第9回: アウトプットに関する環境戦略~リサイクルと持続可能社会~【前編】 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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第9回: アウトプットに関する環境戦略~リサイクルと持続可能社会~【前編】商品価値から企業価値へ~2030年の環境戦略の姿~

Some_rights_reserved_by_GotCredit.jpg2030年の社会状況や環境制約を見据えたときに、企業はどのような環境戦略・価値創出を行っていくべきかをお伝えする、本コラム。

前回は、調達における環境リスクとその対応策の1つとして環境認証についてご説明しました。第9回は、企業活動のアウトプットに関わる「リサイクルと持続可能社会」を説明します。

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リサイクルの必要性

リサイクルの必要性を知るために、リサイクルをしないとどうなるかを企業活動のインプットである「資源の採取」とアウトプットの「資源の廃棄」の2つの観点から考えます。

自然から原材料を調達する、つまり資源を採取する方法は、大きく2つあります。再生不可能な資源の採取と、再生可能な資源の採取です。前者はいつか不可能となります。再生可能な資源も、再生できないレベルまで乱開発をしないように適切な管理が必要です。

一方、使用済みの資源を廃棄する際に、不要物として焼却や埋立処分する方法があります。適切な埋立処分は、環境影響をある程度コントロールしていますが、廃棄物がなくなるわけではありません。現代では多くの場合に自然が分解・還元・安定化するより早く、廃棄物が大量に廃棄されているので、それらは環境中に蓄積していきます。したがって、大量廃棄は持続可能な方法ではありません。

この両方を同時に改善する方法がリサイクルです。使用済みの資源を原材料としてリサイクルすればするほど、新たな資源採取が不要になりますし、埋立処分せずに済みますので、環境からの制約を和らげることができるのです。

資源循環のポイント~企業方針としての再生素材利用率向上~

資源は小さいエリアで永遠に循環できることが望ましいですが、必ずしも企業内、業界内で完結させる必要はありません。異業種間のネットワークでも資源循環が成立すればよいのです。原材料の調達から廃棄に至るまでの一連のサプライチェーンを、できるだけ環境制約からの圧力を受けないように形成することで将来的にコストアップ要因を減らすことができ、事業の持続可能性が高まります。

例えば、再生ゴムの利用が進んでいます。企業はイメージ戦略のためだけではなく、全社の事業戦略として取り組むことが重要です。商品宣伝に留まると、一部商品の中にわずかでも再生ゴムを使うことで一定のアピールになりますし、一時的にコスト削減要求が厳しくなった際に中断・停止してしまうこともあるでしょう。しかし、事業戦略として取り組むのであれば、再生ゴムをより多く使えるように積極的な技術開発が行われるでしょうし、バージン材より高くても使用量を増やす判断もありえます。企業として明確な方針をもてば、社員もより一層真剣に取り組むようになるでしょう。そしてこうした継続的・計画的な環境取り組みを実践・発信することは企業価値の向上につながります。

また、使用済み品の例となる廃タイヤは製紙会社やセメント会社向けの燃料リサイクルを中心として進んでいますが、マテリアルリサイクルなどより持続可能な方法へシフトできるように今後も多様なリサイクルの方法を開発していくことが重要です。

これ以外にも、様々な原材料の調達や使用済み品の廃棄が行われています。いずれも将来の環境制約をいかにして回避するかというバックキャスティングの視点で、具体的な数値目標を持って取り組んでいくべきでしょう。とはいえ、将来環境制約がいつごろ、どのような形であらわれるのかについての明確な答えはありません。様々な予測データや社会動向などを見ながら、判断するしかないです。正に環境戦略には経営判断が求められるのです。

図:廃タイヤのリサイクル状況

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引用:一般社団法人 日本自動車タイヤ協会:

http://www.jatma.or.jp/environment/report01.html

次回は資源の廃棄に関するリスクについてお伝えします。

※本コラムは(株)ポスティコーポレーションの専門誌「ラバーインダストリー 2015年12月号掲載」記事を一部改編して掲載しています。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

プロフseries_img_191.jpg堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 環境戦略デザイングループ
環境戦略機能チーム 主席コンサルタント(行政書士)

1998年4月現アミタ株式会社に入社後、産業廃棄物のリサイクルの提案営業などを経て、現在は廃棄物リスク診断・廃棄物マネジメントシステム構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。2013年より現職。セミナーは年間70回以上実施し、延べ参加者は2万人を超える。環境専門誌「日経エコロジー」に2007年より記事を連載、その他記事を多数執筆。個人ブログ・メルマガ「議論de廃棄物」も好評を博している。法政大学大学院 特別講師 日本能率協会登録講師 行政書士。

著書:「改訂版 かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」 日経BP社 他
   「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」 環境新聞社

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