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コラム

第3回:「できていない理由」の明示が素晴らしいレポートって毎年作成する意味ありますか?

141202-3-001.jpg毎年企業が作成しているCSRレポートですが、皆様読まれたことはありますか?企業担当者からみれば「作ったけど、なかなか本音で読者の声が聞けない」「次回作のために、専門家のアドバイスが欲しい」という悩みを抱えているそうです。

本企画は、特定のレポートを有識者がレビューし、各社にも活用できる視点をコラムにする第三回。前回に引き続き、ソーシャルウェブマガジンgreenz.jpの編集長である兼松佳宏氏、京都大学iPS細胞研究所国際広報室の渡邉文隆氏の2名の若手有識者、及び、レビュー対象になったカスタネット代表取締役社長の植木氏に京都の風伝館に集まって頂き、有識者が本音で切り込むCSRレポートについての対談が実現しました。CSRレポートを読む際の視点として、有識者がどのように考えているのか。当日のファシリテーターはCSRJAPAN(※1)の編集長である猪又が担当しました。

■本コラム一覧

(※1)CSRJAPAN・・・2010年11月4日~2017年6月29日までアミタ(株)が運営していたWebサイト。2017年6月29日以降は「おしえて!アミタさん」サイトに統合

限られたページ数をどう活用し、次年度どうするのか?

141202-3-002.jpg猪又:レポートの場合、ページ数が限られる中、全社の動きをもれなく伝える必要があり、どうしても平坦な内容になってしまいがちです。その辺についてもアドバイスをいただけますか?

兼松氏:どういう指標でその成果を図るのかと同時に、情報を発信することによって、どんな状況をつくりたいのかが重要だと思います。私たちはgreenz.jpであるプロジェクトを取り上げることで、その人の活動が次のステージに進むようなお手伝いがしたいと思っています。そのためには共感が広がる記事にすることが大切で、表面的な面白さだけでなく、その背景にあるストーリーや原体験なども伝えています。その目指すゴールがあれば、もっと内容に濃淡をつけてもいいでしょうし、ひとつのポイントにしぼって伝えた方がいい場合もあります。その辺りを改めて考えてみてはいかがでしょうか。

画像:表面的な面白さだけでなく、その背景にあるストーリーや原体験なども伝えることが共感を呼ぶと力説する兼松氏

カスタネットの次回作は2015年2月3日の創業記念日予定

猪又:今回のレビューを受けて、植木様のご感想をうかがえますか?

141202-3-001.jpg植木氏:今回の対談をさせていただいて、改めて思う前回の反省は、ページ数という枠組みに縛られたことです。渡邉さんからもご指摘いただいたとおり、次回作はページ数の制限を忘れて、なぜそれをやっているのか?という目的に返って作りたいです。例えば、当社がなぜその取り組みに寄付をして、必ず寄付先の取り組みやイベントに人を出すのかという意図を伝えたいです。

今日のお話で、次回2015年2月3日の創業記念日に発刊予定のリニューアル版について2つ決意しました。社内打ち合わせで、制作担当者にはどうしても更新版を作るという意識があります。作り手の苦労を考えると、NOとははっきり言えなかった自分がいました。でも今日の話をうかがって、数値以外の部分、ストーリーや目次割については1から考えるべきだと思い直しました。

また、新しく取り組み始めて重要視している取り組みと、今後当社が何をしようとしているかについて、重点的に書こうと思います。実施報告という意味合いより、意図を伝えることを重視しようと思っています。

猪又:日本のCSRレポートは大企業中心です。企業数全体の9割以上を占める 中小企業はCSRレポートを今後どう活用するのかについて関心がありました。私は本日の対談で希望が持てました。カスタネットさんの次回作を期待しています。皆様、本日はありがとうございます。

レビューするレポート:株式会社カスタネット「小さな企業のCSR報告書」

140903-005.png発行年:2012年 ページ数:18 
想定読者:従業員とその家族、既存顧客
業種:オフィス用品卸売業
同レポートはCSR JAPANアクセス数2012年第2位、2013年第3位。

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