Q&A
永続地帯(SustainableZone)とは?
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永続地帯とは、ある区域において分散的に得られる資源によって、その区域におけるエネルギー需要と食糧需要のすべてを賄うことができる区域のことです。この区域内で産出されるエネルギー及び食糧が数値の上で需要量を上回っていればよく、完全に区域内で消費(自給自足)している必要はないものとされています。千葉大学社会科学研究院の倉阪秀史教授が提唱した概念です。
エネルギー永続地帯と食糧自給地帯の定義
永続地帯を補足する概念が「エネルギー永続地帯」と「食糧自給地帯」です。
「エネルギー永続地帯」は、その区域における再生可能エネルギーのみによって、その区域におけるエネルギー需要のすべてを賄うことができる区域です。この区域におけるエネルギー需要としては、民生用需要と農林水産業用需要を足し合わせたものを採用しています。これは、これらのエネルギー需要は、高温高圧のプロセスを要せず再生可能エネルギーで供給可能であると考えられることと、地方自治体によってコントロール可能であると考えられることによります。なお、輸送用エネルギー需要はどの自治体に帰属させるかを判定することが難しいため除外しています。
「食糧自給地帯」は、その区域における食糧生産のみによって、その区域における食糧需要のすべてを賄うことができる区域です。
「永続地帯」とは「エネルギー永続地帯」であって「食糧自給地帯」でもある区域といえます。
永続地帯指標の役割
永続地帯指標は、次のような役割を担うと考えられます。
- 長期的な持続可能性が確保された区域を見えるようにする。
将来にわたって生活の基盤となるエネルギーと食料をその区域で得ることができる区域を示す「永続地帯」指標は、長期的な持続可能性が確保された区域が見えるようにする役割を担います。 - 「先進性」に関する認識を変える可能性を持つ
人口が密集する都会よりも、自然が豊かで人口の少ない区域の方が「永続地帯」に近い存在となります。持続可能性という観点では、都会よりも田舎の方が「先進的」になります。同様に、この指標を国際的に展開していけば、従来は「途上国」とみなされていた地域の方が、持続可能性という観点からは「先進的」であることが明白になることでしょう。 - 脱・化石燃料時代への道筋を明らかにする
今の世界は、一次エネルギー投入の9割を化石燃料に依存しています。しかし、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料は、数百年という単位で考えるとやがて枯渇に向かいます。とくに、地球温暖化の進行を考えると、枯渇する前に使用を制限して行かざるを得ません。「エネルギー永続地帯」指標は、現段階でも、再生可能エネルギー供給の可能性の大きな地域が存在することを明らかにして、このような地域を徐々に拡大していくという政策の方向性を明らかにする役割を果たします。
100%エネルギー永続地帯市町村は?
永続地帯研究会が発表したデータ「100%エネルギー永続地帯市町村一覧表」によると、2018年3月時点で電力自給率が100%を超えている自治体は、日本に157あります。そのすべてが、地方都市か中山間地域で、一般的に都市部と呼ばれる人口密集地域は1つも入っていません。
永続地帯2019年度版報告書によれば、日本では、2012年7月の固定価格買取制度の導入の効果により、太陽光発電を中心として全国で再生可能エネルギーの導入が進んでいるものの、その他の再エネの導入が横ばいにとどまっている状況が明らかになりました。(右表はクリックするとリンク先へ飛びます)
日本のエネルギー支出と再生可能エネルギーの導入ポテンシャル
環境省は、日本全体で現在エネルギーに関して、年間28兆円の支出があり、5万人の自治体で年間約100億円の支出という計算を発表しています。もしこれらのエネルギーに関わる費用が海外でなく国内、そして地域内で循環すれば、大きな経済的インパクトがあります。
一方で、日本は再生可能エネルギーの地域別導入ポテンシャルがエネルギー需要の1.7倍あるとの試算も環境省は発表しています。もし日本の未活用な自然資源を活用することができれば、海外に出ている資金が日本に留まり、二酸化炭素排出量の削減、地域雇用の創出など様々なメリットが見込めます。
現在、環境省は第五次環境基本計画を発表し、その核として地域循環共生圏を打ち出しています。これらの実現事例の1つがシュタットベルケです。今後、自治体新電力事業含めた地域の公共事業を統合的に行う日本版シュタットベルケを目指す日本の自治体が増えてくることが予想されます。その際、可視化する方法の1つとして「永続地帯指標」を活用してみてはいかがでしょうか?
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