Q&A
中小企業もCSRに取り組むべきでしょうか。
はい、取り組むべきです。CSRを本業以外の社会貢献活動と理解して、取り組む必要はないという意見も聞かれます。しかし「企業の社会的責任」という本来の意味から考えるなら、会社存続のための課題を社会的視点、長期的視点で解決する手段として取り組むべきです。
取り組む目的の整理を
地域清掃や募金、企業ボランティア等の社会貢献活動だけをCSRと捉えている企業も少なくありません。
中小企業の担当者の中には、上司や社長に「これからCSRに取り組みたい」と進言して「確かに社会貢献は大事だが、自社にどんなプラスがあるのか」と返され、言葉に窮した方もいらっしゃるかもしれません。
中小企業でCSRに取り組むメリットの1つが、CSR意識の高い企業との取引と言われています。社会からの注目が高い大企業は、取引先のことでNGOから批判を受けるケースもあり、サプライチェーン全体でCSRに取り組もうとしています。実際に、海外では環境、人権、労働基準、腐敗防止の4分野へのコミットメントである国連グローバル・コンパクト(UNGC)※への署名を取引条件とした企業も出てきました。
CSRが特に有効な6つのケース
ただ、こうしたケースが当てはまる企業はまだまだ限られています。
では、以下のようなケースはどうでしょうか。
- 現在の主力ビジネスが価格競争に陥っていて、発想の転換が求められている
- 海外でビジネスをする上でのリスクを減らしたい
- せっかく育てた社員がすぐ辞めてしまう。人材を定着させたい
- 社員のちょっとした不祥事(情報漏えいなど)が致命傷になるので、コンプライアンス意識を高めたい
- 顧客から、付き合い甲斐のある会社と思ってもらえるようにしたい
- どうせビジネスをするのであれば、世のため人のために行いたい
このうちどれかに当てはまる場合、CSRは有力なアプローチになります。
CSRで達成したいゴールによって、CSRの進め方は当然変わってきます。中小企業にとって、一番の関心事は、会社が5年後、10年後も顧客、さらには社会から必要とされているかどうかだと思います。そのために組織が抱えている課題を、社会視点と長期視点で解決するというアプローチが、中小企業にとってのCSRと言えます。
※持続可能な発展を実現するための世界的な枠組み。世界各国にローカルネットワークがあり、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)ではCSR担当者が自主的に勉強会や意見交換の場として分科会を開催するなどCSRのプラットフォームとして機能している。
執筆者プロフィール
多田 尋一
株式会社ブレインネットワーク
プロジェクトマネージャー
地方新聞社の経済記者を経て、株式会社ブレインネットワークに入社。上場企業のアニュアルレポートおよび会社案内、CSRレポートなどの企画・制作支援に従事している。また、同社が2010年に国連グローバル・コンパクト(UNGC)※に署名後、2011年にUNGCのジャパン・ネットワークにて「中小・中堅規模の団体のためのCSR活動研究分科会」を立ち上げ、現在まで幹事を担当。中小企業がCSRに取り組む意義及びメリット、レポーティングの進め方などについて有識者を招きながら議論する場をコーディネートしている。
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