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食料・飼料などで注目される昆虫の可能性ズ―コンポスト!人口100億人時代に向けた食料供給の鍵

maggothand.jpg 今、世界的に昆虫に注目が集まっています。今後の人口増加や食生活の向上により、動物性たんぱく質が足りなくなるので、昆虫を代替たんぱく質として食料や飼料に活用しようというものです。
昆虫は、身近にいるものの、なかなか仲良くなれない存在でもあります。循環型の社会の中での、昆虫の利用方法、昆虫の食への転換などについて6回にわたって連載します。

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画像:執筆者提供

世界的に注目される昆虫

2018年1月に欧州が昆虫を食品として認めたことが発端となり、今年に入って昆虫に関するニュースに触れる機会が増えています。しかし、それ以前から昆虫を食料にすることは注目されていました。2013年のFAOによる昆虫食に関するレポートでは、将来的に生じる動物性たんぱく質の供給不足を補うため、昆虫由来の動物性たんぱく質で代替することが提案されています。現に、魚の餌となる魚粉の値段は高くなってきていますし、今後人口が爆発的に増え、より豊かな食料を食べることになると、従来の家畜の肉の供給量では足りなくなることは明白です。

欧州の一部の国では、コオロギ入りのパンが大人気と聞きます。昆虫の動物性たんぱく質は栄養価も高く、必須アミノ酸も多く含まれているので、とても優れた食料になります。もちろん、昆虫をそのままのカタチで食べる必要はありません。粉末、ペースト、成分抽出など、いろいろな加工方法があります。

私を含め多くの人は、昆虫の食用化には抵抗があると思います。それは「気持ち悪い」「汚い」といった見た目や育ち方のイメージが原因でしょう。しかし、我々が日常的に食べている牛や豚、鶏、魚介類はどうでしょうか? 彼らが何を食べ、どういう過程を経て食卓にのぼるか、よく想像してみてください。このように考えると、昆虫にもチャンスはあると思います。

昆虫と人間のかかわり

昆虫は人間よりはるか昔から存在し、ずっと人間の傍にいた身近な生物です。昆虫は生態系の中でとても重要な役割を果たしていますが、人間が昆虫を積極的に利用している(つまり家畜化している)のは、大雑把に言うと、養蜂と養蚕しかありません。

家畜の利用目的には、食用、使役、産物があります(図)。

  • 食用:家畜自身が食料になります。牛肉、豚肉、鶏肉など。
  • 使役:水牛は農作業に使われ、ラクダは人や荷を運びます。
  • 産物:乳、卵など、家畜が生み出すものです。

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図:家畜の役割。餌を入力すると、食用の動物性たんぱく質や有益な産物を生成する変換器としてみることができます。使役にも利用できますが、人間にとって厄介な糞も出力します。

養蜂では、ハチは草花を巡って蜜を集め、同時に受粉させます。人間は巣箱に集められた蜜を収穫します。これは、蜜を集める、受粉するという使役に昆虫を利用しています。養蚕の場合は、餌となるクワの葉を蚕虫に与え、繭になったところを絹糸として収集します。人間からすると、蚕虫は、クワの葉を入力すると絹糸に変換して出力する魔法の箱のようなものです。いずれの場合も、昆虫自身を食用として活用するものではありません(一部地域では食用とされています)。 昆虫を変換器と見立てた場合、入力には不要なもの、出力には有益なもの、そして昆虫自身も食用あるいは飼料として活用できるのであれば、一石三鳥になります。次回は、昆虫を使った廃棄物処理について紹介します。

参考情報
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執筆者プロフィール

180314_profile.jpg山口 弘一氏 
株式会社BBBジャパン 代表取締役
農業ストラテジスト

1938年東京生まれ。沖縄海洋博覧会やつくば科学万博などの大型博覧会をプロデュース。2004年NPOローハスクラブ設立、代表理事。2008年から株式会社BBBに参画。ハエ事業である「ズーコンポスト」の開発に関わり、農水省の農商工等連携事業の認定を受けて3年間事業を推進。2009年に株式会社BBBジャパンとしてズーコンポストを本格的に事業化。専門は農業全般や環境技術、バイオマス。

木下 敬介氏
株式会社フライハイ 代表取締役

東京大学工学系研究科博士課程修了。画像認識の研究、金融系のシステム開発に従事。2011年から東南アジアでの林業や農業のビジネスに従事。2014年からズーコンポストシステムに関わる。2018年株式会社フライハイ設立。

株式会社フライハイ:https://flyhigh64.tech

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