コラム
「廃棄品」「事故品」「スポット廃棄物」等におけるリスク管理
とリサイクル、再資源化のポイント
通常の事業活動で排出される産業廃棄物については、多くの企業が廃棄物処理法に従って厳格に管理されていると思います。しかし消費/使用期限切れとなった「廃棄製品」や、小売業者から返品された「戻り品」「リコール品」、品質異常(スペックアウト)などによる「検査不合格品」、また災害による水没や、火災により原料や燃料として使用できなくなった「水漏れ品」「事故品」、年末年始や年度末に発生する「スポット廃棄物」等、見通しが立たない廃棄物への備えは万全ですか。
本記事では、緊急時や臨時、突発的なタイミングで出る廃棄物に関してリスク軽減のポイントやより付加価値の高いリサイクルの仕方、また再資源化の方法について解説します。
目次 |
「廃棄製品」「戻り品」のケース
ある化粧品メーカーでは、担当者の「製品の廃棄は、本来の処理ルートの外に流出してしまうことを防がなければならない」という考えから、廃棄製品や戻り品在庫を適切に処理するため、焼却処理を検討されていました。
一方で「リサイクル率は向上しなければならない」「廃棄物処理コストの削減も進めなければ」と、複数の課題を抱えている状態でした。さらに廃棄対象の製品に、ブランドロゴや企業名が入っていたため、外部に流出してしまうと不正転売のリスクもあり、企業のブランドリスク管理の必要もありました。
こうした課題を改善するため、アミタはリサイクルの方法として、メーカー容器と中身をセメント原料として100%再資源化する方法を提案しました。徹底した破砕工程と混合処理を経ることで、原形をとどめることなく、セメント原料として活用することができるようになりました。
この方法は、焼却処理よりコストを削減できることに加え、製品の原型をとどめず破砕する機能破壊も兼ねるため、ブランドリスク対策にもなります。さらなるリサイクルの高度化、再資源化をすすめるのであれば、ガラス瓶やプラスチック容器は破砕・洗浄し、新たな化粧品容器や他業界の製品素材として再利用する方法や、未使用や返品された製品の内容物は、油分や成分を分解し、バイオ燃料や工業用原料として活用する方法なども検討できるでしょう。
●ポイント! ・委託先が破砕など該当する処理業の許可を持っているかを必ず確認し、契約を締結しましょう。 |
「水漏れ品」「事故品」のケース
ある総合商社では、台風の被害により倉庫に保管していた食品原材料や燃料、製品が浸水したことにより「水漏れ品」「事故品」を抱えてしまい、その対応のために急遽、通常の業務をストップせざるを得なくなってしまいました。現場の安全確保や関係企業への連絡・報告、また被害品の損害規模の把握等、まずは現場の復旧と影響を把握することが第一優先の中、性状、種類、量とそれぞれ異なる産業廃棄物を緊急に倉庫から搬出する必要がありました。
このような場合は、廃棄物の搬出を一手に任せることができる専門的な知識を持つ処理会社に任せるのが有効です。
前述の通り様々な廃棄物を処理委託するため、できるだけ優良で幅広い廃棄物の委託先を紹介できるネットワークを保有し、処分だけでなく収集運搬の手配も可能で、産廃契約書作成等の関連する事前準備の支援ができる先がベストです。
また緊急時とはいえ、単なる焼却・埋め立てよりもできるだけリサイクルに回すべきですし、コンプライアンス上の問題を起こしては風評被害に繋がりかねません。廃棄物のリスク管理を安心して任せられ、収集運搬やリサイクル等一括でサポートでき、迅速に対応してくれる先を普段から確保しておくことが重要です。
●ポイント! ・「水漏れ品」「事故品」が発生した時の対応は廃棄物の対応だけではありません。平常時から、廃棄物管理、処理において安心して任せられる、相談できる処理会社を確保しておきましょう。 |
年末年始、年度末に発生する「スポット廃棄物」のケース
年末年始や年度末になると、期末の在庫整理や、オフィスや倉庫の移転・統廃合、現場の大掃除や工事などによって、普段と違う廃棄物が排出されることがあります。また、自社及び委託先の生産量変動、休業などが起こりやすい時期です。
しかし、新しく発生した産業廃棄物の処理を行うためには、処理委託先の検討や契約書の締結、場合によっては事前協議や現地確認の実施など、長い時間がかかることも少なくありません。発生が予想される廃棄物を事前に把握して備えることが重要です。
また、業界によってはこの時期の在庫確保のために、直前に増産することがあります。自社の生産計画や工事計画など、廃棄物の増量・スポット発生につながる予定を社内に確認して備えておきましょう。その際、発生した廃棄物の保管場所の確保や、フレコン・ドラム缶などの保管容器の確保を行うことも忘れてはいけないポイントです。
年末年始、年度末に発生が予想される廃棄物は以下のようなものが挙げられます。
工場 |
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本社 |
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倉庫 |
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発生が予想される廃棄物の把握ができたら、処理委託先の予定を事前にチェックしましょう。
発生する廃棄物を確認した後に気を付けたいのが、委託先の確保です。処分会社・運搬会社に在庫処分などの突発的な対応依頼が入っていると、なかなか希望通りの搬出ができない場合も考えられます。なるべく早くサンプルやWDSを準備して、処理委託の希望を出しましょう。
また、年末年始は休業や営業時間の短縮、定期修理や設備工事に伴う搬入規制なども想定されます。年末年始の予定について、運搬会社や処理会社へ事前に問い合わせておきましょう。
上記に従って事前準備を済ませたら、緊急連絡網が最新情報に更新できているか確認をしましょう。年末年始は特に、普段連絡を取っている番号、担当者と連絡がつかない可能性も考えられます。有事に備えて会社の固定電話の番号だけではなく、携帯電話番号も反映させておきましょう。
●ポイント! ・年末年始・年度末に慌てないよう、発生する見込みのある廃棄物の量と種類を今から予想し、対応を業務予定に入れておきましょう。 ・通常の処理フローとは異なるスポット廃棄物だからこそ、契約書・許可証のチェックはいつも以上に確実に行ないましょう。 |
執筆者プロフィール
おしえて!アミタさん 編集部
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