コラム
身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!【第4回】身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!
新しい年が始まりました。年末年始は美味しいお料理をいただく機会が多くあったことでしょう。海産物のいろいろな味わいも楽しまれたのではないでしょうか。今回は、世界での水産物購買の調査をもとにお届けします。※写真出典:カナダ最大手の小売業、Loblaws店頭でのOcean for Tomorrow キャンペーン(トロント市内)
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世界中で理解と行動は高まっている!
2014年11月に、独立調査機関が世界各国で実施した水産物購買行動調査の結果が発表されました。これは、調査会社のアドバンスト・マーケット・リサーチが、日本を含む世界15か国で9,000人を超える消費者を対象に2014年3月から7月にかけて実施した調査の結果です。同社は2010年から2年ごとに同様の調査を行っています。
水産物を買う時に、みなさんは何に重きを置きますか?調査によると、最も大きな決定要因は価格(79%)、続いてトレーサビリティー(66%)、持続可能性(61%)という結果でした。価格が大きな決定要因ではありますが、エコラベル製品であれば、多少高くても購入するという答えも増えてきています。
この背景には、海洋環境や水産資源への懸念、そして持続可能な漁業による水産物が重要な選択であるとの認識の高まりが挙げられます。さらに、回答者の90%は海洋環境の持続可能性が重要であると答えています。海からの恵みが無尽蔵ではないことへの危機感が、消費者へも広がってきている表れであろうと思います。
MSCエコラベルの認知度も、調査の度に上昇しています。定期的に水産物を購入している消費者の33%が、MSCエコラベルを知っているという結果で、2010年の調査からは8ポイントアップしました。認知度の高い国上位はドイツ(58%)、スイス(57%)、オランダ(48%)でした。ちなみに日本は24%でした。
消費者の意識や理解の高まりと同調するように、MSC認証製品のアイテム数も増加しています。2010年から2014年では、なんと5倍にもなっており、25,000点以上が世界の人々に届けられています。
どこで何を買いたいですか?
水産物を食べる時には、魚を購入して調理をしたり、調理済みの商品を購入、または外食という選択があるでしょう。先の調査結果でも、水産物の持続可能性に関して消費者が期待しているのは、スーパーマーケットとレストランの関与です。65%もの人々がスーパーに、そして61%がレストランに、責任ある行動を求めています。容易に購入できること、そして外食でも持続可能性を選択できることを、多くの消費者が期待しているのです。
そのような中、世界初のMSC認証ベビーフードが昨年誕生しました。環境に配慮したベビーフード専門会社であるフランスのヨージ社(MSC-C-54104)が、MSC認証のタラを使用したベビーフードを発売しました。この会社は、高い理想と革新性を掲げ、これまでオーガニックの野菜を使用していました。魚を使う製品開発にあたり「ごく自然にMSC認証を考えた」とのことです。「父親として将来の世代のために環境配慮の製品を提供することは重要」と、ヨージ社の創立者であるフレデリック・ベントル氏が語っています。
また、2014年11月には、フランスの小売業大手であるカルフールが、MSC認証取得を目指す漁業団体に、審査の資金援助の申し出をしたとのニュースもありました。小売業と漁業者の連携はフランスでは初めてで、フランスでのMSC認証の拡大が期待されます。
フランスでは、MSCラベル製品の販売額が2010年から2014年で4倍にも増えています。先の調査でも、スーパーマーケットの役割に期待している割合が78%と最も高い数値でした。自分や家族が口にする物を、信頼できるマークに基づいて選択したいという消費者意識、そしてそれに応える供給者の行動が、持続可能な水産物の増加へとつながっている好ましい例です。
写真:世界初・MSCの海のエコラベル付きのベビーフード
小さな声から大きな広がりへ
持続可能性やトレーサビリティーの重要性について、 理解はできる ことであると思います。しかし、常に考えと実際の行動が合致するとは限りません。購買理由の上位に挙げられていた価格は、やはり大きな要素ですし、購入したくても販売していない、魚種や味、調理法が好みではない、等々。購買しない理由は様々あるでしょう。
喜ばしいことに、今回の調査結果には、持続可能性、トレーサビリティーの重要性の理解と行動が世界で徐々に広がっている様子が見てとれます。考えを理解するだけではなく、確実に行動に繋がっているのです。
調査結果の一つに、環境及び社会への責任を果たすための情報源についてがあります。最も高い答えが、59%を占める「友人や家族からの勧め」、その次が57%の「第三者が発行するエコラベル」でした。信頼できるラベルを知ること。信頼できる情報を、大切な家族や友人に伝えること。一つ一つは小さな行動ですが、それが今回の調査の数字のように、確実に広がる結果に繋がっていることは、とても素晴らしいことだと思います。
参考情報
- MSC website: http://www.msc.org
- http://www.msc.org/newsroom-ja/news/vkg6uc
- http://www.msc.org/newsroom-ja/copy_of_news/newsitem/2f3e3h
- http://www.msc.org/newsroom-ja/news/bzzu11
- ACC-MSC-020
- アミタ株式会社は、FSCに認定された認証機関Soil Association WoodmarkとSCS Global Servicesの日本パートナーです。
- FSC®N001887
■この記事はCSRJAPANに2015年1月13日に掲載されたものです
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