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アジア地域での信頼性アピールのために、CSRレポートを活用したいと思っています。CSRレポートの作成にあたって注意すべきことを教えてください。

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国ごとのCSRの理解の仕方、企業に対する要望、社会課題を理解することが重要です。一口に「アジア」といっても均質ではありません。気候、言語、宗教、食べ物、価値観等実に多様なのです。それがアジアのパワーともいえます。

国によってCSRの文脈が異なる

企業の社会的責任(CSR)についても、国によって理解のされ方が異なります。フィリピンやインドネシアのようにCSRといえば、社員による慈善ボランティア活動と思われている国もあれば、シンガポールやタイでは、コーポレートガバナンスがCSRの中心だととらえられていました。日本のように、環境対応にCSRの端緒がある国は、他には韓国があります。 このように、アジアでは国によってCSRの文脈がかなり異なります。

2010年11月に発行されたISO26000の社会的責任のガイダンスによって、この差異はかなり薄らいできたというものの、実際にはまだまだ国によってCSRのとらえ方は多様だと理解していただくのが良いと思います。 したがって、経営資源が無尽蔵にあるという仮定なら、一番の理想は、国ごとに受け入れらやすいCSRレポートを、それぞれの国に合わせた内容と言語で作成するのが良いと言えます。

しかし現実には、企業が投入できるリソースには限りがあります。 CSR活動が評価されるためには、これから述べる一点をぜひCSRとして実践し、そのことをCSRレポートにも盛り込んでほしいと考えます。

企業は政府と同等かそれ以上の力?

アジアでは、企業に対して社会が非常に期待しているという側面があります。というのは、政府の力が及ばないために、貧困・格差・教育・衛生など解決の望まれる課題が、質も量もありすぎる国がたくさん存在しているからです。 そこで白羽の矢が立つのが企業という存在です。

企業は資金や人材などの資源を豊富に持ち、地域社会からみれば、政府と同等かそれ以上に力を持った存在に映ります。したがって、社会課題を抱える人々からすれば、企業は「何かしてくれる」存在であると期待されることも多いのです。

私が、アジアで事業を行う企業にぜひ取り組んでほしいと感じているのは「社会課題の解決に寄与する」ことです。言い換えれば、アジアでは、企業も開発課題に取り組むことを社会から求められているということです。

具体的に取り組み、その姿を発信する

日本の企業のCSRレポートを見ると、アジアの社会課題をどれだけ認識し、それに対して企業としてどんなことをやっているのか、ほとんど書かれていません。よく書かれているのは、寄付金の額や、動員された社員ボランティアの人数までで、そこにとどまってしまっているのです。

日本の企業のCSRレポートでは、会社として真摯によくやっていることは伝わるものの、アジアの読者に対してどれだけ訴求できているのかな、と感じることがよくあります。 多様な背景をもち、常に身近に社会的課題が山積しているアジアの国の読者。彼らに向けてCSRレポートの中でも、企業として社会的課題の解決に取り組む姿を語ることができたら、もっと日本企業のCSRがアジアでも評価されるのです。

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執筆者プロフィール
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赤羽 真紀子
CSR Asia 日本代表

通算10年以上に渡り多国籍企業のCSR担当業務を経験し、スターバックスコーヒージャパン、セールスフォースドットコム、日興アセットマネジメントの各社で関連部署の立ち上げを手がけた。 シンガポール支社でのCSR部署の立ち上げや、タイ、韓国、中国でのCSRプロジェクト実施の実績もある。 早稲田大学で政治学と生物学を修め、カリフォルニア大学リバーサイド校、タフツ大学、慶應義塾の各大学院で学ぶ。環境省、ICU、慶応義塾大学、清泉女子学院大学、立教大学、APABIS、プリティッシュ・カウンシルをはじめ、講演多数。

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