Q&A
CSRの枠組みは作りましたが、具体的に今後どう進めていけば良いでしょうか?
CSRの考え方の枠組みだけ作っても、実際の取り組みが行われていなければ意味がありません。将来的には本業に即したCSRの実践を目標に、まずは「守りのCSR」から進めて、自社の足元のリスクを確認しましょう。
(1)守りのCSRで企業基盤を固める
法的責任や経済的責任などのリスクを抱えたまま、CSVなどの「攻めのCSR」を実施しても足元をすくわれてしまいます。環境面では、ISO14001やエコアクションなどの環境マネジメントの審査・認証サービスが用意されていますので、認証機関に監査を依頼するのも一つの手です。
これらの仕組みを活用して環境面に取り組む企業が増えている一方、環境以外の組織統治や労働慣行、人権などのテーマについては全く取り組んでいない企業も多く見受けられます。例えば、昨今過重労働が大きな社会問題として取り上げられていますが、企業によって過重労働に対する認識は様々です。これら労働慣行の問題は、会社にとって最も身近なステークホルダーである従業員に対するCSRであると捉え、取り組むことが必要です。
CSR全体についての国際的なガイドラインとしてISO26000がありますが、最近では、各自治体や各業界団体などで作られた自主的なガイドラインや、米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営するBコーポレーションという認証制度などの取り組みも始まっています。
(2) 本業に即したCSRで環境問題、社会的課題を解決
国内では少子高齢化、生産人口減などの社会的課題、世界では地球温暖化をはじめとする環境問題など、企業を取り巻く制約が徐々に厳しさを増しており、そうした制約下で企業がいかに存続していくか、戦略の転換期が訪れているといえるでしょう。
企業の持続的な経営のためには、サステナビリティ戦略が必要となってきます。自社の強みを生かした、本業におけるCSR活動を実施するために、下記4つのステップを用いて、部署間の垣根を越えて考えていきましょう。
<サステナビリティ戦略立案のための4ステップ>
STEP1 制約を理解する
- 今後発生する環境制約とは何か?
- 今後発生する社会制約とは何か?
- 自社にとってのリスクと機会(国、時間軸、SDGs、CO2、廃棄物、資源、人権など)は何か?
- 自社が考えるべき制約は何で、またその優先順位はどう考えるか?
STEP2 将来のライフスタイルを描く
- 将来のライフスタイルはどのようなものか?
- 自社が提供できる価値(強み)は何か?
- 自社が改善すべきポイント(弱み)はどこか?
STEP3 自社の価値を理解する
- 自社のビジョンは何か?
- 自社の価値はどこにあるか?またそれは何か?
- 自社の商品価値(サービス価値)はどこにあるか?何か?
STEP4 自社事業の将来像を描く
- 顧客は誰か?
- どんな価値を届けるのか?
- 将来のライフスタイルにおいて自社の価値は何か?
- 事業は何か、商品は何か、調達・製造・販売・廃棄はどうあるべきか?
- それを行うのに何が必要か?(ヒト、モノ、カネ、時間、仕組みなど)
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特に、事業に与えるインパクトも大きい、自社におけるサプライチェーン上で考えてみると良いでしょう。また、サステナビリティ戦略には、第三者の有識者などの意見を取り入れながら進めていくことが必要です。是非、中身があるCSRを目指しましょう。
関連情報
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執筆者プロフィール
猪又 陽一 (いのまた よういち)
アミタ株式会社
シニアコンサルタント
1970年生まれ。1994年早稲田大学理工学部卒業後、アミタに合流。環境・CSR分野における戦略・実行、コミュニケーション、教育など幅広く従事。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」「CSR JAPAN」をプロデュース。2016年3月には、著書「CSRデジタルコミュニケーション入門」(インプレスR&D社)を出版。現在、企業や大学、NPO・NGOなどで講演、研修、コンサルティング、第三者意見執筆(南海電鉄 、リケンテクノス 、アマダホールディングス)など多数実践中。
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