コラム
廃棄物管理業務 問題集で実力チェック!|第二回 産業廃棄物とは?応用編 廃棄物管理業務 問題集で実力チェック!
本コラムでは、廃棄物処理法に関するアミタのオリジナル問題をご紹介します。今回は、第一回で学んだ知識を元に、産業廃棄物の分類について選択問題を出題します。
本コラム一覧はこちら
Some rights reserved by LeafLanguage
問題集
設問に応じて、選択肢を1つ選んでください。
Q1. 再生PET繊維を使用して製造された作業着は、産業廃棄物の種類でいうとどの種類に該当するか。
- 廃プラスチック類
- 繊維くず
- ゴムくず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
Q2. 焼却炉の底に残った灰は、産業廃棄物の種類でいうとどの種類に該当するか。
- 燃え殻
- 鉱さい
- がれき類
- ばいじん
Q3. 次のイ~二の廃棄物のうち、産業廃棄物に該当するものはいくつありますか。正しい組み合わせを1~4から選んで下さい。
イ 建物の改築工事で発生した廃木材
ロ サービス業を営む会社のオフィスから廃棄される木製の机
ハ 自動車製造業の工場で廃棄される旧デザインのユニフォーム(木綿100%のシャツ)
二 社員食堂から廃棄される天ぷら油
- 1つ
- 2つ
- 3つ
- 全て産業廃棄物
Q4. 次のイ~二の廃棄物のうち、産業廃棄物に該当するものはいくつありますか。正しい組み合わせを1~4から選んで下さい。
イ 建設業者の本社で廃棄される図面(紙製)
ロ 家具製造業から廃棄される木くず
ハ スーパーマーケット内で調理し販売されている惣菜(賞味期限が切れたため廃棄)
二 八百屋の店先に出されていた、のぼり旗(ナイロン製、老朽化のための廃棄)
- 1つ
- 2つ
- 3つ
- 全て産業廃棄物
▼下記に、解答・解説がございます。スクロールしてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
解答・解説
■ 解答一覧
Q1. | 1.廃プラスチック類 |
Q2. | 1.燃え殻 |
Q3. | 2.2つ |
Q4. | 2.2つ |
いかがでしょうか。難しくてわからなかったという方は、解説一覧を確認する前に、下記の産業廃棄物の種類と具体例と問題を見比べながら、再度チャレンジしてみてください。
▼産業廃棄物の種類と具体例
種類 | 具体例 | |
あらゆる事業活動に伴うもの | (1) 燃え殻 | 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他焼却残さ |
(2) 汚泥 | 排水処理後および各種製造業生産工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等 | |
(3) 廃油 | 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチ等 | |
(4) 廃酸 | 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類等すべての酸性廃液 | |
(5) 廃アルカリ | 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等すべてのアルカリ性廃液 | |
(6) 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物 | |
(7) ゴムくず | 生ゴム、天然ゴムくず | |
(8) 金属くず | 鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等 | |
(9) ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず | ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程等で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等 | |
(10) 鉱さい | 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かす等 | |
(11) がれき類 | 工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物 | |
(12) ばいじん | 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に定める特定施設または産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんであって集じん施設によって集められたもの | |
特定の事業活動に伴うもの | (13) 紙くず |
建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生ずる紙くず |
(14) 木くず |
建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、木材・木製品製造業(家具の製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業および物品賃貸業から生ずる木材片、おがくず、バーク類等 |
|
(15) 繊維くず |
建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず |
|
(16) 動植物性残さ | 食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物 | |
(17) 動物系固形不要物 | と畜場において処分した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥に係る固形状の不要物 | |
(18) 動物のふん尿 | 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等のふん尿 | |
(19) 動物の死体 | 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等の死体 | |
(20) 以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの(例えばコンクリート固型化物) |
(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターWebサイトより引用)
■ 解説一覧
Q1. 再生PET繊維を使用して製造された作業着は、産業廃棄物の種類でいうとどの種類に該当するか。
|
解答は「1.廃プラスチック類」となります。「繊維くず」と迷われた方も多かったのではないでしょうか?衣服などを処分する場合は、まず使用されている素材が天然繊維か、合成繊維であるかで判断がわかれます。
使用している素材がナイロンやアクリル繊維などの合成繊維である場合は、業種にかかわらず産業廃棄物の「廃プラスチック類」として廃棄することになります。そして、今回は「再生PET樹脂」と使用しているとのことでしたので「廃プラスチック類」に該当します。
一方、天然繊維の場合は、下記の条件に該当するもののみ「繊維くず」に該当します。前回も学んだ業種限定のお話ですね。下記に該当しない場合は、天然繊維くずであっても一般廃棄物になります。今回は出題に業種が明記されていませんでしたが、素材が天然繊維くずの場合は、業種に気を付けましょう。
▼繊維くずに該当するケース
- 建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴うものに限る)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)から生じた天然繊維くず。
- ポリ塩化ビフェニル(以下、PCB)が染み込んだ天然繊維くず。
Q2. 焼却炉の底に残った灰は、産業廃棄物の種類でいうとどの種類に該当するか。
【廃棄物処理法 第2条 第2項 第4項】 |
解答は「1.燃え殻」となります。「燃え殻」とは物を焼却した後に残る廃棄物で「ばいじん」との区別がよく話題にあがります。焼却炉等の底の部分にたまる灰や燃えかすが「燃え殻」、ススなどの細かい粒子状のカスが集じん機等で集められたものが「ばいじん」と理解するのが良いでしょう。(ただし、燃え殻に不純物が混じり、泥状になったものは「汚泥」として処理されることもあります。)
「鉱さい」は、電気炉または高炉を用いた製鉄工程で除去される不純物「スラグ」や、鋳造製品の鋳型として使われた「鋳物砂」などを指します。「がれき類」は、建設工事で発生したコンクリートくずなどを指します。
Q3.次のイ~二の廃棄物のうち、産業廃棄物に該当するものはいくつありますか。正しい組み合わせを1~4から選んで下さい。 イ 建物の改築工事で発生した廃木材
|
解答は「2. 2つ」です。産業廃棄物の業種限定の問題です。業種限定とは、ある業種の特定の業務活動内で排出された場合に限り、産業廃棄物に区分されるもののことで、その業種等から排出されなかった場合は、一般廃棄物となります。
イ 建物の改築工事で発生した廃木材【産業廃棄物・木くず】
ロ サービス業を営む会社のオフィスから廃棄される木製の机【一般廃棄物】
ハ 自動車製造業の工場で廃棄される旧デザインのユニフォーム(木綿100%のシャツ)【一般廃棄物】
二 社員食堂から廃棄される天ぷら油【産業廃棄物・廃油】
イ及びロについて、廃木材と木製の机は、両者とも「木くず」に該当すると考えられますが、ロの場合はサービス業であり業種限定に該当しないため、一般廃棄物となります。
ハについて、ユニフォームは「繊維くず」に該当すると考えられますが、自動車製造業は業種限定に該当しないため、一般廃棄物となります。
二について、天ぷら油は「廃油」に該当すると考えられます。業種限定はありませんので、産業廃棄物となります。
Q4.次のイ~二の廃棄物のうち、産業廃棄物に該当するものはいくつありますか。正しい組み合わせを1~4から選んで下さい。
|
こちらも、産業廃棄物の業種限定の問題です。解答は「2. 2つ」です。以下のように判断できます。
イ 建設業者の本社で廃棄される図面(紙製)【一般廃棄物】
ロ 家具製造業から廃棄される木くず【産業廃棄物・木くず】
ハ スーパーマーケット内で調理し販売されている惣菜(賞味期限が切れたため廃棄)【一般廃棄物】
二 八百屋の店先に出されていた、のぼり旗(ナイロン製、老朽化のための廃棄)【産業廃棄物・廃プラスチック類】
イについて、図面(紙製)は「紙くず」に該当すると考えられ、建設業者なので「建設業に係るもの」という条件にもあてはまりそうです。しかし、紙くずの場合「建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に沿って生じたものに限る)」としていますので、建設業の許可を持っている会社であっても「工作物の新築・改築または除去」を行っていないオフィスから排出される紙は、一般廃棄物となります(PCBが付着している場合を除く)。ちなみに「工作物の新築・改築または除去」にあてはまる「紙くず」の例としては、工事の際に剥がした壁紙などが挙げられます。
ロについて、家具製造業は「木材又は木製品の製造業(家具製造業を含む)」に該当しますので、産業廃棄物になります。
ハについて、惣菜は「動植物性残さ」に該当すると考えられますが「スーパーマーケット内で調理し販売されている」とのことですので「食品製造業」には該当しないと判断でき、特定の業種に該当せず一般廃棄物になります。ちなみに、レストランなどの飲食店の厨房から出る生ごみなども「食品製造業」には該当しないので、一般廃棄物になります。
二について、ナイロン製とのことで「廃プラスチック類」と判断できます。業種限定はありませんので、産業廃棄物になります。
いかがでしたか。材質・性状だけでなく、業種や特定の条件についても気を付けましょう。また中には判断が難しいケースもありますので、迷う際は自治体の産業廃棄物担当課に相談されるとよいでしょう。
アミタの廃棄物管理セミナー
アミタでは、廃棄物管理担当者に必要な知識をわかりやすく解説する人気セミナーを開催しています!
保管基準や処理基準を学ぶだけでなく、マニフェストや契約書に関しては、実務を想定した演習もご用意しています。
詳細はこちら
関連記事
プロフィール
石田 みずき (いしだ みずき)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ 共感資本チーム
京都府出身。滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。現在は共感資本チームにて、メールマガジンの発信、ウェブサイトの運営など、お役立ち情報の発信を担当。
おすすめ情報
お役立ち資料・セミナーアーカイブ一覧
- なぜESG経営への移行が求められているの?
- サーキュラーエコノミーの成功事例が知りたい
- 脱炭素移行における戦略策定時のポイントは?
- アミタのサービスを詳しく知りたい
アミタでは、上記のようなお悩みを解決するダウンロード
資料やセミナー動画をご用意しております。
是非、ご覧ください。