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ウォーターフットプリントとは何ですか?企業活動にどう活かせますか?

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原材料の栽培・生産から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で、直接的・間接的に消費・汚染された水の量を定量的に算定する手法をウォーターフットプリントと言います。世界各地で進行する水不足や水質汚染による水リスクを削減し、企業活動における水利用の持続可能性を高めるために、まずウォーターフットプリントなどを活用して自社の水利用の状況を把握することが重要です。

製品のライフサイクル全体で、水は大量に使用されている

ある製品の製造にどれほどの水を消費し、どれほど水環境に影響を及ぼしているか想像できますか?

水資源が豊富な日本では水問題にあまり馴染みがないかもしれませんが、近年世界各地で水不足、水質汚染、水辺の生態系変化など様々な水問題が顕在化しています。もちろん日本に関係がない問題ではなく、食料をはじめ、国内で消費・使用する多くの製品を海外から輸入する日本は、目には見えないたくさんの水を消費し水環境に影響を及ぼしていることになります。また、国内においても渇水や水害、水質汚染などの問題は企業活動と密接に係わっています。企業が持続可能な活動を行っていくために水資源の保全は重要な課題であり、水資源に与える影響を把握、低減することに対する社会的な注目も高まっています。

ウォーターフットプリント とは、原材料の調達・生産、製造・加工、輸送・流通、消費、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で、製品やサービスの水利用に関する環境影響を定量的に評価する事を言います。単に水消費量の総量を表すこともありますが、その水使用が潜在的に環境影響を及ぼす指標として使われることもあります。類似した取り組みに、製品・サービスのライフサイクル全体で発生する二酸化炭素量を算出するカーボンフットプリント があります。

ウォーターフットプリント算出に取り組む企業

富士フイルムホールディングスは、主力製品であった写真フィルムの製造に大量の水が不可欠であったため、創業当初から水使用量削減や水のリサイクル利用に取り組んできました。2014年には製品のライフサイクル全体で「水資源に関する環境負荷」の「見える化」を行うため、ウォーターフットプリントの算定方法に関するガイドラインを制定し、その他のマテリアルも含めて投入量と排出量、リサイクル量などを整理することで、環境に配慮した製品開発や影響評価・情報開示に積極的に取り組んでいます。加えて「水ストレス」と「水投入量を踏まえた事業影響度」という2つの指標を用いて、各拠点における水リスクを評価し、拠点に応じた取り組みを進めています。

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画像:「将来(2025年時点) の水ストレスマップと現在(2015年時点) の水投入量」
(富士フイルムホールディングス株式会社 Sustainability Report 2016 P.31より引用)

近年、多くの企業がサプライチェーン全体でCO2などの温室効果ガス排出量を算出し、削減に取り組んでいます。それに比べ、水の環境影響に配慮している企業はまだ少ないと言えます。その理由には今まで水利用に関する評価方法が確立されていなかったことや、算定事例があまり多くなかったことなどが挙げられます。しかし、水リスクは世界的に年々高まっており、CDPがCDPウォータープログラムを通じ、企業に水リスクに対する情報開示を求めるようになったり、2014年にはウォーターフットプリントの国際規格ISO14046が発行されたりと、企業にとって水リスクはますます無視できないものとなっています。

ウォーターフットプリントを活用して、サプライチェーン全体での水利用量の削減や水資源の保全を図ることは、水リスクへの対応だけでなく、企業価値の向上にもつながるでしょう。地球温暖化リスクだけではなく、その他様々な環境リスクへの対応が求められる時代になっています。まずはその第一歩としてウォーターフットプリントを自社の生産活動に当てはめてみてはいかがでしょうか。

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執筆者プロフィール

kondo_2.png近藤 大智 (こんどう だいち)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ マーケティングチーム

「持続可能な社会を実現」というアミタのミッションとその理念に共感し入社。現在は、マーケティングチームにて、テレマーケティングや環境業務の問い合わせの窓口を担当。

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