コラム
ニチレイ|廃棄物管理体制の促進 ~人財の育成、グループ力の強化~企業取り組みインタビュー!廃棄物管理最前線!
2016年のビーフカツ転売事件以来、廃棄物管理の現場では、業務の適正化が求められています。本コラムでは、各社環境・CSRご担当者様へのインタビューを通じて、日頃の業務の工夫や方針、取り組み事例をご紹介します。今回は、横流し事件発生時に株式会社ニチレイフーズで対策を指揮しており、今年4月に株式会社ニチレイの環境担当部門の責任者に就任された、株式会社ニチレイの取締役執行役員兼技術戦略企画部長である川﨑様にお話をうかがいました。
左:田部井(アミタ)右:川﨑氏(ニチレイ)
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転売事件を契機に、廃棄物管理体制見直しを加速
田部井:2016年はビーフカツの転売事件に始まり、社名公表、ガイドラインやチェックリストの強化など、各企業様において廃棄物管理体制を見直す契機になった年ですが、御社では事件をどのように捉えましたか?
川﨑氏:弊社では、事件発生前から廃棄物リスクへの対応意識を高めるべく、いくつかのプログラムを進めていました。そして、社内ルールの策定や外部講師を招いた廃棄物管理研修を実施していた最中、事件が発生しました。
弊社ロゴのある商品が倉庫内で発見されたため、早い段階で行政から連絡があり、すぐに社内のどこで発生した廃棄物なのかを調査しました。廃棄物管理体制の改善を進めていたこともあり、担当者の意識も高く、社内からの情報収集は比較的スムーズに進みました。
田部井:事件発生後の対策はどのように進めたのですか?
川﨑氏:目の前の弊社ロゴのある廃棄物をどうするのかという点と、今後の対策をどうすべきかという点。2つの観点から改善策を並行して進めました。具体的には廃棄物管理規定の見直しや、教育の強化を行いました。
田部井:社内の規定を変更するとなると、現場への説明が必要ですし、反発もありそうですが、御社ではどのように見直しを実行していったのですか?
川﨑氏:そこは「ニチレイグループのロゴマークの力」がありました。ニチレイには部門を超えて取り組む社風があり、今回の事件後の廃棄物管理体制の再構築においても、ニチレイグループ全体の取り組みとすることができました。具体的には、グループ会社同士が相乗りして、人手が足りない事業会社や部門は相互に支援したり、内部監査や品質保証監査に行く際に、合わせてチェックを実施したりして、改善を進めました。ニチレイグループのロゴマークや社名が入った商品のみならず、OEM製品や試作品も含めて製造者責任を果たすべく、連動して動けたという実感がありました。「ニチレイブランドを守る」という意識が、従業員全体にDNAとして受け継がれている結果だと思っています。
また、自社の改善のみにとどまらす、冷凍食品業界として取り組む動きも出てきています。通常であれば競合である各社様ですが、廃棄物管理については同じような悩みを抱えています。行政や民間各社の連携を図ることで、業界全体としての課題解決に進めたことも、今回の事件をきっかけとした大きな進歩だと考えています。
田部井:まさに「継続は力なり」ですね。ブランド意識を守ろうという全社一体感の醸成が、今回の一連の改善を進めるエンジンになっているようですね。事件発生前から弊社の廃棄物管理研修を定期採用していただいておりますが、昨年からは外部委託リスクの低減に向けた現地確認コンテンツも強化いたしました。手前味噌ではありますが、弊社の研修は少しでも改善に寄与しておりますでしょうか?
川﨑氏:そうですね、アミタさんの研修を採用した最初の理由は、他社からの口コミでした。その後、廃棄物管理の教育用DVDを購入し「間違いない。」と確信しました。事件発生後は、改めて外部委託リスクがあるということを再認識し、現地確認の重要性を現場に伝えて行くことと、内部の知識レベルを維持向上させることが必要であるという認識のもと継続的に強化を進めていっています。
田部井:ありがとうございます。まさに仕組みの構築と、それを動かすヒトを育てるという両輪を意識して、行動されている印象を受けます。
また、先日貴社の最新CSRレポート2017年版も発行されましたが、これから、どのような取り組みを強化されていくのでしょうか?
川﨑氏:持続可能な社会の実現に向けたCSR基本方針を2017年4月に改訂し「ニチレイの約束」として8項目に整理をしました。時代が大きく変化する中、ニチレイグループの事業活動が社会に与える影響について、あらためて考える必要があります。今後、さまざまなステークホルダーに対して価値を提供していくには、より広い視点でバリューチェーンを捉え、全社一体となって社会的責任を果たしていくことが重要と考えています。
廃棄物管理研修もその一つですが、ニチレイグループでは人財の育成、グループ力の強化に力をいれています。人事異動や熟年者の退職などで培った知識や知恵が分散、減少してしまうのではなく、維持され、強化されていく仕組みの構築が必要であり、外部の力を借りることでニチレイグループが、さらに競争力を得ていくことができれば、尚よいのではないかと考えています。
話し手プロフィール
川﨑 順司 氏
株式会社ニチレイ
取締役執行役員 技術戦略企画部長 品質保証部管掌
1987年株式会社ニチレイ入社。株式会社ニチレイフーズ品質保証部長、同社執行役員品質保証部長を経て現職。一貫して品質保証に関わる。
聞き手プロフィール
田部井 進一(たべい しんいち)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ 東日本チーム チームリーダー
2004年アミタ株式会社入社。企業本社の環境部・CSRといった顧客を中心に企業への環境コンプライアンスへの対策、廃棄物管理業務のアウトソーシング導入支援、リサイクルスキームの構築支援、環境ビジョン策定やSDGs戦略など、幅広い顧客への環境戦略支援と導入を行う。
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