが、自治体によっては、条例や要綱で「実地確認」を義務付けている場合があります。その場合、定められた方法や頻度で実施する義務があります。
現状は、実地確認は難しいと考えられるため、Q1.でもお伝えしましたが、まずは現状の委託先とのコミュニケーションを取っておくことをおすすめします。連絡先がつながるかどうか、新型コロナウイルス感染者が出た場合の対応方針はどうなっているかなどを確認し、対策について相談しておきましょう。
その上で、各社においては今できる対策として、下記の様な対応を実施・検討されています。
- 電話やメールで確認した情報や、Web上で収集できた情報に基づき、簡易報告書を作成しておく。
- 新型コロナウイルスの未然防止や社員の発症時の対応等を含めて、書面でのアンケート回答を求める。
- 今後、実地確認をできない状況が続く場合は、ビデオ通話システムを用いて、現地へ行かない遠隔での現地確認を検討する。
実地確認が義務付けられている自治体でも、ビデオ通話システム等を使った遠隔確認が許可される場合もあります。遠隔実施については、自治体によって判断が異なるため、管轄自治体に可否を問い合わせる必要があります。(関連記事はこちら)
日々状況は変化していきます。現状の処理委託先と非常時の対応と対策について、十分に話し合っておきましょう。
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