Q&A
紛争鉱物に関する規制は今後強くなっていくのですか?
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2010年にアメリカでドット・フランク法が施行され紛争鉱物に関する規制が対象企業に課せられることになりました。特にEUでは、紛争鉱物に関する法整備の動きが活発化しており、アメリカのドット・フランク法以上に厳しい規制が施行される可能性もあり、注視が必要です。
2015年5月20日欧州議会で、紛争鉱物の自己認証システムの義務付け規制法案が可決されました。可決された議案はまだ草案であり、今後EU所属各国と非公式会合を経て最終法案となるため変更される可能性もありますが、近々影響力の強い規制が発行される見込みです。
今後の動きを見通す意味で、これまでの議論の経緯、5月に可決されたEU法案のポイントをお伝えします。
EUにおける紛争鉱物関連規制の経緯
2013年から具体的な検討が開始されて以来、提起されてきた草案は、NGO、各種団体による指摘・要求もあり、より厳しい条件となって法制化が進んでいます(表参照)。特に、2015年5月の欧州議会では、これまで欧州委員会等で承認・可決されてきた提案が覆され、より厳密な法案が 可決されたことは注目に値します。
時期 | 内容 |
2010年10月 | 欧州議会で紛争鉱物に関する決議を採択 |
2013年 1月 | 欧州委員会が紛争鉱物対策検討作業の開始を発表 |
2014年 3月 |
欧州委員会が「紛争地域産の鉱物資源の責任ある取引に関する戦略案」を発表 |
2015年 5月 |
欧州議会で、法案可決 |
※3TG:紛争鉱物のこと。各鉱物の頭文字をとって表現する。(コロンバイトタンタライト(Tantal:タンタルの鉱石)、錫石(Tin:錫の鉱石)、金(Gold)、鉄マンガン重石(Tungsten:タングステンの鉱石))。詳細はこちら
2015年5月に可決された規制法案のポイント
2015年5月に欧州議会で可決された法案のポイントは主に2つです。
- 規制対象地域の範囲が広いこと
アメリカのドット・フランク法における報告対象地域は、コンゴ民主共和国及びその周辺国に限定さていたものの、EU法案では、規制対象範囲が「紛争地域及び高リスク地域」に設定される見込みです。 - 輸入業者、精錬会社だけでなく、中小企業を含めた下流の企業に対しても対策を求める。
各企業に対して以下のような規制がかかる見込みです。
- 3TGを取り扱う輸入業者及び製・精錬会社に対して「紛争地域及び高リスク地域」からの輸入に関する自己認証システムを義務付け
- 輸入業者、製・精錬会社から鉱物を調達する、EU内の88万社に及ぶ企業(中小企業含む)に対して、サプライチェーンにおける紛争鉱物対策状況の報告義務付け(予定)
アメリカでは、スクラップあるいは、再生利用原料を利用するにあたって報告義務の手続きが軽減されます。今後ますます規制が厳しくなることが想定される中、原材料調達における再生資源の割合を増やしていく等、調達方針の見直しを図っていく必要性があるかもしれません。
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