Q&A
RE100とは何ですか?自社の再生可能エネルギー利用率を向上させたいのですが、関連する取り組みや事例について教えてください。
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RE100とは、国際環境NGOの「The Climate Group」が、2014年に開始した共同イニシアチブであり、現在、欧米を中心に約90の企業が参加しています。「Renewable Energy 100%」つまり、再生可能エネルギー100%の略称であり、企業の消費電力をすべて再生可能エネルギーに転換することを目的としています。
CDPとパートナーシップを結んでおり、世界中の代表的企業が多く参加していることから、グローバル規模で注目される取り組みです。概要をご紹介します。
参加に向けた要件は?
RE100の認定を受けるためには、以下の要件を満たすことが必要です。
▼RE100認定の要件
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また、どのように100%達成を行うかについては以下のように定められています。
▼RE100における再生可能エネルギー100%達成の方法
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RE100参加企業と日本企業の取り組み状況は?
現在、BMW、ゼネラルモーターズ(GM)、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ヒューレット・パッカード、リコー、Apple、コカ・コーラ・エンタープライズ、ネスレ、ゴールド・マンサックス、イケアグループ(IKEA)、H&M、NIKE、google、マイクロソフトなど、電気通信・IT業界から小売りや食品業界まで、幅広い業界による参加が見られます。
そして、2017年4月には、リコーが日本企業として初めてRE100に参加したと発表しています。
▼株式会社リコーでの取り組み
リコーは、2030年までに電力の30%を再生可能エネルギーに切替え、2050年までに100%達成を目指すとしています。また、RE100への参加前から、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでおり、自社の敷地内にバイオマスボイラーを建設し、施設の空調・給湯への利用を開始しています。この「木質バイオマスエネルギーの地産地消モデル」においては、近隣から購入した木材チップを活用することにより、従来の灯油ボイラーのみの場合に比べて、CO2排出量を年間237トン削減し、燃料コストは470万円低減する見込みとのことです。
▼Apple及びイビデン株式会社での取り組み
RE100参加企業のAppleでは、自社で使用する電力にとどまらず、自社向け製品の生産するサプライヤーに対して、再生エネルギーの使用を推進しており、クリーンエネルギープログラムと呼ぶ支援策を設けています。日本のイビデンもこれに参加しており、Apple向け製品の製造に使われる全エネルギーに相当する再生可能エネルギーを2018年末までに生み出すとしています。
再生可能エネルギーの利用率向上に取り組むメリットとは?
再生可能エネルギーの使用比率を高めていくメリットは以下の2点です。
▼CO2排出量の削減が可能になる点
今後はCO2排出量の削減の長期目標と合わせて、再生可能エネルギーの使用率も投資家を含むステークホルダーから厳しい目で見られるようになってくるでしょう。パリ協定やSBTで求められている高い長期目標は、これまでの省エネの取り組みの延長線では達成が難しく、新しい技術の利用だけでなく、新しいエネルギーを利用することも重要です。
▼エネルギー価格高騰に関するコスト対策、リスク対策につながる点
化石燃料由来エネルギーの価格は将来に渡り高騰していき、将来的に炭素税が導入される可能性があります。WWFJAPANが発表した調査結果においては、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオを元に2050年の石油価格は、現状のおよそ2.5倍になると推定されています。
図1 想定するエネルギー価格(2010年を100とした場合)
出典:WWFジャパン(脱炭素社会に向けた 長期シナリオ2017 〜パリ協定時代の2050年日本社会像〜)より
Appleの例が示唆するように、今後、取引にあたって再生可能エネルギーの使用が条件となる日が来るかもしれません。
具体的な取り組みはどのように行えばよいのか?
経済産業省の発表から、日本は、他国に比べて再生可能エネルギー導入比率が低いことがわかります。そのため、RE100に参加している欧米企業に比べると調達先が少なくなってしまうなど、選択肢が限られるように感じるかもしれません。このような状況を打破していくためには、自社内での再生可能エネルギーの創エネも重要になると考えられます。
では、どのようなエネルギーに投資するのがよいでしょうか。アミタではバイオマスに注目しています。
太陽光、風力 | RE100に参加している企業の多くが活用しています。発電に広大な面積を必要とするため、日本では地理的な制約を十分に踏まえる必要があります。 |
水力、地熱 | 水力や地熱発電は再生可能エネルギーの中でもCO2の排出量が少ない発電方法ですが、発電できる地域が限定されます。 |
バイオマス | 森林資源が活用できる他、生ごみや食品残渣などの活用なども期待できます。 |
農林水産省は、バイオマス資源の活用について「農山漁村の活性化や地球温暖化の防止、循環型社会の形成といった我が国の抱える課題の解決に寄与するもの」としており、取り組みを奨励しています。
また、バイオマス発電に必要なバイオマス資源は、間伐材や木くずだけでなく、住宅から出てくる生ごみ、食品工場から出てくる食品残渣、農地から出てくる残渣や牧場から出てくる家畜の糞尿など、様々な廃棄物が活用できます。
バイオマスという資源を有効に活用するためには、その地域の経済システム全体を俯瞰し、発電所を中心に未利用資源を結びつけていくこという視点が重要であり、自社だけで取り組むのではなく、地域のステークホルダーや専門家と協力することが重要です。
最後に、バイオマスに限らず、どのエネルギーに投資するかについては、自社の周辺環境を確認し、条件にあった形で再生可能エネルギーの促進を進めていく視点が今後、求められます。
アミタではバイオマス発電や再生可能エネルギーに関するご支援を行っています!
アミタでは、南三陸で食品残渣からバイオマス発電に取り組んでおり、そのノウハウを活かして、小型バイオマス発電設備の導入支援など、再生可能エネルギーを自給自足しようとする企業のご支援を行っています。ご興味のある方は、ぜひご相談をお寄せください。
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参考情報
THE CLIMATE GROUP:RE100 ANNUAL REPORT 2017
株式会社リコー:リコー、経営戦略に基づき重要社会課題と新たな環境目標を設定
株式会社リコー:木質バイオマスエネルギーの地産地消モデルスタート
Apple:環境 気候変動
執筆者プロフィール
中村 圭一(なかむら けいいち)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ 西日本チーム
静岡大学教育学部を卒業後、アミタに合流しセミナーや情報サービスの企画運営、研修ツールの商品開発、広報・マーケティング、再資源化製品の分析や製造、営業とアミタのサービスの上流から下流までを幅広く手掛ける。現在は分析力と企画力を生かし、企業の環境ビジョン作成や業務効率化などに取り組んでいる。
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