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有価物化|自社廃棄物を有価物化するポイントとは?

Photo by Huỳnh Tấn Hậu on Unsplash

処理費の削減等で需要が高まっている「産業廃棄物の有価物化」について、事例とポイントをご紹介します。
自社の工場では、廃棄物として排出されているものが、他業界では原料として、または添加剤として購入されているケースがあります。

有価評価されやすい廃棄物の事例は?

一般的な事例として、下記が挙げられます。

▼有価評価されやすい"廃棄物"の種類と事例、用途の一覧

廃棄物の種類 廃棄物の品目例 有価評価された場合の用途
汚泥 金属を含む汚泥
(メッキ加工工程から排出される排水汚泥など)
金属原料の代替
金属くず 各種金属類
(鉄粉、スケール類、研磨粉類、ステンレス、溶断くず、切粉、ラガーロープ、スチールコードなど)
金属原料の代替
廃油 圧延油系廃油、鉱物油系廃油、作動油系廃油、潤滑油系廃油 など 重油等の燃料の代替
廃プラスチック類 梱包材、樹脂くず など プラスチック製品の原料の代替
燃料の代替
着目すべき成分は?

自社の廃棄物が有価物化できるかどうかは、自社の産業廃棄物の中に、他の産業で原料として利用されているもの(つまり、成分)があるかどうか?という視点が重要です。廃棄物を原料として有価評価しやすい主な5つの産業と、現場で着目されている成分を紹介します。

▼廃棄物を原料として有価評価しやすい主な5つの産業と、着目成分の一例

産業 有価評価の内容 着目成分の例
非鉄精錬 天然鉱石代替として評価 Ag、Cu、Zn等
鉄鋼 鉄原料として評価 M-Fe(金属鉄)
製造工程における副資材として評価 Mg、Si等
化学工業

天然資源代替として評価
※化学工業は、品位の基準が厳しい傾向にあります。

SiO2、Al2O3、F等
窯業 陶材や釉薬の原料として評価
※焼色等に影響があるため、不純物の混入は忌避されます。
SiO2、Al2O3、MgO等
肥料 植物の生長に必要な土壌の養分として評価 N、P、K等

ただし、いくら該当する成分が含有されていても、必ずしも有価物として評価されるわけではありません。何故なら、一口に有価物といっても評価項目は「成分」だけでは無いからです。有価物化できるかどうかは「性状」や「荷姿」「分別状況」「発生量」「忌避成分」など、様々な評価項目によって判断されます。

チェックシートで確認!自社の廃棄物が"有価物化"できるか、調べる方法は?

有価物に関する主な評価項目は下記となります。受け入れ先の企業によって、設備や製造工程も異なるため、求められる品質の基準にも違いがあります。まずは、自社の発生物について、しっかりと分析し、受入先に相談をしてみましょう。

有価評価に向けたチェックシート(主な評価項目)
ポイント 概要
成分(品位)
  • リサイクル原料として有用な成分が含まれているか、どのくらいの含有率があるか。
  • 日によって成分の含有率に差が出るのか、出ないのか。
性状
  • 油分、磁力、含水率などの状況はどのようなものか。原料として利用する会社が求める基準に沿っているか。
    ※各社によって基準は異なります。検討時に答えられるように分析しておきましょう。
  • 異物などが混入していないか。混入している場合はその度合いはどのくらいか。
荷姿
  • 分別の手間はどのくらい必要か。(内袋に入っているかなど)
数量・発生頻度
  • 一度に排出される数量はどのくらいか。
  • 発生頻度はどのようなものか。一時的に発生するものか(スポット)、定期的に発生するものか。
    ※月10tなどまとまった数量のあるもの、定期的に排出があるものが評価されやすい傾向にあります。
市場価格・社会情勢
  • 金属などの有価物化を行う場合、現状の市場価格がどのような状況にあるか。
    ※一般的に、天然資源の価格が高騰している場合は、リサイクル原料の需要が増します。中国による廃プラスチック類の輸入禁止などの社会情勢にも左右されます。

また、分別や異物混入にも気を付けましょう。原料を購入する側に配慮し「少しくらい異物が混入していても大丈夫だろう。」という考え方は避けた方がよいと思います。一旦、有価物として評価された後に、異物混入などのトラブルで、取り扱いが無くなってしまうケースもあります。

【関連記事】産業廃棄物のよくある分別のトラブルと解決法とは? 【見直しチェックシート付】
【関連記事】産業廃棄物の異物混入について、事例と対策を教えてください。

有価物を取り扱う場合、排出事業者にとって、一番大切なことは、「廃棄物とは異なり、販売する商品を扱っているという意識で管理する必要がある」ということです。管理に十分注意し、廃棄物の成分、性状等に変更や異常事態があった場合には、漏れなく情報伝達を行うことが重要です。

有価物化の検討について

アミタでは、40年以上にわたる再資源化の実績から、天然資源のマーケット情報、産業設備に関する専門知識、技術開発の動向把握、様々な産業へのネットワークを有しています。自社での有価物化検討に限界を感じられたら、ぜひご相談ください。有価物化によるコスト改善、管理費削減にご協力させていただきます。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

釜谷 充勉 (かまたに みつやす)
アミタ株式会社 
地上資源マネジメントグループ 地上資源マネジメント西日本チーム
2001年にアミタ株式会社(当時スミエイト株式会社)に合流後、長年にわたり兵庫・岡山・香川をはじめとした関西エリア専門のリサイクルコンサルティング営業を担当。これまでにヒアリング・提案した数は2,000件を超え、この豊富な経験をもとに行う提案は「エリアや業界特有の事情を踏まえた的確な内容」と定評を受けている。

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