Q&A
環境格付融資とはどのようなしくみですか?
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環境格付融資とは、金融機関が融資をする際に、融資先の企業の環境配慮活動を評価し、その評価を考慮して、金利など融資条件の設定や、融資可否を判断することを言います。SRI(社会的責任投資)やESG投資などが世界的に高まりを見せる中、環境格付融資は、金融機関が企業の環境経営を後押しし、環境に配慮された持続可能な社会を形成する役割を果たしていくための重要なしくみとして、近年、より一層注目が集まっています。
環境格付融資の広まり
2004年に日本政策投資銀行が「DBJ環境格付融資」の運用を開始しました。これは、日本政策投資銀行が開発したスクリーニングシステム(格付システム)により、企業の環境経営度を評点化し、得点に応じた金利を運用する手法となっています。2007年からは環境省が環境格付融資に係る利子補給事業を実施するなど、国を挙げて環境格付融資が推進されており、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行といったメガバンクをはじめ、静岡銀行や八十二銀行といった地方銀行でも環境格付融資の導入が進んでいます。
環境格付融資における企業への評価項目
環境格付融資の利子補給事業を例にとると「経営全般」「事業関連」「環境パフォーマンス」の大きく3つの事項(下表参照)から、企業の環境配慮活動を評価することを金融機関に求めています。更に各項目の評価とは別に、質問票などを用いて、活動に対する個別具体的な質問の実施も金融機関に要求しています。
環境格付融資における評価項目
(環境省「環境格付融資に取り組むためのナレッジ集」より、アミタ作成)
1.経営全般事項 |
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2.事業関連事項 |
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3.環境パフォーマンス事項 |
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環境格付融資の企業へのメリットとESG投資への注目度の高まり
環境格付融資は、環境金融、環境経営の促進といった社会的な意義だけではなく、格付される企業にとって以下のようなメリットがあると考えられます。
- 環境格付で高評価を得ることによる金利コストの削減
- 新聞報道や環境報告書への記載といった対外的なIR効果
- 環境に関する取り組みの社員への周知
- SRIやESG投資を重要視する投資家・株主からの投資拡大
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による環境対応などに優れた銘柄で構成する新たな株価指数の作成や、環境省による上場企業の環境経営情報を一元的に閲覧できる情報開示システムの整備など、投資機会にあたって環境や社会に対する取り組みを考慮する動きは急速に拡大しています。2016年度に入ってから、アサヒグループホールディングス(株)・新日鐵住金(株)・富士重工業(株)などといった大企業が続々とDBJ環境格付融資で最高ランクの格付けを取得しているように、企業の環境配慮活動やCSR活動などに対する金融機関の注目度は今後ますます高まっていくと考えられます。
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執筆者プロフィール
松田 弘一郎 (まつだ こういちろう)
アミタ株式会社
ワークデザイングループ カスタマーサービスチーム
岐阜県出身。法政大学人間環境学部を卒業後、アミタに入社。入社後はマーケティングチームにて環境に関するテレマーケティングやセミナーの企画・運営、企業環境部マネージャーへの取材などを担当。現在は、カスタマーサービスチームにて、既存のお客様の問い合わせや案件に関するご対応や、新規取引開始時のサポートなどを担当。
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