Q&A
三方よしとはなんですか。古き日本のCSR概念とも聞くのですが
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三方よしとは、事業活動を「自分良し」「相手良し」「世間良し」の三方を満足させるよう行わなければいけないという意味の言葉で江戸時代中期、全国的規模でビジネス活動を行い、時には海外へも進出していた近江商人の思想・哲学を伝えたものです。
近江商人とは江戸時代、現在の滋賀県、琵琶湖周辺出身の商人を言い、その特徴は遠隔地行商から始まった広域志向の商人のことを指します 。
三方よしと日本のCSRの歴史
日本は欧州と比較されてCSRの歴史が浅いと言われていますが、そうとも限りません。 すでに、300年以上前からこの三方よしの経営理念を取り入れて企業は発達してきています。
その代表例として、近江商人である初代伊藤忠兵衛が立ち上げた伊藤忠商事株式会社や丸紅株式会社があげられます。伊藤忠商事株式会社、丸紅株式会社の創業は、安政5(1858)年、初代の伊藤忠兵衛が滋賀県豊郷村から長崎を目指して麻布の持ち下り行商が創業で、昭和24 (1949)に戦後の財閥解体措置により、再度両社は分割され現在の伊藤忠商事株式会社、丸紅株式会社となっています。
初代伊藤忠兵衛は座右の銘「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの」とし、商いには道徳と信用が第一であると同時に近江商人の経営哲学、三方よしの精神を汲み、事業の基盤としています。
伊藤忠商事株式会社ホームページ:
http://www.itochu.co.jp/ja/csr/itochu/philosophy/
丸紅株式会社ホームページ:
http://www.marubeni.co.jp/company/history/chronicle_detail/
近江商人の思想・哲学とCSRの関係
三方よしの他にも近江商人の思想・哲学にはCSRの概念を汲んだものが数多くあります。
利真於勤「利は勤るに於いて真なり」
利益は、事業を懸命に努力し営利至上主義に走らず、社会に貢献し責任を果たした結果に対するおこぼれに過ぎないという戒め。
先義後利栄「義を先にすれば、後に利は栄える」
世間に対して貢献することを真っ先に考え、利益追求を後にすれば商売繁盛し利益が生まれ、繁栄するという教え。
陰徳善事をなさんより全別儀候はず「陰徳を積み、善事をする以外に無い」
自己顕示や見返りを期待した打算的な社会貢献でなく、人知れず社会に貢献すること以外に繁栄の方法はないという教え。
企業の事業継続を考える上でのCSR
三方よしの考えを含めた、近江商人の考え方は現代のCSRにも繋がり、利益至上主義の事業は長続きがせず、途絶えてしまうので、世間のため、人のためになる事業を展開することが、継続的な利益を生むことのできる方法と伝えています。
もちろん、企業が事業の継続を前提している限り、利益を追求することは大切です。
そのためにはお客様に喜ばれる商品やサービスを作り出しつつ、合わせて社会課題を解決することに繋げることで相互に利益を得ることが大変重要です。この考え方はまさしくCSRの考え方であり、CSV(Creating Shared Value)にも繋がります。
ぜひ一度近江商人の思想・哲学等の関連図書を読まれてはどうでしょうか。
きっとCSRに関する新たな気づきや思いが芽生えるかもしれません。
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「おしえて!アミタさん」「CSRJAPAN」のプロデュースなど、環境やCSRを視聴者視点で分かりやすく伝える業務を実践してきた講師猪又による人気CSR講座です。
現在、環境新聞で「CSRの光と影」を連載、環境省「活かそう資源プロジェクト」など官公庁や企業などのコミュニケーション支援実績多数。決して、アカデミックな内容に偏るわけではなく、他社のCSR活動を支援してきた経験や実績に裏付けされた現場に直結する内容としてご好評いただいています。
執筆者プロフィール
猪又 陽一
アミタ株式会社
環境戦略支援グループ CSRプロデューサー
早稲田大学理工学部卒業後、株式会社ベネッセコーポレーションに入社。理科教材やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て株式会社リクルートエージェントに。インターネット転職市場の新規事業を軌道に乗せた後アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究に従事。環境省「活かそう資源プロジェクト」メンバー。GC-JNの分科会幹事を歴任。現在、CSRレポート比較サイト「CSR JAPAN」をプロデュース。企業、大学などで講師やファシリテーターなど経験多数。2010年企業ウェブ・グランプリBtoB部門「おしえて!アミタさん」受賞。学生へのCSRレポート普及などのプロボノとしても活躍。
Twitter:http://twitter.com/inoyoko1226
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