Q&A
環境に配慮した紙を使用したいのですが、どういう基準で選択するのがよいですか?
環境に配慮した紙の選択の主要なポイントとしては「資源の有効利用」「適正に管理された森林資源」「環境ラベルの信頼性」の3点が挙げられます。
資源の有効利用をしているか
1点目はつまり、日本国内では最も重要視されている「再生紙」です。 平成12年5月に制定された「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」の基本方針で定める判断基準では、まず「古紙パルプ配合率」が一番に挙げられています。 また「資源の有効利用」でもう1つ重要な点として、間伐材など未利用材の有効利用があります。グリーン購入法の判断基準にも含まれており、間伐材を原料として使用した紙も販売されています。
適正に管理された森林資源に由来するものか
2点目は、一般的に「森林認証紙」と呼ばれているものが該当します。 適正に管理が行われた森林を認証し、そこからの木材原料を使用して作られた紙です。
世界にはたくさんの森林認証制度がありますが、世界的に展開されており国内でも利用できるのは、FSC™認証とPEFC認証の認証紙です。古紙パルプの使用は廃棄物削減、森林資源利用の圧力緩和の点で重要ですが、一方で繰り返し使用することで品質が低下していくため、一定の割合のバージン原材量は常に使用しなければなりません。森林資源は再生可能資源として適正に管理、使用することが求められています。
環境ラベルの信頼性はどうか
3点目は、製品に表示された原材料が本当に入っているのかということです。2008年に問題となった古紙偽装問題が典型的な例ですが、本当はバージンパルプが含まれていたにも関わらず、古紙パルプ配合率100%であると偽って表示がされていました。
残念ながらその表示は「自己宣言」で、第三者のチェックは行われていませんでした。紙の選択において製品に表示された環境ラベルが「自己宣言」なのか「第三者認証」なのかによって表示内容の信頼性は大きく異なります。
森林認証紙の優位性
FSCやPEFCの認証紙は、上記2点目については当然のことながら、古紙等再生原材料も使用できます。
FSCの場合はFSCリサイクルラベルという再生原料100%で作られた製品専用のラベルもあり、米国のオバマ大統領の就任式の招待状にもFSCリサイクル紙が使用されました。
また、「環境ラベルの信頼性」においてもFSCやPEFCは第三者認証制度ですので、ラベルを使用するために審査を受け、認証を取得し、ラベルの使用にあたっても認証機関の承認が必要です。
「環境に配慮した紙」を購入する場合に、最も容易でまた確実な方法はラベルのついた森林認証紙を選ぶことですが、求める紙の品質や用途によって必ず認証紙が手に入るとは限りません。
しかし認証紙の種類は国内市場の拡大とともに増えてきており、選択する側(需要者が求めることによって、メーカー(供給者)も要望に答え、種類を増やしていくのではないかと思われます。
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執筆者プロフィール
山野下 仁文
株式会社アミタ環境認証研究所
FSC COC / MSC COC主任審査員
石川県金沢市出身。名古屋大学農学部林学科卒。英国サセックス大学文化・開発・環境研究所環境・開発・政策コース修了。環境関連のコンサルティング会社の研究員として、廃棄物処理、散乱ごみ問題、オゾン層保護、国際環境協力、森林保護などの調査・研究に携わる。2008年6月より現職。FSC及びMSCのCOC認証の審査員として国内外で審査を実施。
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