Q&A
産業廃棄物 マニフェストの交付・書き方で注意する点は?
記入間違いを防ぐ方法を教えてください
本記事ではマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する際に注意するべき点として、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)に規定される法定記載事項がもれなく記入されているか、契約書の内容と一致しているかという2つのステップを分かりやすくご説明します。
※この記事は、排出事業者様を対象とした、マニフェストのA票の交付方法についての解説記事です。マニフェストの全体的な運用の流れを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
※解説のための画像には全国産業廃棄物連合会が提供する紙マニフェストの様式を用いています。
※2017年9月4日に本文の加筆・修正を行いました。
1:産業廃棄物 マニフェストの法定記載事項及び書いてはいけないことを正しく理解する
マニフェスト交付前に確認が必要なポイント
マニフェスト交付前に、法律で定められている記載事項がもれなく記入されているかを確認する必要があります。マニフェストを記載する際の法定記載事項は以下のとおりです。
▼マニフェストA票の記載事項を示した図
A票を交付する際の法定記載事項 |
① 管理票の交付年月日及び交付番号 ② 管理票の交付を担当した者の氏名 ③ (排出事業者の)氏名又は名称及び住所 ④ 産業廃棄物を排出した事業場の名称及び所在地 ⑤ 産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨を含む) ⑥ 産業廃棄物の数量 ⑦ 産業廃棄物の荷姿 ⑧ 当該産業廃棄物に係る最終処分を行う場所の所在地 ⑨ 運搬を受託した者の氏名又は名称及び住所 ⑩ 運搬先の事業場の名称及び所在地 ⑪ 処分を受託した者の氏名又は名称および住所 ⑫ 石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その数量 |
法定記載事項ではありませんが、適正処理のために以下の項目も記載する事が望ましいでしょう。
(ア)産業廃棄物の名称
(イ)有毒物質の有無
(ウ)処分方法
マニフェストの受け渡しの際に確認が必要なポイント
- A票の斜線の入った欄、及び「中間処理産業廃棄物」の欄に何も記載がないことを確認してください。これらは、運搬受託者または処分受託者が記入すると法で定められた欄です(法12条の3、規8条の22・24)。返送されてきたB2票以降の控えに正しい記載がされているか確認をしましょう。
- 運搬受託者の氏名又は名称と運搬担当者名を、引き取りに来た収集運搬会社の担当者に記入してもらい、A票を受け取りましょう(法12条の3 第3項、規8条の22)。
- B2票、D票、E票が返送されてすべて手元に揃ったら、排出事業者は、A票と照合し、適正であることを確認しなければなりません。また、それぞれ受領した日付をA票に転記しておきましょう。廃棄物処理法により、マニフェストのA票は交付日を起点として、5年間の保存義務が定められていますので、大切に保管しましょう(法12条の3、規8条の21の2)(法12条の6、規8条の26)。
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2:契約内容との整合性を確認する
法定記載事項がもれなく記載されていることを確認できたからといって、安心はできません。発生しやすいミスとして契約書が変更されているのに、マニフェストの内容が以前の契約内容のままということがあります。直近で、契約書の変更や更新があったという場合はすぐに内容の確認をしましょう。
特に見落としやすい項目としては以下が挙げられます。
- 荷姿
- 中間処分委託先、最終処分委託先の住所変更
- 処分方法(法定記載事項ではありません)
最近、契約書の変更や更新があったという場合はすぐに内容の確認をしましょう。
実践演習:マニフェストの間違い探し!
マニフェストを確認していくため実践演習として、マニフェストA票の間違い探しを用意しました。下記の契約内容に基づいて作成したマニフェストには、間違いがいくつかあります。上記のポイントを踏まえて、契約内容を確認後、マニフェストの間違いを探してみましょう。
<前提条件>
前提条件として契約内容は以下のようになっています。
▼産業廃棄物
種類:汚泥 | 数量:8t | 有害物質:なし |
荷姿:バラ | 名称:ピット汚泥 | 処分方法:混合 |
▼排出事業者
名称:るんるん株式会社 | |
住所:〒102-#### 東京都千代田区○○2-4 | 電話番号:03-###-#### |
▼事業場(排出事業場)
名称:るんるん株式会社 関東工場 | |
住所:〒193-####東京都八王子市狭間町○-○ | 電話番号:042-###-1234 |
▼運搬受託者
名称:リサイクル運送株式会社 | |
住所:〒120-####東京都足立区綾瀬×-○-△ | 電話番号:03-2000-#### |
▼処分受託者
名称:アミタさん株式会社 | |
住所:〒210-00##神奈川県川崎市川崎区○○町2-3 | 電話番号:044-201-#### |
▼運搬先の事業場
名称:アミタさん株式会社 多摩工場 | |
住所:〒206-#### 東京都多摩市鶴牧×―△ | 電話番号:042-374-#### |
<問題>
以下のマニフェストA票の間違いを探してください。
▼マニフェストの間違い探し用
<答え>
間違いのある箇所と解説
どこに間違いがあったか分かりましたか?間違いは以下の赤丸で囲まれた6か所になります。間違いのあった箇所と解説を確認しましょう。
▼マニフェストの間違い探し 答え
▼間違いのある箇所
|
▼解説
- マニフェストの交付年月日の記載は、法定記載事項です。交付年月日は「印字した日」ではなく「交付した日」を記入する必要があるため、交付年月日欄をあらかじめ印刷するなどの運用をしないよう注意してください。
- 数量を後日記入することは法令違反になるため、必ずA 票発行時に記入しましょう。排出現場で計量せずに排出する場合は「フレコン7袋」「2DM」などの排出した量がわかるような表記で記入しましょう。この場合、計量した数量は処分受託者に「備考・通信」欄へ記入してもらうか、計量結果をマニフェストに貼付して返送してもらうことをお勧めします。
- 契約書の内容と、マニフェストの記載が一致していません。荷姿は、契約書の内容の中でも変更が起きやすい項目です。記載があるかどうかだけではなく、契約書の内容と一致しているかどうかをしっかりと確認しましょう。
- 契約書の内容と、マニフェストの記載が一致していません。正しい住所を記載することが廃棄物処理法により義務付けられています。
- 処分の受託欄は、処理が終了した時点で記載されるものです。事前に処分地が決まっていたとしても、A票を発行する時点で記載することは、法令違反となります。(追記:廃掃法上では処分終了時に記載することが規定されていますが、一般的には受領確認の意味合いを含め、名称と処分担当者名は、処分会社が産業廃棄物の引渡しを受けたときにB1票以下に記入する運用がされています。これにより、排出事業者は、返送されたB2票に処分会社の名称等が記載されていることで、処分会社に引き渡されたことを確認できます。マニフェスト伝票を発行している公益社団法人 全国産業資源循環連合会の記載要領・注意事項でも、処分受託者が産業廃棄物の引き渡しを受けたときに記載するとしています)
- 産業廃棄物の名称は空欄でも法令違反ではありませんが、現場で何が排出されているのか、委託する/される廃棄物は何なのかを把握し、取り違えなどのミスを未然に防ぐためにも、記入しておいた方がよい項目です。
さいごに
こちらの記事ではマニフェストA票を交付する際に注意するべき点についてご説明しました。上述したようにマニフェスト交付時には廃棄物処理法に規定される法定記載事項がもれなく記入されているか、契約書の内容と一致しているか、の2点に気を付け、日頃から意識してマニフェストを確認してみましょう。
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執筆者プロフィール
米澤 理音 (よねざわ りお)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ マーケティングチーム
東京都出身。持続可能な社会を本気で目指すアミタの事業とその理念に共感し、入社。現在は、マーケティングチームにて、非対面の営業・セミナー企画・ウェブサイトの運営などを担当。
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