Q&A
特管多量排出事業者|電子マニフェストの一部義務化にあたり注意することは?
2020年4月より、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)が年間50t以上発生する事業者は、電子マニフェストの登録が義務化されます。あわせて、電子マニフェストの使用状況について多量排出事業者処理計画に記載することが求められます。
電子マニフェストが義務化される対象者は?
電子マニフェストの一部義務化の対象となるのは、以下の条件を満たす場合です。
1. 前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)発生量が年間50 t以上の事業者
2. 当該事業場から発生する特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物除く)の処理を委託する場合
廃棄物処理法 規則第8条の31の2、第8条の31の3(2020年4月1日施行)
なお、上記は2020年4月1日からの施行となりますが、適用されるのは一昨年度の発生量からです。2018年にPCB以外の特別管理産業廃棄物が50t以上発生している事業者は、対象となりますので注意しましょう。ちなみに義務対象となるか否かは年度ごとに判断し、PCB以外の特別管理産業廃棄物の発生量が50t未満となった年度の翌々年度は、義務対象から外れますが、再び年間50t以上となった場合は義務対象となります。
また、1の事業者が通常の産業廃棄物を委託する場合は、義務化の対象とはなりませんが、環境省のQ&Aでも「電子マニフェストと紙マニフェストを併用するよりも完全に電子化したほうが業務の効率化などが図られるため、積極的に電子化していただくことをお勧めします」とあり、わざわざ併用するメリットは少ないといえます。
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一部義務化に伴い、改正される部分
電子マニフェストの一部義務化にあわせて、特別管理産業廃棄物の「処理計画」や「実施状況報告書」の記載事項も改正されます。(環境省 省令第二号 2018年2月2日)主な改正点は下記の3点です。
- 改正点1:処理計画に新たな項目が追加(2019年4月1日施行)
処理計画に「電子情報処理組織の使用に関する事項」という項目が追加されます。具体的には下記を記載する必要があります。
(※画像はクリックすると拡大されます。)
「電子情報処理組織の使用に関する事項」の欄には、前年度の特別管理産業廃棄物の全発生量(ポリ塩化ビフェニル廃棄物(令第2条の4第5号イからハまでに掲げるものをいう。)を除く。)を記入すること。その量が50tを超える者にあっては、今後の電子情報処理組織の使用に関する取組について記入すること。
(出典:環境省令第2号 (2020年2月2日) より抜粋)
- 改正点2:処理計画の項目を更に改正(2020年4月1日施行)
上述の処理計画における「電子情報処理組織の使用に関する事項」は、改正点1から、1年後にさらなる改正が行われます。改正点1では「今後実施する予定の取組」となっていますが、今回は「今後実施する予定の取組等」とされており、
新たに「情報処理センター(JWNET)への登録が困難な場合は、その理由を記載すること」が追加となります。具体的には、下記の記載が必要です。
※電子マニフェストを使用することが困難な場合については、後述しています。ページ下部をご確認ください。
「電子情報処理組織の使用に関する事項」の欄には、前年度の特別管理産業廃棄物の全発生量(ポリ塩化ビフェニル廃棄物(令第2条の4第5号イからハまでに掲げるものをいう。)を除く。)を記入すること。その量が50tを超える者にあっては、今後の電子情報処理組織の使用に関する取組等(情報処理センターへの登録が困難な場合として廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第8条の31の4に該当するときは、その旨及び理由を含む。)について記入すること。
(出典:環境省令第2号 (2020年2月2日) より抜粋)
- 改正点3:報告書に新たな項目が追加(2020年4月1日施行)
処理計画だけでなく「実施状況報告書」にも「電子情報処理組織の使用に関する事項」に関する記載が求められます。具体的な内容は下記です。電子化に向けて、何を実施したかの記載が求められます。
「電子情報処理組織の使用に関する事項」の欄には、前々年度及び前年度における特別管理産業廃棄物の排出量(ポリ塩化ビフェニル廃棄物(令第2条の4第5号イからハまでに掲げるものをいう。)を除く。)並びに電子情報処理組織使用義務者にあっては前年度に実施した電子情報処理組織の使用に関する取組(情報処理センターへの登録が困難な場合として廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第8条の31の4に該当したときは、その旨及び理由を含む。)について記入すること。
(出典:環境省令第2号 (2020年2月2日) より抜粋)
「電子マニフェストを使用することが困難な場合」とは?
義務化対象者のうち、例外として電子マニフェストを使用することが困難だと認められる場合があります。これらに該当する場合の具体的なケースが公表されていますので、以下にご紹介します。
- 電気通信回線の故障、天災その他やむを得ない場合
- 離島等で他に電子マニフェストを使用する収集運搬業者、処分業者が存在しないなどJWNET加入業者に委託をすることが困難であると認められた場合
- 常勤役員もしくは職員が、2019年3月31日において、全員65歳以上で義務化対象者の回線がJWNETと接続されていない場合
一部義務化による対応は、電子マニフェスト使用だけではありません!
2020年の電子マニフェスト一部義務化に向けての整備が着々と進んでいます。多量排出事業者にかかわらず、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)が年間数十t以上発生する事業場のご担当者様は、一度該当するかどうか確認されることをおすすめします。
お問い合わせ
参考情報
環境省ウェブサイト:「Q&A 電子マニフェスト使用の一部義務化等について」
環境省ウェブサイト:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則等の一部を改正する省令 環境省令第2号」
執筆者プロフィール(執筆時点)
米澤 理音(よねざわ りお)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ 西日本チーム
持続可能な社会を本気で目指すアミタの事業とその理念に共感し、入社。現在は、カスタマーホスピタリティグループ 西日本チームにて、リサイクルの配車連絡、非対面の営業などを担当。
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