Q&A
リビング・ラボとは?|ビンテージ・ソサエティ実現の鍵となる手法
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リビング・ラボは、市民・企業・自治体・大学・研究機関などのステークホルダーが集い、社会課題の解決をはかる実証実験の手法を指します。北欧を中心に活動の輪が広がり、コミュニティの持続可能性を高める共創活動として、日本でも関心が高まっています。産官学民連携を前提とした活動であるという解釈もありますが、実際には取り扱うテーマによってステークホルダーは変化することが一般的です。
リビング・ラボの特徴|住民参加型で社会課題を解決
リビング・ラボは一般的に、市民・企業・自治体・大学・研究機関などが集う場で、参加者の知見やノウハウを生かしてPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回し社会課題を解決していく取り組みのことを指します。できた製品・サービスに意見を述べる試供品テストや、出来上がった制度にコメントを出すパブリックコメントなどと異なり、1.サービス・制度の設計段階から検討すること、2.生活者自らが主体的に関わっていくことが特長となります。
また、単発のワークショップと異なり、継続を前提とした活動のため、地域コミュニティの課題など長期的視点で取り組むべきテーマの仮説検証に適しています。現在、明確な定義や手法が確立されているものではありませんが、複雑な社会課題に対応するために必要な枠組みとして、注目を集めるようになりました。
リビング・ラボのメリット
企業 |
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市民 |
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国のリビング・ラボの活用例|高齢化社会に向けて高まる期待
経済産業省は、今後直面する超高齢化社会に向けて「ビンテージ・ソサエティ(ビンテージ社会)の構築」を標榜しています(※)。ビンテージ・ソサエティとは、高齢者の社会参加促進や生活の質の向上を支える新産業・市場を構築することで、歳を重ねるたび人の「最盛期」が更新されていくような「ビンテージ(Vintage)」な人生にあふれる社会と定義されています。経済産業省はビンテージ・ソサエティを実現する手段として、2017年よりリビング・ラボの手法を本格的に取り入れています。
例えば、経済産業省が構築・運営する神奈川県川崎市の介護施設を舞台としたラボでは「入ると自立度が上がる、世界一生産性の高い介護施設」をテーマとし、スタッフ・入居者・企業・研究所・教育機関などを巻き込み、利用者の自立・自由・出番の拡大と施設としてのサステナビリティ(介護の生産性)向上の両立を追及するプロジェクトを行っています。
このような共創の場を通して、当事者の課題に即したより良いサービス、製品のアイデアが継続的に⽣み出され、社会で活用されるモデルケースを構築していくことを目的とし、リビング・ラボが適用されています。
また、JST(科学技術振興機構)の戦略的国際共同プログラムとして、日本・スウェーデン共同研究『活力ある高齢社会の実現に向けた「国際連携型リビング・ラボ」の創設』プロジェクトが採択され、2018年4月には第1回リビングラボ・ネットワーク会議が開催されています。今後、日本における活動が益々活発化していくことが期待されます。
※出所:2015年に公表した産業構造審議会「2020未来開拓部会」報告書
参考情報
- 経済産業省 産業構造審議会2020未来開拓部会「平成27年度報告書~TheJapanWay~」
- 経済産業省 活力あふれるビンテージ・ソサエティの実現に向けた取組に係る研究会「活力あふれるビンテージ・ソサエティの実現に向けて」
関連情報
アミタグループは、官民産学連携による住民主体のまちづくりを目指しています。宮城県南三陸町の「森 里 海 ひと いのちがめぐるまち南三陸」を目指すまちづくりは、当事者である住民主体、官民産学連携により進められています。
南三陸の方々の取材記事:http://www.aise.jp/voices/
アミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。
執筆者プロフィール(執筆時点)
宍倉 惠(ししくら めぐみ)
アミタ株式会社
社会デザイングループ 社会デザインチーム
大学時代に緑のふるさと協力隊として、1年間農村地域に住み込み地域の暮らし・産業に係るボランティア活動に取り組む。地域コミュニティや自然との共生、循環型の暮らしの大切さを実感し、ビジネスを通して持続可能な地域づくりに貢献したいという思いでアミタに合流。合流後は企業向けの環境戦略支援を経て、現在は持続可能経済協会の事務局や、小規模自立分散型の地域づくりに関する新規事業構想・構築に携わる。
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