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廃プラスチックの輸入を中国が2017年末に禁止。その背景と影響とは?

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Peter von Bechen, pixelio.de

この記事は、2017年10月25日に掲載したものを再編集しています。

2017年、中国は廃プラスチックを含む廃棄物原料の輸入禁止を発表しました。
世界最大の廃プラスチック受け入れ国であった中国が廃プラスチック類を含む廃棄物輸入を禁止した背景や、それによる影響について解説します。

関連記事:中国・東南アジアの廃プラスチック類輸入規制の最新動向は?

目次

なぜ廃プラスチック類が輸入禁止に至ったのか?背景と現状

まずは禁止対象になった廃プラスチック類の名称について、下記の品目が通告により禁止対象となっています。

▼2017年末までに改定された輸入禁止固形廃棄物リスト
(※うち、廃プラスチック類についての記載部分を抜粋)

カテゴリー 税関商品番号 廃棄物の名前
プラスチックの廃材及び加工くず 3915100000 エチレンの重合体の廃材および加工くず
3915200000 スチレンの重合体の廃材および加工くず
3915300000 塩化ビニルの重合体の廃材および加工くず
3915901000 ポリエチレンテレフタラート(PET)の廃材および加工くず(ペットボトルを除く)
廃ペットボトル
3915909000 その他のプラスチック廃材および加工くず(廃光ディスク破砕品を除く)
廃光ディスク破砕品

出典:JETRO「中国における外国ごみの輸入禁止と 固形廃棄物輸入管理制度改革 に関するレポート

次に禁止に至った背景です。
理由のひとつとして、廃プラスチックと生活ゴミが分別されないままプレスされたものなど、粗悪・悪質な貨物が大量に輸入されていることが挙げられます。中国はWTOへの通告にて、輸入物に汚染物質や危険物質が大量に混入することで環境汚染が深刻化していること、中国国内における人体や環境の保護のため、汚染度の高い固定廃棄物の輸入を禁止することを明記しています(参照1)。

関連記事:プラスチックごみ問題と向き合うために必要なこと-コンプライアンスだけで十分なのか?

廃プラスチック類の輸入禁止による影響は

経済産業省委託事業のデータによると、2010年の中国の輸入廃プラスチックの再生利用量は、年間780万t程であり、そのうち日本からの輸出量は、香港経由含めて年間約140万t程度でした(参照2)。一方、一般財団法人プラスチック循環利用協会の公表データによると、同じく2010年、日本国内の一般廃棄物・産業廃棄物を含めた廃プラスチック類の排出量は、945万トンとされていますので、日本の廃プラスチック類排出量の14.8%が中国向けに輸出されていたことになります。
国内廃プラスチック類の、一般廃棄物・産業廃棄物の割合は、およそ半々となっています(参照3)。今回の中国の輸入禁止措置の対象は、生活由来の廃プラスチック類、すなわち一般廃棄物に該当しますので、140万tの約半分の70万tが廃プラ輸入禁止措置の対象と考えられます。70万tが行き場を失う事態は、国内の廃プラスチック類の流通全体に影響を及ぼし、一般廃棄物の市場だけではなく産業廃棄物の市場へも影響が広がりつつあります。

関連記事:廃プラスチック類の日本国内における年間排出量と処理能力は?

中国以外の輸出代替国となっていたマレーシアやフィリピン、タイ、ベトナムなどのアジア諸国でも、2018年以降、廃プラスチック類の輸入や利用規制が厳格化していきました。インドにおいては、2019年8月31日から廃プラスチック類が全面輸入禁止となっています。
こうした規制により、運ばれてきた廃プラスチック類が輸出国側に送り返される事態も発生しました。その原因は輸出国側の虚偽申告です。輸出申告上は「リサイクル処理できるプラスチック」と偽り、実際はリサイクル処理ができない廃プラスチック類や電子機器、紙ごみやおむつなどを含む家庭ごみであるという、いわゆる「ごみの押し付け」が発生していたのです。

プラスチックの輸出入をめぐるこのような事態は、2021年1月のバーゼル条約の改正・施行にもつながりました。
汚れたプラスチックの輸出を行う場合には事前に、相手国の同意が必要となったことで有害な廃棄物が国境を越え、最終的な責任の所在が不明確にならないよう改正が成されました。
バーゼル条約の詳しい改正内容は以下の記事をご覧ください。

関連記事:バーゼル条約とは?概要と改正による汚れたプラスチックごみの輸出規制強化についても解説

これらの規制強化は環境保護や資源循環を強化しようという世界全体の大きな流れの中で行われるものであり、この流れはより広がっていくと考えなければなりません。
国内でのプラスチック資源循環がますます求められていく中、2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進などに関する法律(通称:プラ新法)」が施行されました。プラ新法により、プラスチック製品全般に対して環境配慮設計の促進や使用の合理化、排出から回収、リサイクルまでの安定した資源循環の仕組みを構築することを目指します。
詳しいプラ新法についての解説は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:
プラスチック新法とは?概要とポイントをわかりやすく解説
環境省が語る!廃プラスチックの今後の方向性

参照

(参照1)WTO 中国によるWTOへの通告資料「The following notification is being circulated in accordance with Article 10.6
(参照2)寺園 淳, 小口 正弘(国立研究開発法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター)「廃プラスチックと雑品スクラップの国内資源循環に向けた課題
(参照3)社団法人プラスチック処理促進協会「2010年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況

国内での廃プラスチックリサイクルの実施、利用先のご提案を行っています!

アミタの再資源化工場では、廃プラスチック類の高いカロリーに注目し、必要に応じて破砕/粉砕処理を実施。これらを、主に日本国内のセメント会社の原燃料としてリサイクルしています。(セメント製造の焼成工程で使用します。)

アミタのリサイクルの強み

  • 国内自社リサイクル拠点3カ所、パートナー企業のリサイクル拠点4カ所で、幅広いエリアをご支援します。
  • セメントリサイクルは、受け入れた全ての廃棄物がセメントの原料となるため、2次廃棄物が発生しません。
  • 自社リサイクル拠点以外についても、長年のリサイクル実績と約300カ所の外部ネットワークを活かし、マテリアルリサイクルとしての廃プラスチック類の有効利用先、条件によっては売却先をお探しします。
関連情報

廃棄物処理・リサイクルにお困りでしたらぜひアミタへご相談ください 。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

amita_yumioka.jpg弓岡 春菜(ゆみおか はるな)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ 西日本チーム

西日本エリアでのリサイクルの配車業務等を担当。お客様とのコミュニケーションを大切に、細かなサポートが好評。

amita_yonezawa.jpg米澤 理音(よねざわ りお)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ 西日本チーム

持続可能な社会を本気で目指すアミタの事業とその理念に共感し、入社。現在は、カスタマーホスピタリティグループ 西日本チームにて、リサイクルの配車連絡、非対面の営業などを担当。

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