Q&A
食品や洗剤などに使用されるパーム油の国際的な認証制度があると聞きました。どのようなものですか?
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現在、パーム油は世界で最も生産・利用されている植物性油脂で、スナック菓子やインスタント麺、パンやチョコレートをはじめとする食品、洗剤や化粧品などの化学製品、バイオ燃料等に広く使用されています。一方で、生産地ではパーム油の原料となるアブラヤシプランテーションが乱開発され、熱帯林が失われることでその地域の生態系や生物多様性が破壊されていること、また、現地住民からの土地収用や生産現場での労働環境などが問題視されています。
これらの問題に対応するため、WWFを中心とした関係団体により、2004年に「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil、以下RSPO)」および「RSPO認証制度」が設立されました。
RSPO認証で求められる8つの原則
RSPO認証は持続可能なパーム油の生産や利用の促進、国際的な認証基準の確立と市場の変革を目的としており、パーム油にかかる諸問題解決のため、生物多様性や人権などについて守るべき8項目の原則と43の基準を策定しています。
<8項目の原則(※1)>
- 透明性へのコミットメント
- 適用法令と規則の遵守
- 長期的な経済・財政における実行可能性へのコミットメント
- 生産者、搾油工場の適切なベストプラクティス
- 環境への責任と自然資源、生物多様性の保全
- 農園・搾油工場労働者、影響を受ける地域社会への責任ある対応
- 責任ある新規農園開発
- 継続的改善へのコミットメント
(※1) 出典:RSPO Generic Checklist for audits against RSPO P&C 2013
この原則と基準に基づき、アブラヤシの生産から加工・流通までの各工程を認証することで、全工程にわたるchain of custody(管理の連鎖)がつながり、最終製品に使用されているパーム油の追跡が可能となります。
RSPOでは、生産段階で「原則と基準(P&C)」に則って持続可能な生産がおこなわれていることの認証(P&C認証※農園や搾油工場が取得)と、認証パーム油(Certified Palm Oil)がサプライチェーンのすべての段階を通じ間違いなく受け渡されるシステムが確立されていることの認証(SCCS認証※製油所・最終製品製造業者・小売業が取得)の2種類の認証制度を設けています。
RSPO認証の国内での動きと今後の展望は?
2016年9月、日本で初めてのRSPO公認のイベント「RSPOジャパン・デー2016」が開催されるなど、持続可能なパーム油の調達に対して、国内の注目が高まりつつあります。RSPOに加盟している日本企業は、大手食品製造業や化粧品製造業など50社を超えています(2017年4月現在(※2))。こうした持続可能なサプライチェーンを意識する企業の中には、中長期計画のなかで「自社製品の原料に使われるパーム油のすべてを持続可能性に配慮したものに切り替える」という計画を打ち出している企業も現れています。
持続可能な調達に対する企業の意識が高まっている背景には、環境や社会に何も配慮しないまま調達を続ければいつかは資源が枯渇し事業の継続も困難になる、という危機感を持つ企業が増えてきており、今後も事業活動を安定的に継続するためには持続可能な資源調達が欠かせないという認識が広がっていることが考えられます。
(※2) 出典:RSPO ウェブサイト
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執筆者プロフィール
米澤 理音 (よねざわ りお)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ 西日本カスタマーホスピタリティチーム
東京都出身。持続可能な社会を本気で目指すアミタの事業とその理念に共感し、入社。現在は、西日本カスタマーホスピタリティチームにて、非対面の営業・セミナー企画などを担当。
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