コラム
持続する復興支援|モノとお金と人の気持ちが循環するマルシェ③持続する復興支援
東日本大震災の復興支援ですが、企業はどのように支援をし続ければいいのでしょうか?今後の震災復興支援の在り方について岩手県の食関連事業会社、有限会社 秀吉の食材事業部 渡邉 里沙様にお話しをうかがいました。
【持続する復興支援】モノとお金と人の気持ちが循環するマルシェ
第1回 第2回 第3回
震災復興ではなく、都会と地域が共に喜ぶ持続可能な仕組み作りへ
Q 企業の復興支援予算は当時より減ってきていると思いますが、今後の展開はどうお考えでしょうか?
渡邉氏:震災から3年、復興は道半ばですが、私たちも復興支援という看板は掲げないようにしています。いいものだから、お役にたてるから続くものだと思っていて、それが結果的に岩手という地域に還元され、復興支援になると。その志がないと今後取り組みが続いていかないと思います。
一方で、例えば私が頻繁に訪れる陸前高田は、がれきが撤去され道が復旧しただけで、活用方法も決まっていない更地が広がっています。私たちはその情報を伝え続けていく使命があります。仮設住宅に住む人々、学校やグラウンドがなくてバスで遠くまで通学する子どもたち、親を失って進学をあきらめる子どもたち、そういう状況はまだまだある。だから岩手にいる私たちが自身で現状を伝え続け、忘れられない状況を作っていきたいです。
写真:2014年4月の岩手県陸前高田市の様子
Q そんな中、企業に対して連携してみたいことはありますか?
渡邉氏:企業内マルシェを、より多くの企業様に導入してもらえたらと思います。また、社員食堂との連携はぜひしたいです。継続的・定期的に購入いただけると良いものを届けやすくなりますし、送料も下がります。企業と連携するには、付加価値の立証も重要だと思うので「健康」に関する科学的な根拠作りを今医師等と連携して進めています。
また、S-FARMの取り組みで、Olahonoという「食材1口オーナー」商品もあります。今すぐ食材を購入するのではなく、オーナーになると収穫後に商品が届く仕組みです。たくさん収穫されればその分たくさん届きます。たとえば、陸前高田の牡蠣は、牡蠣のロープ1本単位でも、養殖するいかだ1枚単位でも購入が可能です。地元の間伐材でいかだを作るなど、多くのこだわりのうえに、全国的に有名な美味しい牡蠣が育っているのですが、震災後、牡蠣の養殖家はいっきに減ってしまいました。それを、遠くの企業や個人がオーナーになることで、支えていこうという取り組みです。
写真:渡邉氏が生産者と牡蠣のいかだの上に乗ったときのもの
企業オーナーはまだ少ないので、ぜひOlahonoで食材のオーナーになっていただき、社員の方の現地ツアーや、株主懇親会、顧客感謝祭などのイベントで収穫物を活用する、お歳暮に使うなど、様々な企画に発展できればと思います。農林水産生産の方々はまさに生き字引。こうした方々との交流から、企業側にもきっといろんなアイデアが生まれることと思います。
あとは、販促品にお野菜や果物を使っていただくケースもあります。リンゴに名入れすることもできますし、ロゴ入りの文具の代わりに日持ちするお野菜を配るとインパクトがありますよね。私たちは、企業規模や業種に関わらず、興味を持ってくださる会社といろんな関わり方をトライアルしていきたいと思っています。そのため、S-FARMも、皆さんに安心してご利用いただけるよう、自然に配慮している生産者のみと取引するなどのこだわりを持って、品質を保ち続けます。
これからは、生産者と消費者が価格だけで判断しない関係性を作らないと、今後の日本農家、日本の食糧自給は持続可能になりません。関係性のあることが価値であり、豊かな暮らしにつながると思っています。
本日はありがとうございます。今回の対談を通して、CSR 担当者の方々と新しいつながりや連携が生まれることを、期待しています!
プロフィール
渡邉 里沙(わたなべ りさ)氏
岩手県盛岡市生まれ。大学進学と共に東京へ状況。その後一時関西の大学院へ進学し、就職後再び東京へ。大手ビジネスコンサルティング会社へ入社し4年間勤務した後、岩手へ戻る。2009年 (有)秀吉内に岩手の食材販売サイトS-FARMを立ち上げる。2012年食材のオーナー制販売「Olahono」を立ち上げる。
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