コラム
専ら再生業者、再生登録業者、古物商、金属くず商の違い(前編)BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」
廃棄物処理法で登場するのは「専ら再生業者」(専ら業者)と「再生登録業者」(廃棄物再生事業者)ですが、その関連で説明します。 「古物商」と「金属くず商」は、専門外なので、一般常識程度の話になる部分もありますが、ご了解ください。
1.古物商
まず、古物商(こぶつしょう)は、古物営業法に規定される古物(中古品および転売を目的とした新品)を、業として売買または交換する業者・個人のことで、盗品の売買または交換を捜査・検査するための制度です。そのため、管轄は公安委員会です。泥棒対策の制度ですから、通常(と、言っても制度がスタートした昭和24年、戦後まもなくの状況においてですが)、盗まれる可能性のない(非常に少ない)大型機械類(船舶、航空機、工作機械等)や庭石、石灯籠、空き缶類、金属原材料、被覆いのない古銅線類などは、対象外です。
執筆に当たり調べていたら、警視庁のQAに今回のテーマにうってつけのものがありました。
(警視庁HPから引用)
A 古物の買い受け、交換又はこれらの委託により、売主等に何らかの利益が生じる場合は、許可が必要ですが、全くの無償で引き取ってきたもの、あるいは、逆に処分手数料等を徴収して引き取ったものを売る場合は、古物商の許可は必要ありません(廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められた許可を要する場合があります)。これは、古物営業法は、盗品等の流通防止や早期発見を目的としているので、例えば窃盗犯人が盗品を処分しようとするときに、何ら利益もなく処分する可能性が低いからです。
そもそも価値の無い物や、運送費にも満たない重く大きいものを泥棒が盗むはずはない。盗むなら、現金、金券、宝石や貴金属という付加価値の高い物だろう、ということが前提になって古物営業法は作られ、現在まで運用されてきているようです。
2.金属くず商
ところが、日本が「高度経済成長」と言われる昭和30年代になりますと、状況が変わった「物」が出てきました。それが「金属くず」です。おそらく、東京オリンピック(昭和39年)開催を前にして、物価は上がり、自動車は普及し、資源が高騰してきた。その時に、今までは「盗まれないだろう」と思われていた「金属くず」が、盗まれるほど価値が高まった。ただ、この状況は全国一律という訳ではなく、西高東低(関西・中四国で高く、関東・東北では低い)の傾向であったようで「金属くず商」の許可は、法律ではなく、各道府県の条例において規定されています。
現在、関東、東北地方で「金属くず商条例」を規定しているのは、茨城県だけ、一方、近畿、中国地方で、この条例を持たないのは京都府と鳥取県だけのようです。
⇒続き(専ら再生業者、再生登録業者の説明)はこちら
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執筆者プロフィール
長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問
山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。
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