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アジアで調達する際のリスクとチャンスは何でしょうか?

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リスクの代表的なものは、環境破壊、賄賂・汚職、人権侵害、労働慣行です。そのリスク対応が企業のレピュテーションを高めるというチャンスにも繋がるのです。

現代の多くの日本企業はアジアとは切っても切れない関係にあると言えます。アジアから何らかの原材料を買い付けていたり、製造の工程の一部はアジアで行っていたりなど、日本企業の調達はアジアがなくては成り立たなくなっています。人件費が安い、品質が保たれている、勤勉をよしとする労働倫理観があるなど、日本のみならず、世界中の企業がアジアを重要な地域と認識しています。

アジア調達には環境・社会面のリスクもあることを常に考える

Some_rights_reserved_by_T.Hagihara.jpg日本の企業にとっては、アジアは地理的に日本に近いということで、アジアは重要な調達先であり、アジアでどのように振舞うかがビジネスの成否に深く関わります。このようにビジネス上の利点が多いアジアですが、アジアからの調達には環境・社会面のリスクもあるということを常に考えることが必要です。そのリスクの代表的なものは、環境破壊、賄賂・汚職、人権侵害、労働慣行です。環境破壊を一つとっても、アジア各国にはすでに何らかの法規制があることも多いですが、法規制自体が緩く、罰則もないことが多いため、当地の法規制にひっかからなければいい、という意識レベルでの対応では、NGOからのアタックの標的となることにつながります。また、外国企業は法規制当局も取締りやすいため、特に賄賂・汚職などは真っ先に調査の対象となる場合も多いです。

画像:Some rights reserved by T.Hagihara

リスク対応により企業の評判を高めるチャンスへと繋げる

Some_rights_reserved_by_taylorandayumi.jpgまた、最近はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及により、誰もが情報発信源となれることから、労使関係においても労働者の力が増しています。労働者らが労働条件に対する不満をSNSで吐露し、それに呼応する形で抗議活動の呼びかけに多数の労働者が集まり、ストライキが実施されるなどは中国をはじめカンボジア、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどアジア各地で頻発しています。

このように、アジアで調達する際にはリスクがありますが、このリスクへの対応が企業のレピュテーションを高めることに繋がる場合もあります。森林破壊をしているパーム油を使っていると、P&Gはグリーンピースから名指しで非難されていましたが、すぐにグリーンピースと対話し、森林破壊セロのパーム油を2020年までに調達することをいち早く約束しました。名指しで非難されていたP&Gですが、その後は、グリーンピースにより、対応を評価されるに至っています。環境・社会面においてアジアから調達することはさまざまなリスクがありますが、その対応次第では、企業の評判を高められるというチャンスもあります。

画像:Some rights reserved by taylorandayumi

執筆者プロフィール

makiko-2.jpg赤羽 真紀子(あかばね まきこ)氏
CSR Asia 日本代表

早稲田大学で政治学と生物学を修め、カリフォルニア大学リバーサイド校、タフツ大学、慶應義塾の各大学院で学ぶ。環境省、国際基督教大学、慶応義塾大学、清泉女子学院大学、立教大学、APABIS、ブリティッシュ・カウンシル、世界銀行をはじめ、講演多数。企業が発行するCSR報告書の第三者意見の執筆多数。東洋経済オンラインでの連載の経験もあり、NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)CSR推進NGOネットワークのアドバイザー、AIDS孤児支援NGO・PLASのアドバイザー、SportForSmileの顧問、ウォーターエイド・ジャパンの理事なども務める。通算10年以上のさまざまな業種の多国籍企業のCSR担当としての経験がある。特に企業の環境対応と社会貢献事業に関しては、スターバックスコーヒージャパン、セールスフォースドットコム、日興アセットマネジメントの各社で関連部署の立ち上げを手がけた。

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