Q&A
最初に確認すべきCSR国際規約、国際ガイドラインはなんでしょうか?
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まずはISO26000を確認することをお勧めします。理由としては、新聞やテレビなどで話題になる出来事をISO26000のフレームワークに置き換えることで理解がしやすく、CSRを実感できるからです。
CSRの国際ガイドラインのマニュアルを読むとなると、初めての人には聞きなれない言葉が多く、なんだか難しくて読む気が失せる方も多いのではないでしょうか。ただし、ISO26000でいえば、企業経営をするうえでのCSR課題が7つのテーマに分かれたフレームワークで書かれているので、意外に分かりやすく捉えることができます。更に、日々世間で騒がせている話題に当てはめて考えられるので非常に実感が得やすいです。ISO26000を理解することで、新聞などの読み方も変わってくることが実感できます。
日々の出来事を7つの中核主題で考える癖をつける
ISO26000は国際標準化機構が(企業に限らない)組織の社会的責任に関して検討しているガイドライン規格で、2010年11月に発行されました。その中でも7つの中核主題である「組織統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティ参画および開発」という企業が事業を運営するうえで、全社員の業務に当てはまるフレームワークで考えることが可能です。例えば、最近、企業の不祥事として不正会計が世間を騒がせていますが、どの中核主題に当てはまるでしょうか?そもそも組織として隠ぺいしたり、利益を追究するために無理矢理に下請会社の請求額を下げていたのであれば「組織統治」や「公正な事業慣行」に当てはまる課題となります。また、アベノミクスの施策として女性活用が成長戦略として掲げられていますが、今後有価証券報告書等の役員の男女別人数及び女性比率の義務化になります。これはまさは男女差別のない雇用問題として「人権」や「労働慣行」に当てはまる課題とされます。まさに、日々世間を騒がせている出来事がCSRに当てはまるわけです。
ISO26000が理解できたら何を目指すのかによって国際規約を選択する
ISO26000を理解することで、おおよその企業経営におけるCSR活動の取り組みについてのフレームワークが分かってきたと思います。次に考えなければならないのは、あなたの会社が何を目指すべきかということです。今後、海外展開が加速されて国際スタンダードを考えるのでしたら、最終的に企業のアウトプット物となるCSRレポートの報告ガイドラインであるGRI発行のG4ガイドラインに準拠すべきです。また、更にIRとの融合を考えていくのでしたら、IIRC発行の国際統合報告フレームワーク(The International Integrated Reporting Framework )が国際スタンダードとなります。ただし、まだ自社のCSR体制が構築されておらず、これからということでしたら、CSR管理体制の構築を優先すべきだと思います。いきなり最初から大きな目標を目指すのではなく、まずは足元を固めて数年かけてCSRをブラッシュアップすることをお勧めします。
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執筆者プロフィール
猪又 陽一 (いのまた よういち)
アミタ株式会社
シニアコンサルタント
早稲田大学理工学部卒業後、大手通信教育会社に入社。教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て大手人材紹介会社で新規事業を軌道に乗せた後、アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」「CSR JAPAN」等をプロデュース。現在、企業や大学、NPO・NGOなどで講演、研修、コンサルティングなど多数実践中。
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