コラム
元青年海外協力隊が語る|草の根活動が世界をつなぐ 第5回草の根活動が世界をつなぐ
前回はゴミ分別についての住民説明会の様子をお伝えいたしました。今回は、中間処分場が完成した後の様子をお届けいたします。
写真:完成した中間処分場を見学する小学生たち
元青年海外協力隊が語る|草の根活動が世界をつなぐ
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中間処分場見学会を開催
フィリピンでは村ごとに中間処分場を建設することになっています。そこでJICA技術協力プロジェクトとして、モデルとなる中間処分場が建設されました。中間処分場では有機ゴミのコンポスト(堆肥化)やジュースパックやストローなどのプラスチックゴミからリサイクル製品の作成を行っています。
建設後は多くの小学生や住民が見学に訪れました。自分たちが出したゴミがどのようにリサイクルされるのかを知り、ゴミ=汚い、臭いというイメージから、今後は「ポイ捨てはやめる」「分別しよう」など嬉しい声がありました。
有機ゴミ循環型システム
フィリピンではゴミ全体の約6割は有機ゴミです。多くのところでミミズを使ったコンポストで堆肥化をしています。ミミズコンポストは肥料としての質は良いのですが、時間と費用が掛かり、管理が非常に大変です。そこで高倉式コンポストという、早くて簡単な日本のコンポスト技術を取り入れることになりました。
高倉式コンポストの導入により堆肥化スピードが上がり、この肥料を利用してデモファームで野菜を栽培する、循環型システムが始まりました。
任地では気候と物流条件から緑野菜は貴重で、市場で高値で売られています。デモファームでは成長の早いピッチャイ(チンゲン菜の仲間)を栽培し、市場で販売する計画を立てました。しかし、収穫した野菜は市場に出す前に仲間内で全て食べてしまい、ビジネスとしては循環型システムにはなりませんでした。
写真:有機ゴミをコンポストへ
生まれ変わった製品たち
この中間処分場ではリサイクル製品として、使用後のジュースパックやストローを洗浄して、バッグや帽子、マットなどに加工しています。日本であれば、当たり前のようにゴミ箱に捨てられてしまいますが、ここでは新たな価値に生まれ変わります。
サガイ市ではこのジュースパックで作ったランドセルを小学1年生に配布して、多くの小学生が通学で使っています。私もジュースパック製バッグで毎日通勤していました。
元々ジュースパックは丈夫に作られていますし、軽くて防水加工になっています。財布も使っていましたが、スリ犯に遭遇した際にジュースパック製には興味がなかったのか、未遂で終わりました。このように機能性と安全性にも優れています。
ブランド品も良いですが、こうしたアイテムで生活を楽しむことができます。
写真:ジュースパックやストローなどから作られたリサイクル製品たち
執筆者プロフィール
山﨑 晃生(やまざき てるお)
アミタ株式会社
海外事業グループ 海外事業チーム
2013年にアミタホールディングス株式会社へ合流し、経営管理グループにおいて本社移転、拠点管理に従事する。現在はアミタ株式会社海外事業グループにて主に東南アジアにおける調査事業および新規事業の立ち上げを担当している。
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