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廃プラとは?産業廃棄物における種類とリサイクル方法を合わせて解説!

本記事は、2014/05/13に掲載されたものを再編集しています。
廃プラ(廃プラスチック)には「産業廃棄物」「一般廃棄物」の2種類があります。
本記事では「産業廃棄物」における廃プラ(廃プラスチック類)の種類と、その一般的なリサイクル方法について解説します。

廃プラスチック類とは?定義と種類

廃プラスチック(以下、廃プラ)には「産業廃棄物」「一般廃棄物」の2種類があります。一般廃棄物の廃プラは、主に家庭から排出されるプラスチックごみのことを指します。具体例としては、お菓子などの袋、ペットボトル、使い捨てスプーンやフォーク、ビニール袋等です。
一方、産業廃棄物における廃プラとは、産業廃棄物の定義の一つ「限定列挙された20種類」に該当し、廃プラスチック類と呼ばれる事業活動に伴って生じた廃棄物です。具体例としては、廃タイヤ、合成ゴムくず、合成繊維くず、ビニールシートくず等、固形状、液状のすべての合成高分子系化合物等です。 ただ、現実的に液状のものに関しては廃油として処理されることが多いようです。
産業廃棄物に該当するかどうかは「事業活動に伴って生じているか」によって変わりますが、これは自治体により判断が分かれますので注意が必要です。例えば、勤務中に食事をした際に出てくるプラスチック製のお弁当ガラやペットボトルなどは産業廃棄物か一般廃棄物なのか判断に迷われると思います。詳しくは、下記の記事をご参考ください。

▼参考記事
同じ廃棄物であっても、自治体によって産業廃棄物とする場合もあれば、一般廃棄物として扱う場合もあります。排出事業者としては、どのように対応すべきでしょうか。

廃プラスチックを取り巻く問題

廃プラを取り巻く代表的な問題についてご紹介します。

  1. 廃プラの処理問題
    日本では長年、廃プラを海外に輸出することで処理を行ってきました。しかし2017年末、中国が使用済みプラスチック等の輸入禁止措置を発表しました。その後タイやマレーシア、台湾等の東南アジア各国もこれに続いて廃プラの輸入基準を厳格化しています。さらに、2021年1月1日に発行されたバーゼル条約により、汚れた廃プラの輸出には相手国の同意が必要となりました。

    関連記事:
    廃プラスチックの輸入を中国が2017年末に禁止。その背景と影響とは?
    バーゼル条約とは?概要と改正による汚れたプラスチックごみの輸出規制強化についても解説

  2. プラスチックの海洋汚染問題
    ポイ捨てされたり、適切な処理がされないことによって廃プラが環境中に流れ出し、引き起こされる海洋汚染問題も廃プラを取り巻く問題の一つです。海から遠い場所でポイ捨てされたものでも、風や河川の流れによって最終的に海に流れ着いてしまいます。WWFジャパンによると1年間で新たに800万tの廃プラが流入していると推定されており、魚類や海鳥、ウミガメ等が廃プラによって傷つけられたり死んだりするなど、生態系への影響も深刻です。

    関連記事:
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廃プラスチック類のリサイクル方法

廃プラのリサイクル方法は、大きく分けて3つあります。

  • マテリアル(材料)リサイクル

使用済み廃プラの材質を活かし、他の製品か別のプラスチック材料として活用する方法です。物から物へリサイクルされる際に、異なる製品にリサイクルされる場合と再び同じ製品にリサイクルされる場合があり、再び同じ製品にリサイクルされることを「水平リサイクル」と呼びます。

関連記事:水平リサイクルとは?事例から実証実験まで解説

具体的なマテリアルリサイクルの例としては、以下のようなものが挙げられます。

マテリアルリサイクルの例
・衣類
・包装用トレイ
・コンテナ
・ベンチ
・土木建築資材
・タイルカーペットやシート

上記のとおり、数多くの材料として使用されています。ただし、樹脂種類が異なるプラスチックが混在していたり、プラスチック以外の素材が混ざっていると、そもそも製品としての成型が難しかったり、バージンプラスチックに比べて強度や品質が劣化してしまうため、分別や選別や洗浄など、前処理に手間やコストを要する場合もあります。

  • ケミカルリサイクル

使用済み廃プラを化学的に処理し、化学原料として再生する方法です。高温での熱分解等によりプラスチックをより小さな分子(モノマー)や、油・ガス等に分解することで、多少の汚れや違う種類のプラスチックが混入していてもリサイクルが可能です。その一方で他のリサイクル方法と比較して高度な技術力と設備が必要となり、コストは高くなる傾向にあります。具体的なケミカルリサイクルの例としては、以下のようなものが挙げられます。

ケミカルリサイクルの例
・高炉の還元剤や熱源
・モノマー化
・油化処理
・ガス化処理をして、水素やメタノール、その他基礎化学品 

上記のとおり、数多くの化学的処理が行われ有効活用されています。

  • サーマルリサイクル

使用済み廃プラを焼却する際に発生する熱エネルギーを回収し、利用する方法です。プラスチックが他の素材と分離不可能な場合や、付着する汚れがひどい場合などでも、熱エネルギーとして有効利用することが可能となり、プラスチック製品の埋め立て量を削減することができます。
具体的な例は以下のようなものが挙げられます。

サーマルリサイクルの例
・燃焼による発電や温水利用
・固形燃料化
・ガス化溶融

ただし、プラスチック資源循環法の中では、サーマルリサイクル(熱回収)は、再資源化と位置付けられるマテリアル/ケミカルリサイクルよりも処理の優先順位が低いとされており、再資源化が難しい場合に熱回収を行う、という順序で考える必要があります。

例えば、鉄鋼業界等では、鉄鋼連盟を中心に年間35万tの廃プラ等を製鉄プロセスで利用しており(2009年度実績)、ケミカルリサイクルを行い化学原料、 製鉄原料、鉄鉱石の還元材として利用されています 。
(出典:平成23年日本鉄鋼連盟:鉄鋼業における廃プラスチックリサイクルの取り組みについて
一方、セメント業界等では、サーマルリサイクルとしてセメント工程の焼成で年間約80万t(2018年度実績)の廃プラや廃タイヤを熱源として利用されています。
(出典:一般社団法人セメント協会:セメント産業における 廃棄物・副産物の有効利用について

さいごに

2022年時点で、日本における廃プラのリサイクル率は87%と高水準を維持しています。しかし、その内訳を見ると、半数以上がサーマルリサイクル(熱回収)であり、実際にはプラスチックの再利用が進んでいるとは言い難い状況です。国内では、2022年に「プラスチック資源循環促進法」の施行、2024年には「再資源化事業高度化法」が成立しており、国内では、廃プラ含む廃棄物の"再資源化"が促進される見込みです。今後、一般廃棄物、産業廃棄物の廃プラいずれにおいても、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を見据えた取り扱いが求められるでしょう。

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    執筆者プロフィール(執筆時点)
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    佐中 亨(さなか とおる)
    アミタ株式会社
    総合環境ソリューション営業グループ カスタマーサービスチーム チームリーダー

    アミタ合流後、リサイクル営業、PR、IR部門を経験。環境専門のコンタクトセンターの立ち上げメンバー。 これまでにチームで年間約3,000件の環境部門担当者の方と5年以上に渡りリレーション。 長年蓄積してきたお客様のデーターベースを駆使して、既存のお客様のサポートから新サービスや商品のご案内といったアミタグループの営業支援、さらには外部企業からの市場調査、マーケティング代行の受託業務まで幅広く実施。

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