Q&A
ISO14001の2015年改訂版に対応する際のポイントを教えてください。
改訂のポイントごとに、環境担当者様が押えておくべきことを下表にまとめます。
1 | 戦略的な環境管理 | ステークホルダーにとっての優先事項は何か、自社に影響するグローバル規模の環境変化は何かを把握する必要があります。 |
2 | リーダーシップ | 各取り組みの実施責任は委譲できますが、説明責任はトップ自ら果たす必要があります。マネジメントレビューの機会をうまく活用しながら、トップの関与を深めていく必要があります。 |
3 | 環境保護 | 汚染の予防に加えて「持続可能な資源の利用」「気候変動の緩和及び気候変動への適応」「生物多様性及び生態系の保護」についてコミットメントが求められています。 各項目が目標や施策に反映されているでしょうか。 |
4 | 環境パフォーマンス | 成果重視に改訂されています。パフォーマンスを上げるためにマネジメントシステムを改善することも考えておく必要があります。 |
5 | ライフサイクル思考 | 管理の範囲がサプライチェーン全体に広がります。まずはサプライチェーンの中で環境負荷の高い箇所から取り組みましょう。 |
6 | コミュニケーション | 社内外に対して、信頼性のある情報を「いつ」「だれに」「何を」「どうやって」コミュニケーションするか計画し、実行することが求められます。法律で求められる報告の他に、広報・宣伝なども含まれます。 |
ISO14001 20年目の大改訂
ISO14001は、1992年の地球サミットをきっかけに国際標準化機構(ISO)によって定められた「環境マネジメントに関する国際規格」です。持続可能な開発・経済活動と環境破壊低減を両立させ、循環型社会への転換を推進する手段として、国際規格化されました。2013年の日本工業標準調査会事業競争力ワーキンググループのとりまとめによると、認証取得数は2011年時点で全世界でおよそ26万7千件、日本はおよそ2万9千件であり、全世界の取得数は年々増加傾向にありますが、日本の取得数は2009年以降減少傾向にあります。
2015年9月に、1996年の初版発行以降2004年の改訂を経て「20年目の大改訂」が行われました。今回の改訂は、組織の事業プロセスに環境マネジメントシステムを組み入れさせること、他のマネジメントシステム規格と共通化して効率的・効果的に運用できるようにすることを目的としています。
今回の主な改訂内容については、一般財団法人日本規格協会のHPをご確認ください。
ISO14001の企業活動への活用
今回の改訂により、従来の手順の順守や法的要求事項への対応だけではなく、持続可能性がより重視され、本業と環境をリンクさせたマネジメントが求められることになり、CSVの要素が濃くなったと言えます。経営戦略と環境戦略をリンクさせるためには、環境部署だけでなく、経営企画などの部署を中心として、その他部署と連携する必要があります。ISO14001の改訂への対応は、企業全体のしくみを変え、本業における環境・CSR活動を推進する機会として活用できます。
認証を取得すること自体が目的化してしまっていると「コスト」「負荷」といった悩みが先行してしまいがちですが、改訂版の発行により、ISO14001は、企業の環境戦略と経営戦略とを重ね合わせていく一つのきっかけという意味合いをより鮮明にしたと言えます。
将来予想される原材料の調達リスク、CDPへの対応、SRI・ESG投資への関心の高まりなどからも分かるように、企業の持続性と価値を高めるための手段の一つとして、ISO14001認証取得の意義はますます高まっていくでしょう。
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執筆者プロフィール
渥美 黄太 (あつみ こうた)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ 環境戦略支援チーム タスクリーダー
アミタへ合流後、関東1都6県・中部地方と、広範囲に渡り再資源化提案の営業を経験。一般消費財メーカー、自治体、自動車、化学、石油精製などに精通し、多種多様な業種の顧客へのリサイクル提案実績を持つ。現在は企業の環境戦略支援の提案やアウトソーシングの導入提案などを実施している。
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