コラム
ノーリツ|幸せを心豊かに沸かす【前編】【環境新聞タイアップ】おしえて!きかせて!環境戦略
給湯器、システムキッチン、システムバス、床暖房、太陽熱エネルギー等の住宅設備メーカーであるノーリツ。
「エコ・リラ・キレイ」をブランド・メッセージに、高効率給湯器の開発・製造・販売によるCO2削減、給湯器のリサイクル等さまざまな環境対策に取り組んでいる同社の取り組みについて、國井 総一郎社長に、弊社社長佐藤がうかがいました。
※本コラムは、環境新聞2016年8月10日掲載「【対談シリーズ】これからの環境・CSR経営を考える①」をもとに掲載しています。
環境新聞:月4回発行。74,000人の読者(2016年9月現在)へ、エネルギー、温暖化、リサイクル、環境保全など多岐にわたる環境情報に加え、CSR・CSV、新技術・新製品、環境リスク管理などの企業取り組み/ビジネスなど、専門誌ならではの豊富な情報を届ける『新環境時代のリーディングペーパー』。
ノーリツと環境のかかわりは
國井氏:当社は「お風呂は人を幸せにする」を創業の原点に、お風呂からスタートした会社で、風呂釜、給湯器、システムバス、システムキッチン等のお湯を中心とした設備機器を扱っている。家庭用のエネルギーの中で給湯は約30%強を占め、当社シェアは3分の1を超えている。給湯器は燃焼機器であるため、CO2発生量は日本全体の発生量の1.4%を占めている。そしてこの大半が事業活動によるものではなく当社が販売した商品の使用時にCO2を発生すると算出している。早くから省エネ、高効率といった技術開発には力を入れており、当社が環境問題に取り組む意義はここにある。
また、CO2削減のほかに、給湯器のリサイクルにも取り組んでいる。当社は障がい者に雇用の機会を創出することを目的にリサイクルを推進することにも挑戦している。事業として収益を確保し続けることは現状では難しいが、着実に進めていきたいと考えている。
当社は営利企業なので財務的価値を追求するのは当然だが、社会的価値も重視している。先ほどのリサイクルと障がい者の雇用機会創出を絡めた取り組みのほか、森林組合と連携した森林育成、さらには「浴育」として子供たちにお風呂に関する紙芝居などを行う取り組みも行ってきた。これからは、社会課題を事業活動で解決できるような取り組みが重要だと考えている。
佐藤:社会的価値を重視した取り組みはすぐには広く理解されない面もあるが、投資家を含め着実にファンが増えてくるのではないかと思う。
國井氏:私は社員が将来の夢を持ち、自信と誇りを持てる会社にすることを目指している。社会的な取り組みは、こうしたことにつながってくると信じている。
社会的価値創造への取り組みが社員の意識向上につながるか。
佐藤:当然つながってくるだろう。社員のモチベーションややる気をどのように引き出すかということは、非常に重要なことだ。弊社は従業員アンケートを行う際に必ず「人生を賭ける職場、仕事であるか」という質問をしている。現在社員のそうした意識が徐々に上がって来ていていることを実感しているが、誇りを持ってこの会社で自分のやりたいことを実現させたいと思えるかということは、根源的にとても重要なことだと考えている。
國井氏:モチベーションを上げるには、最初は苦しくても挑戦して成功事例を作っていかなければならない。スポーツでも勝ち続けているチームは自然とチームワークが良くなる。当社の高効率給湯器「エコジョーズ」は高いシェアを得ているが、発売当初は売りにくかったのを挑戦して打破した結果だ。
佐藤:新しいことに取り組んで成功させるには時間がかかり辛抱が必要だが、新しいものを生み出し続けることが企業として不可欠だと思っている。われわれは今、業態改革を掲げて取り組んでいるが、社員の意識として、これまでの成功体験を踏襲すればうまくいくのではないかという誤解がある。既存の事業であっても顧客の求めるものは変わってきているので、やり方を変えて行かなければならない。顧客の課題に正面から向き合ってそれに対して最適なサービスを提供するという営業活動を全員が行わなければ、生き残っていけないだろう。
國井氏:やはり本業が一番大事であり、われわれで言えば給湯に関することである。この分野で重要なテーマである「環境」についてどのようなことを行っていけるかということを、常に考えて行かなければならないと思っている。自分たちが「強い」と思って安心してしまったら、すぐに負けに転じてしまう。危機感を持って取り組んでいくことが必要だ。
東日本大震災の被災地でも活動を行っているが。
佐藤:私は津波ですべてが流されてしまった街を訪れ、ここで当社の本業で何かを行いたい、できなければ当社の存在価値はないと強く感じた。そして、宮城県南三陸町に地域の循環型社会システムを提案し、実現させることになった。なかなかうまく進まない時期もあり、当時リーマンショック後の影響等で業績が良くなかったこともあって、社内では「撤退すべき」との声も出た。
最終的にはアミタホールディングスの会長である熊野英介の判断でこの挑戦を継続することになり、昨年10月には生ごみや汚泥からエネルギーを生み出すバイオマス施設「南三陸BIO」を核とする循環モデルが完成した。完成後は他の地域からも非常に関心を集め、問い合わせも多く来るようになった。遠くないうちに当社の事業の柱の1つに育てられるのではないかと感じている。経営判断というのは非常に難しいが、重要なことだ。
國井氏:当社は阪神・淡路大震災を経験していることもあり、東日本大震災の際には迅速に対応し、震災翌日には物資と共に人員を派遣して社員の救済を行った。また「お風呂は人を幸せにする」が当社の創業の原点であることから、避難所にシャワールーム十数台を提供した。これは社員の発案によるものだ。今年4月に起きた熊本地震でも同様に提供している。商売抜きでノーリツとしてできることをしようという考えで行ったが、社員にとっては誇りに思えることだろう。ただ、こうした創業の原点がグループ約9千人いる従業員に十分浸透しているとは言えないので、そこは課題だ。
ノーリツは、環境問題への取り組みだけでなく、障がい者雇用、被災地での活動などの社会的価値を重視した取り組みを行うことで社員が自信と誇りを持てる会社にすることを目指しています。次回は、ノーリツの環境問題への取り組み、環境経営について紹介します。
(執筆・編集:株式会社環境新聞社 編集部 黒岩 修)
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話し手プロフィール
國井 総一郎 (こくい そういちろう)氏
株式会社ノーリツ
代表取締役社長 兼 代表執行役員
1976年姫路工業大学(現兵庫県立大学)工学部を卒業後、ノーリツに入社。
2001年グループ会社ロケットボイラー(現アールビー)社長、2003年グループ会社ハーマン社長を歴任。
2004年より株式会社ノーリツの取締役兼営業本部長、取締役経営統括本部長を経て、2009年9月に代表取締役社長兼代表執行役員に就任(現任)。
聞き手プロフィール
佐藤 博之 (さとう ひろゆき)
アミタホールディングス株式会社 取締役 兼
アミタ株式会社 代表取締役社長 他
グリーン購入ネットワーク専務理事、世界エコラベリングネットワーク総務事務局長などを経て、2008年にアミタグループへ合流。主に地域デザイン・自然産業領域の事業開発責任者を務め、企業の環境戦略支援領域も手がける。
2015年に株式会社アミタ持続可能経済研究所の代表取締役就任。2016年1月アミタ株式会社代表取締役に就任(現任)。同年3月アミタホールディングス株式会社取締役に就任(現任)。
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