Q&A
水銀含有廃棄物について廃掃法の規制が強化されると聞きました。内容について教えてください。
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水銀の適正管理と排出量の削減を目指す国際的な動きを受けて、廃掃法の施行令及び施行規則が改正され、その一部が平成29年10月1日に施行されます。施行後、排出事業者は運搬基準や処分基準に適合した業者に処理を委託しなければなりません。水銀を使用する会社や施設等は処理方法、処理基準等を確認しておきましょう。
(※本記事は、2017年3月に執筆した記事を加筆・修正しています。)
改正の概要
施行令と施行規則は平成28年4月1日と、平成29年10月1日に段階的に施行されます。主な改正内容をご紹介します。
▼水銀含有廃棄物に関する主な規制内容について ※は平成29年10月1日に施行される内容です。
廃水銀(特管一廃)水銀使用製品が一般廃棄物となったものから回収したもの | |||
排出事業者の主な保管基準 | 主な委託基準 | 主な収集・運搬基準 | 主な処分基準 |
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廃水銀等(特管産廃)
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排出事業者の主な保管基準 | 主な委託基準 | 主な収集・運搬基準 | 主な処分基準 |
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水銀含有ばいじん等(産廃) ※
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排出事業者の主な保管基準 | 主な委託基準 | 主な収集・運搬基準 | 主な処分基準 |
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<水銀含有ばいじん等については、特別な規定はないが、以下がガイドラインにて記載されている>
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水銀使用製品産業廃棄物 ※
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排出事業者の主な保管基準 | 主な委託基準 | 主な収集・運搬基準 | 主な処分基準 |
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参照1.環境省:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」等の概要
参照2.環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部:「水銀廃棄物ガイドライン」
※追記(平成 31 年3月に「水銀廃棄物ガイドライン 第2版」が公表されています。)
参照3.環境省:「水銀廃棄物の適正処理について、新たな対応が必要になります。」
排出事業者が特に気を付けるべきポイント
- 廃水銀等の保管は、高温にならない場所で腐食しない容器に密閉すること
水銀は常温でも揮発するため、密閉する必要があります。揮発した水銀を吸入すると呼吸器官系、免疫系、肺、腎臓に害を及ぼします。そのため、容器は廃水銀等に適した合金を生成しない炭素鋼やステンレス鋼などを使用し、飛散、流出、揮発、腐食を防止する必要があります。
他にも特別管理産業廃棄物の保管基準に従い、他の物と混入しないように囲いや掲示板、仕切りの設置を行い、汚水の流出を防ぐために排水溝等や不浸透性の底面の設置など生活環境の保全上支障のないように保管しなければいけません。 - 水銀含有ばいじん等、水銀使用製品産業廃棄物の追加
本改正で新たに水銀含有ばいじん等、水銀使用製品産業廃棄物が追加されます。
これらは特別管理産業廃棄物ではありませんが、一般的な産業廃棄物処理基準より追加的な措置が必要とされていることが注意すべきポイントです。例えば、水銀含有ばいじん等、水銀使用製品産業廃棄物はマニフェストにその旨を記載する必要があり、水銀使用製品産業廃棄物では一般的な産業廃棄物保管基準に加えて、その他の物が混合しないように仕切り等を設けることが規定されています。
また、水銀使用製品産業廃棄物は水銀使用製品が産業廃棄物となったもののうち環境省令で定めるものとありますが、具体的には、水銀電池・蛍光ランプ等が挙げられます(令第6条第1項第1号ロ、規則第7条の2の4 参照)。 - 水銀含有ばいじん等、水銀使用製品産業廃棄物の回収義務
水銀含有ばいじん等の水銀含有量が 1,000mg/kg(廃酸、廃アルカリの場合は 1,000mg/L)以上の場合は、水銀回収が義務付けられています。水銀使用製品産業廃棄物についても環境省令で定められたものが水銀回収を義務付けられており、具体的には、水銀体温計・水銀血圧計等が挙げられます。(令第6条第1項第2号ホ(2)、規則第7条の8の3参照)そのため、排出事業者はその旨を委託先に伝える必要があります。 - 水銀含有ばいじん等、水銀使用製品産業廃棄物の委託契約書に関する経過措置
水銀含有ばいじん等または水銀使用製品産業廃棄物を含む産業廃棄物の処理を委託する場合、委託契約書にはその旨を契約書に記載する必要がありますが、締結済みの委託契約書については経過措置が設けられています。附則において「当該契約の更新までの間は、なお従前の例による」(更新までは法改正が適用されないという意味)とあるため、施行日の10月1日より前に締結されている契約書は、施行日になったからといって慌てて内容を変更する必要はありません。次回更新の期日までに、対応されるとよいでしょう。
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