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省エネ・創エネを地方創生に活用するには?省エネと創エネ~日本と企業におよぼす今後の影響と対策

Some_rights_reserved_by_USDAgo.jpg本コラムは「省エネ」や「創エネ」が、今後企業に与える影響を想定し、いかにリスクを減らしてチャンスにつなげていくかをテーマにします。「創エネ」とは、創エネルギーの略称であり、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなどを活用して再生可能エネルギーを作り出すことです。第6回目は、省エネ・創エネを地方創生に活用する考え方について紹介します。

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地方創生に向けて

現在日本国内では労働人口の高齢化が進んでいます。有効求人倍率は上がり、働き盛りの若者は平均賃金が高く、多様な職種と雇用先がある都会に人口が流出しています。これにより、地方の過疎と高齢化はより深刻になっており、地方企業に与える影響も小さくありません。この状態を打破するために、政府は地方創生を掲げています。創エネと省エネはこれらを推進する鍵にもなるのです。省エネは光熱費を含む費用を削減し「創エネ」は豊かなバイオマス資源に恵まれた日本の地方に有効だからです。

地方のバイオマス資源を活かす創エネと省エネの考え方

まず、核となる発電方法を明確にします。多様な技術を結集し全体最適となるように設計しますが、結果的には核の部分である再生エネルギーの発電方法を中心に構築する必要があります。核となる再生エネルギー選定のポイントは、その土地にある自然を最大限に活用することと、その土地から発生する資源で極力資源循環が成り立つようにすることです。

次に、発電時に発生する排熱利用についても設計段階から考慮に入れます。例えば、温水が必要な企業があれば蒸気の排熱を利用し、熱交換させることにより蒸気を発生させる燃料や設備が不要となります。また、設計仕様に対し効率的に稼働する状態を理解し、効率性を阻害する条件を除外するような設計ができれば、発電効率が設計時の算定値より効率的になる可能性があります。往々にして課題になるのが、誰がリーダーシップを取るかという点です。ここで注目されているのが公民連携(官民連携)という考え方です。自治体と企業それぞれの長所を活かし、地域や社会に対して地域課題の解決に取り組む事例が増えてきています。

こういった地域全体で考える創エネと省エネの一例として、下記にフロー図を作ってみました。緑色がインプットと考え、藤色が再生可能エネルギーを電気に変換する機器となります。赤色の線が電気を発電する機器や電気を供給する系統となります。

「創エネ」・「省エネ」・「再生資源化」を活用した『地方創生』のフロー図

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① 発電 バイオマスボイラーとバイオガスボイラーを併用。給水は川から行うことで、CO2排出量を削減
② 電力利用者 地域内の企業や家庭など(余った電力は蓄電池で備蓄)
③ 発電燃料 バイオマスボイラー...地域で発生する間伐材やカロリー源となる産業廃棄物など
バイオガスボイラー...一般廃棄物の生ごみ、糞尿、産業廃棄物の有機系汚泥や食品残さなど
④ 副産物の活用 バイオマスボイラー...発生する消化液は液体肥料として地元農家などで利用
バイオガスボイラー...残さ等はセメント原料などになります
⑤ 排熱利用1 ボイラーから出た排熱で、給水する川の水を温め、ボイラー負荷を軽減し熱効率を改善
⑥ 排熱利用2 タービンを回した蒸気の残存熱エネルギーから熱交換器を介して温水を製造し、企業の空調や一般家庭のお湯に使用
⑦ 外気冷却 医薬品や半導体などの生産は、クリーンルームの中で製造するのが一般的となります。年間を通して温湿度を一定に保つ必要があるため、冷水は冷却や除湿に欠かせないものとなります。寒冷地では冬季、熱交換器により外気で河川水から冷水を製造し、企業の空調に使用(1年間通して企業の室内の温湿度を一定に保つ場合には有効)することで冷水を製造する機器の負荷が低減できます。
⑧ 非常時対応 主に太陽光発電と蓄電池は災害時の非常電源として活用

上記のように総合的に資源・エネルギーを利用できる設計を行うことは、効果的な「創エネ」「省エネ」となり、結果として『脱炭素』につながります。また、図の黄色の部分に様々な年齢層・ノウハウを持った人材が必要となり、雇用の場が生まれます。これにより、高齢者が長く働くことができる場が生まれます。また、再生可能エネルギーにより低コストの電力費用で事業活動を行えることにより、魅力を感じた企業が地方に進出することで、都会に流出する若者の数に歯止めをかけることができ、未来を明るくする『地方創生』を推進することが可能となります。

執筆者プロフィール

oosumi_mr.ijima.jpg飯島 政明(いいじま まさあき)氏
株式会社オオスミ 調査第二グループ

山梨県機山工業(現、城西高校)高校機械科を卒業後、半導体を製造している大手半導体メーカーでファシリティーの管理・省エネ改善と環境管理の業務を経て現職。現在は「省エネ診断及び環境関連の法令」についてのコンサルティングを60社以上の企業に提供し、好評を得ている。

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