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汚泥の代表的な処理(リサイクル)方法と、適切な処理(リサイクル)方法を選定するポイントを教えてください。

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汚泥とは事業活動によって発生した泥状の物質です。汚泥の種類とその処理・リサイクル方法について解説します。

汚泥とは

汚泥とは事業活動によって発生した泥状の物質です。事業活動に伴って発生した汚泥は、廃棄物処理法で産業廃棄物と分類されます。また、一定の条件(重金属、有機塩素化合物等を一定濃度以上含む等)を満たすものは、特別管理産業廃棄物になる場合もあります。 汚泥は日本で排出される産業廃棄物の中で、その割合が最も多く、年間約1億5,982万トン(令和3年度実績)で全体の42.5%を占めます。
汚泥の種類にも様々なものがあり「泥状」に限らず、廃触媒やドロドロになった軍手等を汚泥として排出しているケースもあります。廃棄物の分類について迷った場合は、行政に相談するのが良いでしょう。

有機性汚泥と無機性汚泥

汚泥は有機性汚泥と無機性汚泥に大きく分けられます。これは法律上定められているものではなく、許可を出す行政が、処理をする上で必要な情報として廃棄物の特性を表す区分としてつけていると考えられます。では具体的に有機、無機性汚泥にはどのようなものがあるでしょう。下記で紹介します。

有機性汚泥
(特徴:下水処理場や食品工場、製紙工場などで、有機物を多く含む排水を処理した際などに発生する)
• 活性汚泥法で処理した後の汚泥
• パルプ廃液から生ずる汚泥(ペーパースラッジ)
• 動植物性原料を使用する各種製造業の廃水処理後に生ずる汚泥
• ビルピット汚泥(し尿を含むものを除く)
• グリストラップ汚泥
• 余剰汚泥 等

無機性汚泥
(特徴:土木工事の現場や金属工場などで、金属成分や砂などの無機物を多く含む排水を処理した際などに発生する)
• 赤泥
• けい藻土かす
• 廃白土
• 浄水場の沈殿池より生ずる汚泥
• 中和処理汚泥
• 研磨汚泥
• 排水処理濾過材(活性炭など)
• 石灰スラッジ
• 冷却塔汚泥
• 酸洗スラッジ
• 建設汚泥 等

汚泥の処理・リサイクル方法

ここからは汚泥の処理、リサイクル方法について解説します。汚泥の代表的な処理の仕方には下記のような方法があります。

▼汚泥の主な処理方法

セメント原料化・燃料化 ・生産工場をはじめ、上下水処理場や発電所など、様々な業態から発生する廃棄物をセメントの原燃料としてリサイクルする
・受入れられた全ての廃棄物がリサイクルされ、二次廃棄物が発生しない
焼却 ・セメント同様、様々な廃棄物を受入れており、廃熱を利用した発電や温水利用などを行う会社も増加
・焼却処理の場合は、通常燃え殻やばいじんが二次廃棄物として発生するため、二次廃棄物の処理方法についても事前に確認しておく必要がある
溶融 ・燃料や電気により廃棄物を溶融温度以上に加熱することで、廃棄物の減容化を図るとともに、含有する有価物金属の抽出や、有害成分の無害化・不溶出化等が可能
・処理により発生するスラグは多くの場合、路盤材やコンクリート骨材、アスファルト骨材へ利用される
造粒固化 ・建設現場の浚せつ汚泥や燃え殻、ばいじんといった無機系廃棄物を混合し、薬剤による無害化、機械による造粒固化を経て、骨材などとして再生利用する処理方法
埋立 ・廃棄物を埋立処理する場合、その種類や性状によって、持ち込むべき処分場の種類が「安定型処分場」「遮断型処分場」「管理型処分場」の3つに分かれる
・近年では最終処分場の残余年数が年々減少しており、処理費用の値上げや受け入れを断られるケースも増加
油水分離 ・自動車や船舶、工場等から排出される鉱物潤滑油系汚泥等を、加熱や遠心分離、自然分離により、油分と水分に分離させる処理方法
・油分は再生重油として販売されるケースが多い
堆肥化 ・食品会社や下水処理場から発生する有機汚泥(活性汚泥法でる処理した後の汚泥など)や動植物性残さなどを混合し、発酵させることで、堆肥原料とする処理方法
メタン発酵 ・堆肥化同様、有機汚泥や動植物性残さ等を原料としてメタン発酵を行い、メタンガスによる発電や、残さによる液肥・堆肥化の処理を行う方法

汚泥の廃棄物の処理方法に関して、処理方法の特徴やコスト、二次的廃棄物の発生などをまとめると以下のようになります。

▼汚泥の処理方法 比較表

セメント原燃料化 焼却 溶融 造粒固化
対象 無機物・有機物 無機物・有機物 無機物 無機物
種類 固形物・液体物 固形物・液体物 固形物 固形物・泥状物
特徴 受け入れた全ての廃棄物を、セメント原料化。二次廃棄物が発生しない。 廃棄物を焼却することで、減容化させ、性状を均一化させることが可能。 固形物有害廃棄物も高温処理で無害化が可能。スラグは骨材原料として再利用。 無機系廃棄物を混合し、無害化、造粒固化。骨材原料として再生利用。
二次廃棄物 無し 燃え殻・しょう 煤塵 無し
コスト 普通 やや高い やや高い 普通
能力・容量 大きい 大きい 普通 普通
持続性

埋立 油水分離 堆肥化 メタン発酵
対象 無機物 無機物 有機物 有機物
種類 固形物 固形物・液体物 固形物・液体物 固形物・液体物
特徴 処分地の残余量次第であるもの、安定的かつ継続的な受け入れが可能。 加熱や、遠心分離、自然分離等で油分・水分を分離。油分は再生燃料として利用。 有機系廃棄物を微生物発酵させ、堆肥化。農業用堆肥として利用。 有機系廃棄物を微生物発酵。メタンガスの発電や液肥・堆肥として利用。
二次廃棄物 無し 廃液・残渣 無し 無し
コスト 安い~普通 普通 安い 普通
能力・容量 小さい~大きい 普通 普通 普通
持続性

出典:アミタ作成

汚泥の処理方法を選定するポイント

ここで適切な処理方法の選定や処理費用に影響する、6つの把握しておくべきポイントを紹介します。

▼汚泥処理方法を選定するポイント

1. 性質(有機系か無機系か)
2. 性状(固形か液状か)
3. 性状の安定性(季節変動やバラつき、経時変化などはないか)
4. 発熱量(含水率)
5. 成分
6. 自社が求めるリサイクルレベル

例えば、有機系の汚泥は臭気等を理由に、セメント原料化では好まれませんが、堆肥化処理では安価にリサイクルできることもあります。また、高含水汚泥は、含まれる水分の分だけ余計な処理費用がかかったり、扱いにくさから処理単価が割高になったりすることの多い廃棄物です。しかし、含水率の低減の取り組み(乾燥や脱水など)を行うことによって、処理費用の削減につながります。
また中間・最終処分、処理後の売却先に成分的な影響がある場合も、処理費用を高める要因となりますので、廃棄物の特性を把握し、適切な処理方法を選定することは、処理費用の削減につながります。
処理方法を選定する際には、上記6つのポイントに加え、さらに「コスト」「環境影響」「安全」「安定性」の4点を考慮してください。コストメリットだけで処理方法を選定すると、処理後の廃棄物が埋立に回り、資源として活用されない場合が多く、ゼロエミッションの推進を妨げます。
また、廃棄物を再生利用した場合でも、経年変化を起こし廃棄物由来の重金属が溶出し環境汚染を起こしてしまう等、様々な処理後のリスクが考えられます。 環境影響の点で言えば、焼却処理では焼却灰やばいじん、中和処理では中和残さが発生します。例えばゼロエミッションを目指す場合は、二次廃棄物が確実にリサイクルされているかを確認することも重要なポイントです。 以上のことから、処理方法を選定するためには、コストメリットだけなく、環境影響や安全・安定性を踏まえて検討を進めることが重要です。

アミタで取り扱い可能な汚泥の種類

アミタでは汚泥をはじめとした廃棄物の処理を行っています。アミタで処理できる汚泥の種類は以下となっています。

▼アミタで受け入れ可能な汚泥の種類

汚泥 含油汚泥 オイルサンド、タンクスラッジ、廃白土、油性カスタム、原油スラッジ など
有機汚泥 活性汚泥、乾燥汚泥、下水汚泥、高含水汚泥、貝殻汚泥
ペーパースラッジ、グリストラップ汚泥 など
無機汚泥 サンド汚泥、浄水汚泥、洗車汚泥、脱水ケーキ、廃アルミナ
廃珪藻土、排水処理濾過材、石灰スラッジ、中和処理汚泥、冷却塔汚泥 など
使用済み触媒 FCC触媒、SiO2系触媒、Al2O3系触媒、Ni触媒、Fe-Cr触媒
Cu系触媒、Zn系触媒、Ni-Mo-x触媒、Co-Mo-x触媒 など
金属含有汚泥 含鉄汚泥、研磨汚泥、ボンデ汚泥、 ショット粉
酸洗汚泥、メッキ中和汚泥(各種重金属含有) など
その他汚泥 印刷インキかす、塗装スラッジ、塗料排水汚泥、カーボン汚泥 など

その他の受け入れ可能な廃棄物に関してはこちらからご確認ください。

さいごに

本記事では汚泥とその処理・リサイクル方法について紹介しました。処理会社によって、また同じ会社でも工場によって受け入れることのできる汚泥の成分や性状が異なります。遠方の会社に委託して運賃が高くなったとしても、トータルでコストを削減できることに加え、環境影響や安全・安定性の観点から見ても自社にメリットをもたらす可能性もあります。いくつかの会社に問い合わせを行い自社の方針に合った適切な処理先を選定しましょう。

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筆者プロフィール

梅木 菜々子
アミタ株式会社 社会デザイングループ

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