身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!【第1回】 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!【第1回】身近なエコ|環境認証でモノの見方・選び方が変わる!

eco-friendly_001.jpg環境認証は日本での広がりはまだ大きくはありませんが、海外ではビジネスや生活にかなり浸透しています。このコラムで、海外での事例を紹介していきたいと思います。それらを通じ、ビジネスや個人の行動への何かのヒントをつかんでいただくきっかけになれば嬉しく思います。

※写真出典:Soil Association

【身近なエコ】環境認証でモノの見方・選び方が変わる!全6回はこちら
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環境認証ってどんなこと?

eco-friendly_002.jpg弊社は、FSC®/PEFC認証、MSC/ASC認証といった、山や海に関係する認証制度の審査を行っております。このウェブをご覧になっているみなさんであれば、すでにご存じの方も多いでしょうが「認証」とは何かをまず簡単にご説明します。

私がこれからお話をするのは、第三者認証と言われるしくみです。きまり(規格)を決め、それに適っているか(適合)を、きまりを作った人ではない人(第三者)が確認(審査、認証)するのが第三者認証です。自分で主張するのではなく、関係者が承認するのでもない、第三者が審査し認証する事で、客観的な評価がなされる事から信頼性を保つことができます。

FSC認証・PEFC認証は、森林管理が適切に行われているか(FM認証)、そこから産出された木材・林産物や水産物が、規定に則り適切な運用に基づき製品が製造され、適切にロゴマークが使用され販売されているか(COC認証)、審査で手順や書類、現場を確認し、適切な運用を繋ぐしくみです。同様に、MSC認証は天然魚の海洋資源管理とその加工流通過程の管理、ASC認証は養殖の管理と加工流通についての認証です。認証についての詳細については、弊社のウェブ(http://www.amita-net.co.jp)をご参照ください。

森林認証、水産認証は、昨今日本でも少しずつ広まってきていますが、世界の中で見ると、運用の幅も認知度も、日本はだいぶ遅れをとっています。しかしそれは裏を返せば、日本でまだまだ広がる可能性が残されているということ。これらの認証製品は「森林や水産の資源を使い尽くしてしまうことはない」確実な選択です。ご紹介する事例が、選択の可能性の参考になればと思います。そして、信頼に足る認証制度を、企業の、そして個人の選択のひとつのガイドラインと捉えていただけることを願っております。

写真出典:Soil Association

ロンドンオリンピック ~あまり知られていないけれどスーパープロジェクト~

eco-friendly_003.jpg2020年の東京オリンピックに向かってこれから様々な動きが出てくると思いますが、ここで参考にしたいのがロンドンオリンピック。「史上最も環境配慮した大会」と言われています。オリンピック会場の建造物の「スーパープロジェクト」をご紹介します。

オリンピックが開催された公園は、現在エリザベス女王公園と名付けられています。敷地は2.5キロ平米あり、様々な建造物が作られましたが、これらはFSC/PEFCデュアルプロジェクト認証を取得しました。

プロジェクト認証というのは、建築物の全体あるいは一部を認証するしくみです。COC認証は、製造や流通を行う主体者が認証の手順を持ち適切に運用することを審査します。つまり、その主体者が「認証取得者」となり「認証製品」を製造・流通することができるわけです。一方でプロジェクト認証は「誰」ではなく「何」を認証するものです。

これまでFSCのプロジェクト認証規格はありましたが、今回のFSC/PEFCデュアルプロジェクト認証は、大型や複雑なプロジェクトに適用する「スーパープロジェクト規格」として、ロンドンオリンピックのために構築されました。FSCとPEFCという二つの認証プログラムで合意し、最低使用量を決めずに全体で認証材使用量の主張を行うこととしました。これにより、調達をより柔軟に行うことができたとのことです。結果としては、使用した木材全体の約70%がFSC材、約30%がPEFC材、そして認証材に含められない材は1%に満たない量でした。

具体的にプロジェクト認証に含まれていたのは、メインスタジアム、競輪場、プール、橋、フェンス、椅子やドア、屋根・壁の木製パネルといった建造物です。これらに使用された木材は、ほぼ100% FSC/PEFCの材で、総量は12,500m3。これらのプロジェクト認証の対象は、サブプロジェクトと呼ばれるいくつかのグループに分けられて管理がなされました。このプロジェクトマネージャーによると、これだけの木質原料の調達はそれは大変であったそうですが、苦労の甲斐があり倫理調達として高評価を受け、木材流通ジャーナル*1の「最優秀環境賞」を受賞しました。

写真出典:Soil Association

オリンピックレガシー

eco-friendly_004.jpgオリンピックは、様々なよい影響を残しました。イギリス政府とロンドン市が共同で出したレガシーレポート*2には、施設、地域、経済、社会など、オリンピック・パラリンピックが残したものについて記されています。その中で、重要な点と感じるのが「持続可能性」です。

イギリスでは、オリンピック前からFSCやMSC製品は広まっていましたが、ロンドンオリンピックの調達方針での明文化を機に改めて「持続可能性を考慮した調達」が重要視されたように思います。社会において重要な考え方として認識したと言えるでしょう。

イギリスのみならず、場所と時間を超えて影響がみられます。史上最も環境配慮したロンドンオリンピックは、イベントサステイナビリティ認証であるISO20121認証を取得していました。オリンピックに関わる多くの調達関係者が、この規格に則り製品やサービスの提供をしました。そして、先のレガシーレポートには「2020年のホストである東京は、オリンピック招致の際のコミットとして、イベントサステイナビリティのISO20121認証への努力を含めた」とあります。ロンドンオリンピックのプロジェクト認証のように大がかりな原材料調達に限らず、製品や飲食の調達や配布物など、オリンピックに関わる幅広い原材料や製品について、持続可能性を考慮した調達が求められるでしょう。

オリンピックは、世界が大切な事を繋いでいくイベントであると思います。ロンドンで培われた「持続可能性」を追求する考え方や行動を、我々も2020年に向けて支える一員として引き継ぐこと。2020年のホスト国として、私たちがどのような考え方や行動を大切にするか。世界に問われる時期ともいえるのではないでしょうか。

「自分の仕事はオリンピックには関係ない」と感じられている方々ももちろんいらっしゃるでしょう。確かに、皆がオリンピックに直接関わるわけではありません。しかし「ホスト国ニッポン」として考えたらどうでしょうか。「おもてなし」の国。「もったいない」の文化の国。オリンピックまでの期間は、これを世界に発信する機会。誰もが何かの可能性があり、考え方や行動次第でその影響を発信することができるのではないでしょうか。企業の、そして個人の行動が、ニッポンの社会を形づくります。私たちひとりひとりがその力であることを思うと、自分たちが関与できる可能性は大きく、また選択・行動の責任も大きい、と改めて思います。

写真出典:Soil Association

参考情報

*1 Timber Trades Journal
*2 Inspired by 2012: The legacy from the Olympic and Paralympic Games Second annual report - Summer 2014 A joint UK Government and Mayor of London report
- FSC website: https://ic.fsc.org/index.htm
- Soil Association website: http://www.sacert.org/woodmark
- アミタ株式会社は、FSCに認定された認証機関Soil Association WoodmarkとSCS Global Servicesの日本パートナーです。
- FSC®N001887

■この記事はCSRJAPANに2014年10月14日に掲載されたものです

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